転がる五円玉 ~旅と城と山~

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6月中旬の岩手山 馬返し登山口から日帰り

早池峰山を登った我々は悩んでいた・・・!

岩手山を今日登るか明日登るか。今日は体力が辛いし、明日は天気が怪しい。登山していると時々ある正解が無い問題。運転しながら1時間ほどみんなで悩んで出た結論は・・・

 

今日登る

 

遠征で来ているから多少疲れようと晴れを積極的に狙いたい。岩手山は標高差1400m。既に10時すぎだし、早池峰山も登っている身としては厳しい登山が予想されるが、頑張ろうという事になりました。

 

早池峰から運転して盛岡市を越えたら綺麗な形をした岩手山が見えてきました。頂上に雲掛かってるけど飛ぶと信じるしかない。

11時半ころに馬返し登山口駐車場に到着。うおお、無茶苦茶暑い。6月中旬だってのにこの暑さは衝撃的。こんな時間から登り始めるのは初めてだし先が思いやられます。

サクッと準備していざ出発。始まってすぐは快適な樹林帯。深緑が最高に美しいぜ。

ところが、癒しを感じながら歩いているとふいに「ドカーン!」「ドコーン!!」と謎の爆発音が聞こえてきました。地図によると近くに自衛隊の演習場があるので、そこからの音のようです。癒しの雰囲気はぶち壊しであるが、これから登る我々を鼓舞しているようで悪い気はしません。

 

砲撃音の中登って1合目到着。まだまだ樹林帯で標高は低そう。

この辺から所々で視界が開き始める。ぐあああ、暑い……。しかも火山特有の砂利で滑る道も辛い。

この辺から下山者とすれ違い始めます。

「今から登るんですか?」

「そうです。さっきまで早池峰行ってたんですよ。遅くなってもヘッドライトはあるので大丈夫です」

「なるほど。雷雨には気を付けて下さいね」

え、雷雨?確かに雲はあるけど雷雨にはならんだろ~(フラグ)

 

2.5合目。ここからは旧道と新道に分かれます。旧道の方が景色が良いらしいので旧道へ。

まぁ景色は良いとはいえ途中までは樹林帯で標高は1000m以下。

先は長いので無心モード発動。景色の無い樹林帯は黙々と何も考えずに歩くに限ります。

と思ったら三合目から急に視界が開けた。

目印も何もない岩場をただひたすらゼエゼエしながら登る。辛いが、後ろを振り向けばこの景色!

 

おお……。やっぱり雲の形がくっきり見える景色っていいですよね。

 

ガレ場を登り切って13時に五合目到着。雲がかかっているおかげで思ったより暑くない。これなら頂上までいけそう。

15分くらい休憩して出発。

ここからも同じような火山性の道ながら崖が豪快に崩落しており結構怖い。この崖が新道を作った原因かもしれません。

 

六合目である御倉岩に到着。危険地帯を越えたらしく安堵するも、なんとここで一緒に登ってきた後輩がギブアップ宣言。せめて8合目の小屋まで行かんか、というももう限界だという。

しまった……同行人の体力を見誤った私のミス。2年ぶりに会ったせいか、彼の体力の低下を捉えきれなかった。ちなみに残りの友人は剱岳早月尾根を日帰りするレベルなので問題なさそう。

もう下り始めるというので車の鍵を渡して離脱。やや心配ではあるが、道迷いの危険性も少ない山なので大丈夫だと思う。

 

気を取り直して再出発し、7合目鉾立到着。ここでようやく頂上のお鉢が見えるようになります。

ここから先は傾斜も緩くなって別天地な感じ。10分ほどゆるゆる歩いて14時に八合目避難小屋到着。

ログハウス風でものすごく立派。避難小屋というかこりゃ最早山小屋ですな。

驚いたのは御成清水の水量。山の上だというのにドバドバと大量の水が湧き出ているではないか。

これだけ湧いてたらシャワーでも浴びれるんじゃないの??ってくらいの量。こんなに湧いてるのは見たことない。東北の自然の豊かさはすごいなぁ。

 

さて山頂まではあと一息。南斜面から怪しい雲が湧いているけれど、こっちまでは来なさそうです。

ちなみに写真の人々はたぶん高校生くらいの集団です。元気があってよろしい。

 

西からの登山道と合流する場所には不動平避難小屋もあります。ヨーロッパの蔵のようで実に絵になる。

 

さぁここからが本丸。岩手山山頂へアタック開始!

うーむ、植生が無くなった途端これ。火山らしい道です。

でも一歩ごとにズルズルと滑るのが辛い~。しかもこういう道って細かい砂利のせいで靴が劣化するんですよね。最悪。

150mほどゴリッと登ったらお鉢の縁に到着。富士山とかと違って結構起伏がある。山頂は左奥かな。

お鉢をぐるっと回って山頂へ。

 

うわー、すごい道だ。景色が良すぎる。これぞビクトリーロード。雲を見渡しながらのんびり歩くこの時間のためにここまで来たんだ!

 

道端にお地蔵さんがいるのでRPGのラスボス戦のような高揚感があるのも良い。

ここの道は今思い出しても雰囲気最高でした。ここまでの道中が険しかっただけに、解放感がすごい。個人的に今回の岩手山で最もよかった場所です。

 

西を眺めると鬼が城や秋田駒ケ岳までの稜線が一望できる。今日と違って起伏のある歩きができそうな魅惑的な稜線。

後ろを振り向けば稜線の向こうに盛岡市。ここまでの苦労が報われる景色だ。

 

14時50分、岩手山登頂。

山頂からの景色は思いのほか良くありません。利尻山とかと違いお鉢になっているので、北側の斜面しか眺められないのです。

 

しかし今日は雲がすごい!東に豪快な入道雲が湧いており、高さ的にちょうど真横から眺める格好になっています。

 

勝手に友人を撮影。おお、ただのオタクなのになんかポスターっぽくなるぞ。エモい雲って偉大なんやな。

 

のんりびしたかったのですが、時間が押し迫っているのと羽虫が大量にいるので10分ほどで撤退。羽虫は本当に多かった……上の写真をよく見るとノイズみたいな黒い点が沢山あるのが分かると思います(泣

入道雲を見ながらテクテク。ここはほんまに良い道だわ……。

 

岩手山神社奥宮への分岐道があったものの疲れていたのでスルー。すっかり忘れていたけど今日は早池峰も登っているんだった。結構疲れた感じ。

途中から八合目小屋と盛岡市が目に入る。この浮遊感。この景色こそ独立峰のいいところだよなぁ。

登りは苦戦した砂利道も下りは高速で下れるので楽しい。富士の大砂走とは規模が全然違いますけどね笑

15時30分、八合目避難小屋到着。時間が無いのでちょっと休憩してすぐ出発。

下りは行きと違って樹林帯の新道を通ったものの・・・

なんじゃこの道はー!

残雪だらけで歩くのも一苦労。この時期特有とはいえこれはしんどい。新道と名がつくのでもっと歩きやすいのかと思っていた~~。

 

五合目で新道と旧道を横に結ぶトラバース道があるので旧道に鞍替えします。

このトラバース道がまぁまぁ荒れててビビる。地図だと実線なのにこりゃ破線レベルの荒れ具合じゃないか?あんまり使う人いないんだろうな。

 

登りと同じ道をガンガン下っていく。尖った火山岩が多いので割と注意は必要。景色は相変わらず良いので爽快感はあります。

 

新道と合流してから下の展望地で休憩。独立峰は景色でどれくらい下ったか分かるのがいい。

が、流石に下になると樹林帯になる。気合いを入れて1合目まで帰ってきた。ここからが意外と遠くまだ1㎞以上あるのよね~^^

ぜぇはぁ……マジでしんどい。。。1日に二峰登るのは無謀だったかと思いつつラストスパートを頑張る。登り返しが無いのが唯一の救いである。

 

そんなこんなで遂に馬返しキャンプ場到着。

うーむ、、、、限界である。

人生で本当に限界に達したことは何回もないけれど、この時は本当に限界だった。睡眠不足も相まって今にも倒れそう。

でも、達成感はあります。これがあるから登山はやめられないなぁ。

 

このキャンプ場には岩手山の湧き水がじゃんじゃん湧いており飲み放題となっています。勢いが良すぎて辺りが水浸しだぁ。

駐車場に帰還すると後輩はちゃんと待っていた。悪い事をしたなぁ、今度飯でもおごるよと言いつつその機会はまだ訪れないのだった。

 

おわり

 

追記

本来は岩手山登山の日だったけど1日空いたので観光!

まずは秋田新幹線の撮影地へ!

「昔にもどそう 大地、自然」

最新鋭のE7系との落差で妙に趣深い光景になっている。東北は奥深い所である。

 

次は田沢湖へ。

角館武家屋敷。

水沢競馬場。

!?

いきなり毛色違いすぎだろう。と思いつつも競馬好きとしてスルーするわけにはいかなかった。

昭和の香りただようこの雰囲気、嫌いじゃない。

最後は仙台空港へ。

終わってみれば実に良い遠征であった。目的の2座は登れたし観光はできたし。これぞ遠征登山の楽しみですよ。百名山登り終わってもこういう登山はやりたいね!

 

おわり

早池峰山 小田越から日帰り

東北の山に行きてェ!!東北北部ならまだ梅雨入りせんだろという予想の元、6月中旬に早池峰山と岩手山に行ってきました。どちらも百名山入りしている名峰。東北らしい透き通る青空が見られるか期待しかないぜ。

まずは早池峰山から。

登山日 2022年6月11日

コースタイム

河原の坊駐車場4時30分発ー小田越4時50分ー五合目御金蔵5時50分ー山頂6時30分着7時30分発ー小田越8時45分ー河原の坊駐車場9時15分着

合計4時間45分

 

金曜夜、関空から飛んで仙台空港着弾しました。仙台から早池峰山までは近そうに思えて200㎞以上あるので、今夜のうちに登山口近くまでレンタカーで移動します。

当初の予定では車中泊でしたが冷静に考えると男4人で車中泊するのはしんどいので、花巻の快活クラブに突入。登山前には本当によくお世話になっております。これからも頼む。

 

~~~~~仮眠~~~~~

 

3時に起床。非常に眠い!でも体伸ばして寝れたので体調は悪くは無い感じ。

 

花巻から山道を登っていきまして、河原の坊駐車場に到着です。

来週からマイカー規制でここまで来れなくなるので一杯かと思いきやガラガラ。ちょっと拍子抜けかな。

それにしても天気が悪い。雨は降っていないので最悪ではないが、この後本当に晴れるのだろうか?

 

河原の坊から20分ほど林道を歩いて登山口である小田越に到着。深い霧に包まれてるし、誰もいないし、本当に百名山なのか?ここは。

でも登山口のこの立派さは百名山ですね。いざ出発。

始めは樹林帯をしっとり歩くものの10分もしたら森林限界突破しました。目の前に広がるのは早池峰の岩壁。

思わず全員でうおー!と声を上げます。

しかももう雲の上まで上がってきた!これは優勝間違いなし。最高の登山になりそう。

標高1400mやそこらで森林限界超えるのは素晴らしい。既にこの山好きになってきました。

が、標高を上げていくとだんだん辺りは霧に包まれはじめ……

 

五合目御金蔵では完全にガス。

ヒュー……ヒューー……

 

風が無情にも斜面を吹きわたる。雨が降っていないのはいいんだが……。

遠征登山でこういう状況になると辛いというか運の悪さを嘆くしかなくなります。あーあ、寝不足の頭が重い。

 

5分ほど休憩して出発です。しばらく平らな所を歩いたのちに早池峰名物のロング梯子に到着。高度感あって怖いとの評判ですが、今回はこの通り。全く怖くなくて良かった泣。

この梯子を越えるとすぐ稜線に到達。あとは緩やかに山頂を目指すのみになります。

山頂到着。んーー完全にガスった!でもまぁ登れただけ良かったかな。こういう事もある、と自分を慰めます。

山頂の避難小屋で休憩。

しかし、小屋内で気象庁の衛星画像を観察すると、南から徐々に晴れてるような気がするのです。かなり微妙ながら、この調子ならあと30分もすれば晴れるかも?

うーむ、やっぱり晴れを諦めきれない。早く降りようとする同行人をなんとか説得してここで待機します。これはもう賭けみたいなもの。折角岩手まで来たんだ。晴れてくれ……!

 

40分後、もう無理じゃん?感が漂い始めた小屋内がふっと明るくなりました。もしやと思い外に出ると確かに明るい。だがまだガスが漂っている感じ。

ガスから晴れに変わるときは一瞬で晴れる事もあれば、行ったり来たりをしつつ徐々に良くなっていく事もあります。今回は後者。更に5分経つと晴れる時間が増していき、、、

 

完全に晴れたーーー!よっしゃーーー!!!

これこれ。まぁ下界の景色は見えないけど、これよ!雲の上の稜線が素晴らしい。わざわざ関西から来た甲斐があった。Gooooood!!

ハッ、いかんいかん。山頂にはもう1時間もいる。そろそろ下らねば……。

天空の稜線歩き。これぞ山の醍醐味ってやつ。

稜線からの下りもまたいい高度感ですねぇ!雲が取れてきて下が見え始めたのも素晴らしい。タイミングが良すぎる。

この辺で気付いたのですが、山の斜面が思ったよりも壮大。まぁ標高差500mで横5㎞くらいあるので当然ちゃ当然ですが、登りがあっという間だったので予想以上の迫力に驚いています。こんなに大きい斜面を直登していたのか。

 

行きはガスガスだった梯子もこの通りの景色。確かにちょっと怖いぞ。

ガスが飛んで下が見えるようになってきた。展望が広がる下山ほど楽しいものはない。本当にめっちゃ楽しい。

下から登ってくる登山者と励ましつつ御金蔵到着。さっきまで絶望の気持ちで佇んでいたのが信じられない。

ここから下を眺めると緩い谷の光景が大変見事です。グライダーで飛んでいきたいくらい。

ゆるゆると下って樹林帯に突入。ここまで下ればもうゴールしたようなもの。

山頂から1時間ちょっとでゴールしました。短い登山でしたが満足感は十分。良い山でした。

しかし、本当に感動したのはここからの林道からの景色でした。

途中のカーブを曲がると早池峰山の稜線が視界一杯に広がります。その稜線の雄大なことと言ったらアルプス級かもしれない。地方のしょぼい山と侮っていましたが、この貫禄ある姿は名山に相応しい。

良い山で良い登山だったなぁ~と言いながら駐車場まで下りました。実に満足。さて、お次は岩手山ですが、明日の天気が怪しいとの予報で迷いが生じています。明日登るか登らないか。しかし、我々はここで第三の選択肢をチョイスするのですが、それは次回。

 

つづく