ネパール・冬のアンナプルナサーキット Part1:いきなり旅程崩壊!さらばエベレスト街道……
2022年の年末はネパールのヒマラヤに行ってきました。目的地はずばりエベレストベースキャンプ。あらゆる登山者の憧れの的。あのエベレストに接近できるとあって出発前からワクワクが止まらない!
……はずだった
結局行ったのはネパール西部のアンナプルナサーキット。こっちはこっちで満足でしたが、エベレスト街道を諦めざるを得なかったのは今でもかなり心残りなのですよ~。
2022年12月29日
関西国際空港の国際線ロビーから旅行は始まります。コロナも終わりつつあって活気が戻りつつある。
マレーシア航空でクアラルンプール経由でネパールの首都カトマンズまで飛びます。到着時刻が22時30分と深夜なので現地治安が不安だけどなんとかなるでしょう。
日本を出て16時間後、カトマンズ国際空港に到着しました。ちょっと肌寒いけど日本ほどは寒くない感じ。
アライバルビザ(日本円で購入可)を手に入れ、荷物を回収し、開いていた両替屋で両替をして、SIMカードをスマホに入れて空港の外に出ます。建物は発展途上国感がありながら英語表記がしっかりしているのは観光大国という感じです。
札束!これが旅の原資になるはず。
流石に空港周辺は夜でも明るいですね。
でも空港を一歩でると真っ暗。徒歩10分くらい先のホテルに着いたときは心底ホッとしました。もう午前0時半ですが、明日は朝6時には空港に行く必要があるのでさっさと寝ます。しかしシャワーが水しか出なくてさっそくネパールの洗礼を浴びた……。
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完全に寝不足ながら5時半に起床。宿の入口が閉まっていたのでロビーで寝ていた係員を起こして開けてもらった。
6時にカトマンズ空港の国内線ターミナルに到着。
チケットをサクッと手に入れて待合室で待機します。暖房が入っていて暖かい。
しかし、飛行機が飛ばない。
午前7時に最初の遅延の連絡。
午前8時に二度目の遅延の連絡。カトマンズ空港自体が閉まっているようで、待合室には人がどんどん増えてゆく。行先が同じと思われる日本人の高齢者団体も不安な表情。
午前10時。遂に他の航空会社がルクラ行き欠航のアナウンス。あー……これはダメかもな……。私が乗るTARA航空はまだ欠航のアナウンスは無い。まだ諦めきれない。ひたすら待ちます。
しかし11時に無情にも欠航アナウンス。空港係員にチケットを見せると「ヘリコプターで行けるかも」とのこと。追加で200ドル必要だが藁にもすがる思いで待ちます。
この時に空港職員が連れてきたのが日本語の喋れる「KK」というツアー会社の男。この時は単純な親切心で雑談しながらターミナルで待っていました。
しかし1時間経ってもヘリは飛ばない。「KK」曰くヘリで行きたい人は既に行ってしまい、5人乗りのヘリに乗る人が集まらないらしい。
更に30分後、空港内のカフェでお茶をした。
更に1時間後、空港近くのレストランで昼食を摂った。
でもヘリは飛ばない。今日はもう絶望的な事が確定しました。
マジか……。
昼食を食べながらKK氏と相談。この時点での私の選択肢は三つあります。
1.明日のルクラ行きでエベレスト街道へ
2.アンナプルナ内院へ行く
3.アンナプルナサーキットへ行く
1は正直もう厳しい。日程に余裕が無くて辛い旅行になりそう。となると2か3か。やや迷ったものの、サーキットの方が標高が高いしピストンじゃないので魅力的に思いそっちに行くと決断しました。
ただ、この決断は相当辛かったです。アンナプルナは魅力的であるもののエベレストは見たい。やっぱり見たいのです。KK氏にそのことを言うとカトマンズ近郊にエベレストが見える丘があると言い始める。そういう事じゃないんだよなぁ。
とにかく午後3時になりヘリはもう集まらないことが決まったのでKK氏のツアー会社に行きました。しかし、KK氏は昼食時は行きの交通だけでも手配できると言っていたのに、ガイド付きで宿代3食代込みのツアーしかやらないと言い始めたのです。
うーん、、、できればツアーは使いたくなかった。そういうトレッキングはやりたくなかった。
自分で歩いて自分で交渉して、自分でメニューを選ぶ、そういう自分で頭を使うトレッキングをやりたかったのです。
しかし、それをするには知識が足りない。道中の宿もルートもエベレスト街道のように調べてはいませんでした。結局のところプランBを明確に考えず、空港で飛ばない飛行機をダラダラ待っていた自分が悪いのです。
KK氏に提示されたツアー代は1000ドル(14万円)。決して安くはない金額ですが、時間はそれ以上に貴重です。今から自力でアンナプルナサーキットの情報を集めると更に1日は必要でしょう。諸々を考慮してその場で支払いました。
KK氏と夕食を食べようと約束してからツアー会社の宿(無料)に投宿。
宿で色々調べてみます。ツアー代は妥当なのか?ガイド無しだとどれくらいの価格なのか?
どうやらツアー代はかなり妥当というかむしろ割安くらいと判明。ムダ金を払ったわけでは無いのでホッとしました。
また、1人で行っても1日当たり5000円くらいと交通費がかかって8万円くらいかかる事も判明。つまりツアーはソロよりも6万円くらい高いようです。自分のリサーチ不足と判断力の無さで6万円失った事に落胆。いや、安全性や時間とかを考えると無駄ではないことは分かっているのですが……でも金を失った事で気分が沈みます。悲しい。
エベレスト街道にソロで行っても14万円程度はかかるので、懐への損はないからな。とか思いつつ自分を慰めてKK氏と夕食に向かいます。
夜のカトマンズは暗くて寒い。停電が頻発するせいで道は真っ暗です。それにガソリン代が高いせいか町のあちこちで焚火で談をとる現地人の姿が目立ちます。この辺いかにも途上国っぽい。
そんな町中の薬局で高山病予防薬のゾマライトを購入。10粒で100円。日本ではダイアモックスという同じような薬が病院に行けば手に入りますが10錠で5000円以上となんと50倍差。これは得した気分。
KK氏おすすめのダルバート屋でダルバートを食す。昼食もダルバートを食べたのですが、それどころではなくて味を殆ど覚えていないので、実質的に初ダルバートです。
インドカレーのようにスパイシーではなく優しい味がします。特にほうれん草は日本で食べる煮つけを大差ない食感。これは結構食べれそうです。ネパールでは食べ物は大丈夫そうで安心しました。
夜10時頃に宿に戻って就寝。明日は5時にガイドが宿に迎えに来てくれるようです。あぁ……今頃はエベレスト街道の宿に泊まっているはずだったのに……。無念でなりませんが、これが現実。寝ます。
つづく
10月・雪だらけの雲の平へ その2:鷲羽・水晶そして雪の雲の平へ編
行動時間
10月8日
<黒部五郎小舎>4時15分ー<三俣山荘>6時15分ー7時20分<鷲場岳>7時40分ー<水晶小屋>9時00分ー9時45分<水晶岳>9時50分ー<水晶小屋>10時30分ー<祖父岳>12時00分ー13時30分<雲の平山荘>14時00分ー<薬師沢小屋>16時00分着
合計12時間00分
10月9日
<薬師沢小屋>4時30分ー<太郎平小屋>7時20分ー<折立>9時30分
合計5時間00分
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ピピピピ、ピピピピ、、、
ハッ……朝か。
布団があまりにも快適すぎて8時間近くも熟睡しました。やはり平らな床は快適さが違う。
もそもそと用意をして4時前には布団から出る。朝食付きの人たちはまだ起きていないので、我々は玄関で朝食を食べます。
ありがたいことにお湯入りのポットが玄関に置いてあるので飲ませて頂きました。(宿泊者は無料)。私は朝食はパンで軽く済ませる派なのですが、お湯で胃があったまるだけで気持ちの余裕が生まれるのが良い。
天候は晴れ。天気はまだ大丈夫そうだけど、今日の予報をまだ見れていないので早く確認したい。悪かったら水晶岳はスルーの決断をしなければ。
気温は-2℃くらいのようです。凍えるほどではないので、見た目は冬だけど気温は秋の山って感じですね。
三俣方面に向けて出発~。
小屋を抜けたらいきなりの急登!250mガシガシ登ります。こういう辛い登りはナイトハイクで一気に登るに限るぜ。
三俣蓮華岳との分岐に到着。ここで三俣蓮華岳に行くか、巻き道を行くか。今日の行程は長いので巻き道を行きます。
しかし巻き道ってだけでちょっと嫌な予感。登山者なら分かると思うのですが、巻き道って変なアップダウンがあったりして歩きにくい事が多い気がする。今回も大丈夫だろうか。
おーん、一歩踏み出しただけで分かったのですが、この道ノートレースです。ここ数日通った人はいなさそう。これはヤバいぞ。
案の定のプチラッセル状態。先頭を交代してもらいつつ先に進むのですが、雪で倒れたハイマツがとにかく酷い!道を完全に覆ってしまい、道が分からずGPSを見ながら10分ほど迷う場面もありました。焦りもあってここは精神的にキツい場面でしたね。
どうにかハイマツ帯を抜けて上へ。
稜線まで登りきるとちょうど日の出。鷲羽岳が美しい……。
しかし、今日はまだ始まったばかりなのにこの疲労感。雪も全く溶けてないしちょっと不安もある。が、、、まぁなんとかなるだろ。
6時過ぎに三俣山荘に到着。
意外にもコースタイムの7割くらいで移動できておりちょっと安心。あれだけ苦戦したのにこのタイムなのは最初の登りで頑張ったからかも?
15分ほど休憩して鷲羽岳にアタックします。
約400mの急登ですが、雪が無いので思ったよりも歩きやすそう。
実際、道に雪は無く淡々を上へ上へ登ります。一歩が小さくて良いので雪が無いってありがたい。
天気は完全に曇天ながら槍ヶ岳の展望もある。これは眺望に期待できそう。
山頂付近は流石に着雪があるもチェーンスパイクで問題無し。
下から一気に登り切って鷲羽岳登頂!雪が無いせいか思ったより簡単だったなぁ。
山頂はあんまり広くない感じ。10人もいればいっぱいになりそう。
展望は一級品です。特に槍ヶ岳方面が素晴らしい。
手前の稜線がアクセントになっており、常念岳からの展望より迫力があります。
雲の平方面も雄大な展望ながら、槍と比較するとややのっぺりした印象。
目を引くのは黒部五郎岳。左に伸びる稜線が美しく、南アの仙丈ケ岳のような雰囲気です。
北にはこれから行く水晶岳と右に伸びる裏銀座の縦走路。
水晶岳、思ったより遠いなー。今日はまだまだ長い。早めに出ましょう。
という訳で出発。まずはワリモ岳を通って分岐まで行きます。
この区間は今回唯一の危険箇所があるので不安でしたが、行ってみたら着雪もなく余裕で通過。
後ろには鷲羽岳と槍ヶ岳。斜面がデカい!が、ここから見る鷲羽岳はあんまり目立たないですね。
鳥。急に秋になったので大変そうである。
緩やかに下ってワリモ北分岐到着。水晶岳までの最低鞍部です。
標高2800mで水晶岳へはたったの約200mの登り。この辺はとにかくアップダウンが少ない印象で、特に鷲羽岳から水晶岳へは3㎞なのに200mほどしか下がりません。
これだけ長いと南アルプスなら500mは下ってるのに!驚きです。
そんな訳でゆる~い傾斜の水晶小屋への登りです。特に特筆する事はない。
水晶小屋到着。つらら多すぎでビビる。
ピストン区間ですが、荷物はデポらず水晶岳にアタックします。小屋からしばらくは雪だらけの道。50㎝くらいは積もってそう。
いよいよ近いな、という所から急にゴツゴツしてきたぞ。
しかも結構な急斜面!
わーお、、、雪が無ければ余裕なんだが、雪がなぁ、、、。
この辺は若干肝を冷やしました。危険度で言ったらワリモ岳よりよっぽど高い!地図には特に記載無いので夏は大丈夫なのかも。
緊張感ある道を越えて水晶岳登頂。ふう……。
山頂めっちゃ狭い。槍ヶ岳より狭いんじゃないか??5人もいればいっぱいになりそうです。晴れてたら大混雑だっただろうな。
ちなみに今日は10分に1人くらいとすれ違っており、全く人がいないわけでは無いです。とはいえ好天時の半分以下の人出でしょう。
展望は鷲羽岳と似たようなものだけどGOOD。若干雲が湧いてきたのが不安ではある。
薬師岳もバッチリ見えます。
昨年は感じなかったけど山容の重厚感がすごい。北ノ俣岳みたいな平凡な山よりも遥かに目立っています。
下に目を向けるとさっき恐怖した区間も見える。写真だと立体感が伝わらない。
さて、次の登山者も上がってきたし我々は下りますかね。
うおおおお、下りの方が怖い!雪がフカフカでブレーキ効くのが幸いです。
恐怖ポイントも冷静に下ります。ここは剱岳の8割くらいの怖さはありました。
平坦区間に入ってようやく一息。でもあそこまでも意外と遠い。
さっきもいた鳥。虫もいないこの場所で何をしているのか…。
水晶小屋を越えてワリモ北分岐へ移動します。ここの稜線の景色が素晴らしい。鷲羽岳と槍ヶ岳が良く見える今回の山行でベストの光景でした。
ここまでほぼ無風だったのですが、徐々に南風が出てきました。この日は高気圧が抜けて南西の低気圧が接近する予報なので、いよいよ天候悪化が近づいてきた感じです。雨はまだ大丈夫そうながら、予報通りならあと4時間もすれば降るはず。急がねば。
さて、サクサク歩いてワリモ北分岐到着。これから行く祖父岳を眺めます。あれを登れば今日の登りは終わりだ。頑張ろう。
鞍部を越えたあたりで雷鳥発見。
まだ白くなってないのですぐ見つかりました。なんかノルマ達成感ある笑。
思ったよりハイマツが激しかったものの、祖父岳到着。山頂めっちゃ広いなー。
ここは雲の平のど真ん中なので展望が素晴らしい。
裾野が長い鷲羽岳には雲がかかっています。
水晶岳はまだ大丈夫。それにしても稜線のアップダウンの無さがよく分かりますね。
さぁそして、いよいよ雲の平!本当に平らだ。こんな山奥にこんな平地があるとはちょっと感動。
祖父岳を下って雲の平の木道が始まりました。ここはハイスピードで一気に通過するぜ。
ん?またハイマツが道を覆っている。
んんん??木道はどこへ?
雲の平、思ったより全然平らじゃないんだが・・・。
ようやく本当に平らになったと思ったらもう山荘が近い。
祖父岳から1時間半くらいで雲の平山荘到着。時間的にスルーするか迷ったのですが、ランチの誘惑に負けて来ちゃいました。
おおー、噂には聞いていたけど明るいし綺麗。
食堂もなんか洒落てる。なんかジャズかかってるし。
注文したジャワカレーはザ・カレーという見た目で良かった。
(ま、個人的にはこういう洒落てる雰囲気は苦手なんですけどね。ハハ・・・)
思わず「ここで泊まりて~」となるほどリラックスするも、まだ頑張ららねばならない。食べ終わったらすぐ出発です。
もう死ぬほど無限に滑りまくる木道をズンドコ進みます。木道の左右は1mくらい落ちてるので下手に転んだら普通に危ない。
ハイマツが出てくるとそろそろ木道も終わりでしょうか。
と思いきやまだまだ続く。
いつまでこの木道続くのか……長い。とにかく長い。そして最高にスリッピー。全員5回づつくらい滑ってそう。
やっと木道終わったか!?
と思ったらまた木道。もういいよ~。
おっ、急に下り始めたし本当に木道終わったかも。木道末端って地図にも表記されているんですが、実際は特に看板もないんですね。
見たかった紅葉が無残にも落ちていて無常感を感じる。
ここの薬師沢の下りは歩きにくい事で有名です。実際に1mくらいの岩が積み重なっており地味に危険だし歩きにくい。神経をつかいます。
1時間半必死に下り続けると下からゴーッと音が聞こえてきました。
あれが、黒部川か~。
今日は本当に長かった、、、
小雨も降り始めたけどもう大丈夫。薬師沢への下りで雨降ったらキツかっただろう。
雲の平への山行記録では必ず登場する吊り橋を渡って2日目ゴール。
薬師沢小屋、暗っ!谷底なのでしょうがないのですが、これは暗い。ちなみに電波も無い。
全体的に昔の山小屋という感じです。雲の平山荘の洒落てる雰囲気よりはこっちの方が個人的には好きですね。
全体的に建物が歪んでいるけど、まぁそれも味ってもんよ。
4時半になると電気が点いて明るくなりました。食堂は暖かいし快適です。
19時半にもなると眠くなってきたので就寝。昨日も思ったけど布団快適すぎる。
3日目は4時起きで5時前に出発です。さあ帰ろう。
天候は雨。しかも結構な本降り。雨の闇夜をひたすら歩きます。気温が昨日一昨日より高いのが幸い。
渡渉ゾーンから明るくなってきました。一晩のうちに雪もあらかた溶けて雪山から秋の山になってる。
雨のせいで足元はもはや濁流。でも雪が無い分昨日よりかは歩きやすい。
この辺はキツいとか怖いとかも無くひたすら無。無の心で歩き続けました。でもこの雨の中、雲の平山荘から歩いたら大変だっただろうな。昨日のうち頑張ってよかった。
2日前通った太郎平到着。
ここまで来るといよいよ終わりを感じますね。やはり折立は玄関口なんだな。歩いて納得。
もう書くこともないので折立まで飛ばします。9時半に到着。
北岳や槍ヶ岳登った時と違って特に感慨も無く、風呂入りたいなぁという気持ちのみ。人でごった返す上高地とは違い、しとしとと雨が降る非常に静かな終わりとなりました。
麓の温泉で風呂を浴びて寿司へGO!長野と違って富山は海鮮があるのが素晴らしい。
うますんぎ。ちなみに今回は行きませんでしたが粋鮨という回転寿司がおすすめです^^
腹を満たして京都に戻りました。静かな、しかし激しさもある3日間でした。
おわり