転がる五円玉 ~旅と城と山~

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晩秋の薬師岳へ 折立から日帰り

10月も下旬になると下界もいよいよ肌寒くなってきて、山の終わりを感じます。

一年の登山を締めくくる大事な時期。今年選んだのは薬師岳でした。北アルプス北部に位置する山。微妙に地味ながらも、雄大な展望と圏巻谷があるらしい。

日帰りでも十分行けそうなので、10月中旬のよく晴れた日に登ってきました。

 

登山日 2022年10月13日

行動時間

<折立>7時10分ー<三角点ベンチ>8時20分ー<太郎平小屋>10時00分ー<薬師岳小屋>11時30分ー12時20分<薬師岳>13時00分ー<薬師岳小屋>13時30分ー14時40分<太郎平小屋>15時10分ー<三角点ベンチ>16時00分ー<折立>16時50分着

合計9時間40分

 

夜に京都を出てからひたすら北陸道を北上して富山のネットカフェに宿泊。5時間ほど仮眠を取ってから登山口である折立に向かいます。6時開門の有峰林道に突入して40分ほどで、薬師岳のみならず、黒部川源流域の玄関口である折立に到着しました。

 

北アルプスの玄関口は上高地・新平湯・扇沢などいくつかありますが、ここはその中でもやや地味な印象です。バスは一日数本ですし、自販機1台のみで売店などもありません。それでも道中は全て舗装ですし駐車場は数百台駐車できます。地味な登山口ですらこの規模感。北アルプスはやはり日本の登山の中枢だという事を実感する所です。

10月中旬のこの日は常設駐車場はほぼ満車という盛況ぶり。無雪期登山も終わりかけの時期に駆け込みで登ろうとする人はとても多いのでしょう。

 

天候は曇り。とはいえ雨上がりの空からは青空が見えており登山日和の予感しかありません。ワクワクが止まらない。

さてさて出発です。気温はやや肌寒い程度で半袖でも十分行ける感じ。

駐車場の台数と比べて登山者の数は少ない印象。おそらく前日から泊まりで入山している人が多いのでしょう。

折立から三角点までは地味な登り。しかし紅葉時期なのでこの地味な登りでも色鮮やかな木々が我々の目を慰めてくれます。やっぱり樹林帯歩くなら紅葉ですね。

三角点ベンチに到着。あれっ、思ったよりも近い。コースタイムの半分くらいできちゃいました。この辺のコースタイムは泊まり装備が基本なのかな?

5分ほど休憩してすぐ出発。ここから先は緩く登っていきます。道は整備されており歩きにくさは感じない。

意外にもちょいちょいアップダウンはありつつも、視界は次第に広がっていきます。右手には北ノ俣岳。

そして左には薬師岳の展望。秋らしいスッキリとした青空も見えてきてテンションが昂ってきた。

標高の割に景色良いし、歩きやすいし、この登山道は素晴らしいですね。南アルプスも見習ってほしい(苦笑

 

後半は更に傾斜が緩くなって木道を歩く。太郎平小屋は見えてから意外と遠かったけれど木道のおかげですぐ着きました。

太郎平到着。小屋泊の人は既に出ており、ちょっと閑散とした雰囲気。

正面には黒部五郎・鷲羽・水晶ら名山が並んでおり結構壮大な景観をしています。まさに「雲の平への入口」という雰囲気。

ここの玄関口らしさは結構好き。この看板からは「ここから先は山奥。準備してから行くように。」みたいな圧力すら感じます。横尾山荘も似たような感じだけど、こっちの方が景観が良い。

 

左手には薬師岳も見えています。黒部五郎とかと違って手の届く距離なのが良い。と言っても結構遠い気もするのでさっさと出発します。

 

おお、、、すごい、、、。

正面に薬師岳を望む、歩いていてため息しか出ない道。この懐の大きさは薬師岳の魅力なのかも。

 

一旦薬師峠まで下ってキャンプ場到着。いくつかテントはありますが、既に薬師岳に向けて登っている様子です。

ここは2294mなのであと600mちょい登れば頂上。思ったより疲れてないし楽に行けそうな感じです。

 

キャンプ場をすぎると突然の急登。先ほどまでの解放感はどこへやら、水がチョロチョロ流れる細道です。草も濃密で夏場はしんどそう。

展望はないものの草紅葉も楽しめるので言うほど悪くはない。解放感があるのはいいけど、それだけだと退屈ですしね。

稜線まで登りきるといよいよ薬師岳が目前に迫る。周囲がハイマツになってきたしいよいよ高山の雰囲気。

しかし、この辺から背後が雲に覆われ始めました。標高2500m以下くらいにしか溜まってないので山頂は大丈夫そうだが、、、ちょっと急ぎ気味で行こうか。

秋晴れの下、紅葉を眺めながら登るほど楽しい瞬間は無い。

若干の急登を登りきるといよいよ本稜線へ突入。

アレ、薬師岳だと思っていた山の向こうに別のピークもあるな……。後から分かったのですが、遠い方が薬師岳だった模様。こういう事って結構ありますよね。

 

後ろは一面の雲海に。これ以上上がってくる気配も無いので山頂は晴れそうです。良かった。

小さいピークを巻くと薬師岳山荘に到着。

なんだかすごい絵になる小屋ですね。薬師岳と景色のバランスが良い。ちなみに既に今季の営業は終了していました。

稜線はさすがに風があるので小屋の擁壁内で休憩。天気は良いし雲も上がってこなそうなのでついついのんびりしてしまいます。

 

さて薬師岳へ最後の急登。巨大な大斜面の登りです。

標高差150mくらいしかないのでなんなく突破。

建物もあるし、山頂だろ!と思ったらなんか違う??

あっ、あれかぁ。ここで薬師岳山頂はまだ500mほどある事に気付いたのでした。手前のピークに騙される山あるある発動!

 

ここら辺から有名な薬師岳の圏谷群が見えます。むっちゃ大きいスタジアムのような雰囲気。この緩い斜面の下が黒部川のV字谷になってるとは思えない。

後ろには遠く槍ヶ岳を望む。最高の景色だ。

既に着いた気分になっていたけど山頂が思ったより遠い。まぁ500m以上あるからしょうがないんですがね。

稜線のビクトリーロードを歩いて山頂到着!

すごい!立山続く稜線が一望できる!

それに富山平野側は大雲海。2500m以下くらいは雲がミッチリ詰まっています。これほどの雲海は年に一回見れるかどうかだ。

反対側は槍ヶ岳を中心として北アルプスが一望できる。流石に富士山までは見えないものの素晴らしい景観。

黒部川を見下ろすとまだ源流近いのに急斜面を刻んでいる黒部川が見えます。

できれば富山湾を一望したかったけど、晩秋にこれだけのグッドコンディションで登れたのはとても運が良い。黒部川を見下ろしながらしばし休憩をします。

 

さて、、、いつまでも座っていたいが、そろそろ下山の時間。雲も若干上がってきましたね。

こういう危険箇所の無い山は下山でも景色に集中できるのが良い。巨大な谷と槍ヶ岳の呆れるほど綺麗な景色。

大斜面も一気に下ります。風が気持ちいい。

小屋も越えてから後ろを振り向くと、薬師岳が実に雄大に見えています。これぞ名山の風格。秋の高い空が良く似合う山です。

この稜線を下っている途中からガスり始めました。まぁ想定内。

草紅葉を見ながらボヤーっとした道をひたすら歩きます。

太郎平もご覧の通り。上から見た感じここは風の通り道なのでそう簡単には晴れなさそう。

が、ベンチでグダっていると急に雲が晴れてきた。

うおーっ、すごい!浮世絵みたいなと薬師岳の景色、良すぎる……。やっぱり秋の山は最高。

ちなみにここでちょっとトラブル発生。友人の一人が高山病っぽい症状で動けなくなってしまった。日没が迫る中やきもきしたものの、30分ほどでなんとか動けるようにはなったよう。

自分は全く大丈夫なので知らなかったのですが、3000mくらいでも高山病になる人はいるようですね。また一つ勉強になった。

 

ここから太郎平までは結構長いはず。既に午後3時を越えて日没は近い。友人も大丈夫と言っているのでやや小走りで下山を急ぎます。

しかし、景色が、とにかく良すぎる~~~。こんな秋晴れ見せられたら写真撮るしかないじゃない。急がないといけないのに~。

そんな思いが届いたのか標高2000mくらいからガスに呑まれてあとは淡々とした下りになりました。

三角点ベンチ到着。うーん、折立~太郎平は下りの方が長く感じるな……。なんでやろ。

ガスの中下山。ところで下の写真、登りでも全く同じ場所で撮っていました。別にポイントでもないのに。よかったら見比べてみて下さい。

向こう側の谷が近づいてきたらもう下山間近。十三重塔まで来たらもう登山口です。

下山完了!いや~~太郎平から折立が遠かった!!

上部はすっかり雲で覆われています。日没まで30分くらいだったでしょうか。最後は結構ギリギリで焦りましたが、なんとか到着できてよかった。暗い中の下山はやりたくないですよね。

この後は有峰林道を通って高岡市に宿泊しました。夕飯はもちろん寿司!登山したあとに海鮮を食べられるのは富山ならではです!最高の山に最高の飯。本当に良い一日でした。

 

おわり