6月下旬の美ヶ原と乗鞍岳 ~お手軽登山でいい景色~
山を登るなら辛い登りを避ける事は不可能。
だが、時々そういう辛さを避けたいテンションになることもある……。天気が良いから山に登りたい……でも歩きたくない……。
そういう時に丁度いいのが美ヶ原と霧ヶ峰。二つとも車で山頂直下まで行けるお手軽百名山として有名だったりする。
霧ヶ峰は既に登っているので、今回の登山では美ヶ原に行くことにしました。メンバーは大学の友人3人。ゆるゆる登山だから寝なくても余裕っしょwwというノリで深夜に茨城を出発したのでした。
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中央道を爆走すること3時間半。ガラガラの中央道をブッ飛ばして長野入りしたのは1時頃。
美ヶ原に向けて峠道を快適に走っていると……鹿発見!
道の上にいなくて良かった。跳ねたらシャレにならん。
2時ちょうどに美ヶ原北西にある明和町駐車場に到着。30台程度の車が停まっています。
山小屋と車の明かりからするとガスってるっぽい?むむ、晴れるはずだったんだが……。
夜明けまで仮眠するつもりだったけれど、暇なので歩いてみます。目指すは標高2006mの茶臼山。南東にあるので夜明けが綺麗に見えるはず。
ヘッドライトを装着して夜中の美ヶ原を歩くこと1時間。午前3時に茶臼山に到着しました。夏至近いとはいえ流石にまだ真っ暗。
が、しかし4時前に明るくなってきたと思ったら、辺り一面霧でした。
うーん、普通に残念だこれは……。
仕方が無いので駐車場に戻ります。はぁ……。
と、思った矢先、霧が一瞬晴れて夜明けが姿を現しました。
おおおっ、これはワンチャン晴れるのでは!?
牧場まで戻ると霧全体がピンク色に染まって幻想的な雰囲気に。
雲間から太陽が見えました。夜明けです。
そしてどんどん晴れてきたァーーーー!これは凄いぞ!めっちゃ綺麗だ!!
朝露に濡れた草が美しい。
うおー、こんな綺麗な夜明け見たことない。すげぇ……。
道中にある牧場の柵まで美しく思える……。
霧が晴れて周囲が見えていくにつれて、ここが美ヶ原と呼ばれる理由がよく分かりました。本当に平坦な原っぱを形成しています。丘が連なる霧ヶ峰とは対照的ですね。
牧場内の道です。
西にある王ヶ頭も見えてきました。あそこが美ヶ原の最高峰です。
午前5時に美しの塔に到着。塔とはいえ登れるわけではありません。
この頃になると霧は綺麗に晴れ上がり周囲の山々も見えてきました。南東には八ヶ岳が連なっており、、、
右端には富士山も見えています。
しかしやっぱり凄いのは東に展開する北アルプスの峰々。
長野盆地を埋め尽くす雲海の向こうに白馬まで見えています。
やっぱり北アルプスの神々しさは別格ですね。一面の雲海の向こうに連なる姿と言ったらもう、何言っても陳腐になるレベルの美しさでした。
ちなみに槍もしっかり見えています。
折角なので美しの塔からパノラマ写真で撮影。標高2000m近いのにここまでの平原が広がっているのも不思議ですねぇ。
ちなみにここの牧場にはポニーも飼育されています。
山小屋のブログによると、このポニー達はただのペットとして飼っているそうな。まぁ人が乗ったり馬車を牽いたりする大きさではないですよね。
さて、行く前は美ヶ原だけ寄って帰るつもりでしたが、この快晴なのにこれだけで帰るのは勿体無い。でもやっぱり歩きたくはない……w
思案した結果、乗鞍岳に行くことにしました。今日の歩きたくなさは徹底しているのです。
という訳で美ヶ原を下ります。6時頃になると雲海もだいぶ晴れてきましたね。
林道をずいずい下って松本市内へ。朝食ついでに松本城に寄ってみた。雲が多く下界から北アルプスは見えず残念。
8時30分に岐阜県側のほおのき平に到着。乗鞍岳へは長野側と岐阜側から行けるのですが、長野側の開通は7月からなのです(今日は6月下旬)。ちょっと遠回りだけどまぁ仕方が無い。
それにしても結構混んでますねぇ。まぁ夏山直前のド快晴とあれば当然か。
補助席まで出す勢いでしたが、なんとか全員載せて8時55分にバスは出発しました。
うたたねしている間にバスはグングン高度を上げて9時40分に乗鞍山頂畳平に到着。流石に標高が高いのでちょっと寒い(気温13℃)ですね。
早速準備して出発。山頂までは1時間の予定です。
歩き始めてから5分もしたら畳平を眺められる高台に着きました。早速素晴らしい光景です。流石北アルプスは違うなぁ。
富士見岳の下を通ると、長野県側の視界が広がります。
大雪渓では数多くのスキーヤーやボーダーが滑っていました。この眺めを見ながら滑るのは気持ちよさそう。
摩利支天岳を巻く平坦な道を歩いていると最高峰の剣ヶ峰が見えてきます。
手前から朝日岳・蚕玉岳、そして最高峰の剣ヶ峰。北アルプスの山々と言えば豪快な岩肌を思い浮かべますが、乗鞍岳は女性的というか嫋やかな山容をしています。
さて、ここから先は一気に200mほどの登り。
基本は歩きやすい道ですが、途中で残雪帯を通過しました。
まぁツボ足でも問題はありませんが……滑ったら余裕で100m下くらいには落ちそう。お~こわこわ。
蚕玉岳まで登ると雪が溜まっている火口が見えてきます。乗鞍岳は最近全然噴火していませんが、実は火山なんですよね。穂高や槍とは違う穏やかな山容も火山ゆえだろうか。
剣ヶ峰に向けて最後の登り……。大したことは無いのですが、徹夜のせいで頭が割れるように痛い!ぐお、これは辛いぜ……。
うんうん唸りながら登っていると、ふいに鳥居が出現しました。
や、やった!山頂に着いた。
10時50分、乗鞍岳3026m登頂です!
うーん、とにかく眺めが、凄い!大迫力の北アルプスを一望できます。
今日は空気が澄んでおり遠くの山まではっきり見えますね。
そして北アルプスの左には、、、
帰って調べると理論上は見えるらしい。乗鞍岳から日本海を見れたという記録はあまり無いので貴重な光景です。
西には高山市の向こうに白山(右奥の山)。
南を見ると大日岳の向こうに御嶽山が見えます。遠くの山と違って手が届きそうなほどの近さ。
おそらく左は甲斐駒ヶ岳で、中央が北岳ですね。富士山も北岳のすぐ左に顔をのぞかせています。
いや~とにかく景色が良い。徹夜でちょっと頭が痛いけど本当に来て良かった。
ちなみに山頂はあんまり広くありません。20人もいればいっぱいになりそうなくらいです。
周囲の景色を眺めているとふいに見慣れない格好をした人がやってきました。
ン……!?ストームトルーパー!!?なぜこんな所に。
どうやら衣装を担いで登ってきたようです。これもバスで2700mまで来れる乗鞍岳ならではの光景かもしれませんね。
30分ほど滞在して11時30分、下山を開始します。下山路の眺めが贅沢すぎて足を踏み外しそう。
早朝は雲一つない快晴でしたが、徐々に上層が雲が増えてきてハローも出現しました。
富士見岳の横を通っているとデカいレンズを山肌に向けている男性が一人。なんだ?と思って山を見上げると……ライチョウを発見。
天気は良いしライチョウは見れるし最高。
12時半に畳平到着。良い登山でした。
バスでほおのき平に下ってから上信越道を通って一路つくばへ。レッドブル2本を飲んでなんとか午後5時に帰宅しました。この運転はものすごくキツかった。山は良かったけど……徹夜はもう勘弁!
感想
今回はなんと言っても天候に恵まれたのが良かったです。夜明けとともに霧が晴れていく美ヶ原はそれはそれは美しかった。間違いなく人生で最も良かった夜明けの瞬間でした。
乗鞍岳も良かった。とにかく景色が良い。素晴らしい。日本の山オールスターをこれでもかと眺められます。この眺望の良さは圧倒的でしょう。
まぁ2700mまでバスで行けてしまうことについては色々と賛否ありますが、お手軽にこの景色を見れるのはやっぱり良いと思います。乗鞍岳をきっかけに山を好きになってくれる人もいるでしょうし。
乗鞍岳は高山付近から立派な姿を望めるようですので、次行くときは頂上からの景色だけではなく下からも眺めてみたいですね。
おわり