2020年7月:十勝岳 ~十勝岳温泉から吹上温泉へ・上ホロカメットク山経由~
七月!本州は梅雨ですが、北海道は晴れている!!と、いう訳で北海道の中央にある十勝岳へ行ってきました。
「行ってきました!」なんてサラッと書いているものの、晴れることが確定したのは木曜日頃。流石に1日後の航空券は高い(往復5万前後)なので、今回はマイレージを使いました。
最近の国内線はモニターまでついていて凄い。流石に時間的に映画は見れないのでイッテQを見ていました。やっぱり面白いなこのバラエティー。
22時頃に新千歳空港到着。そのまま新千歳空港温泉で一風呂浴びて、1時頃に迎えに来た友人の車で出発。
登山口に着いたのはおおよそ4時頃。既に日の出後なので全く問題ないくらいに明るいですね。
実は今回、車2台体制なのでゴールである吹上温泉に1台、スタートである十勝岳温泉にもう1台置いて稜線を巡る周回コースにしました。
軽く準備をして4時14分にスタート。
登り始め直後から素晴らしい展望。山に包まれるような穏やかな道を進む。
灌木林の道をしばらく進むと安政火口が目の前に迫ってきます。そこそこの迫力。
ちなみにここで小さな沢を渡ります。大雨が降ったらヤバそう。
ハイマツに囲まれた道をジワジワ登っていきます。
そして、上ホロ分岐の辺りから望めるのは優美な富良野岳。うん、良い!優勝!!
でもちょっと雲が湧いてきたような?急ぎますかね。
さて、D尾根と呼ばれる急斜面に差し掛かりました。西向きだからか雪が所々出てきました。
と、思ったらまさかの雪渓です!
まぁ雪は緩んでいるし傾斜もそこまでではないので3分ほどであっさり通過。凍ってたらヤバかったかもしれない。
ミニ雪渓をすぎると階段ゾーンです。展望は無いし急だし結構辛い箇所。
そして、階段をじっくり登っていると、突然視界が開けました!
どうやら安政火口の縁に出た様。南を見ると富良野岳方面の稜線が見えます……が、雲を被り始めています。これはまずい。
北を見ると先ほど見上げた安政火口がバッチリ見えます。
火口の縁を歩いて稜線へ。
この辺りで初めて目的の十勝岳が見えました。あちらはまだ晴れている様子。
そして5時46分に上富良野岳到着。ここで初めて十勝岳の主稜線に出ました。が、ガスってしまったのが大変残念。
ん……?いや、まだ完全にガスってはいないようです。希望はあるか?
若干ガスが取れて十勝岳も見えてきました!
そして下を見るとブロッケン現象!幸先が良い、と言う事にしておきましょう。
休憩もそこそこにして稜線歩きの開始です。ピークの間は雲が溜まっているような感じですね。
しかし、ピークはまだ晴れています。6時4分に上ホロカメットク山到着。
美しい三角錐形をした十勝岳も見えています。
雲が南から湧いているようなので急いで出発します。まずは急斜面の下り。
上ホロ避難小屋を眺めつつ稜線歩きです。
右はなだらかな緩斜面ですが、左はド迫力の火口が展開しています。
後ろを振り向くと上ホロカメットク山が見えます。こうしてみるととんでもない急斜面の山ですね。
しかし不安なのは雲。湧くスピードは遅くなったものの、十勝岳のほうもかかりはじめました。でも、これはこれで幻想的な雰囲気。
富良野岳は完全に隠れた模様。
雲に追われつつ稜線を歩くのですが……この稜線がとにかく素晴らしい!絵にかいたような歩きやすい道なのです。
登山口からわずか3時間程度でこの清々しい稜線に出れるとは。流石は百名山ですね。
と、この辺りで気付いたのですが、風が凪いで無風になっています。それに南からどんどん湧いてきた雲が止まっているよう。このためか、今日初めて東側の斜面もはっきり見えてきました。
これはチャンス!十勝岳はすぐそこです。この無風のタイミングを狙って頂上まで一気に進みます。
急にこれまでとは全く違う雰囲気になりました。最後の登りは稜線が曖昧な火山帯らしい砂礫地雷です。ゲームだったらBGMが変わるくらいさっきまでと雰囲気が違う。
いや~しかし、気味が悪いくらいに風が無い。稜線でこんな事は初めてです。雲も30分前から殆ど動かずに固まってしまったかのよう。
ジグザグの道を登ります。そこそこに急ですが、距離はさほどでもないので頑張りどころ。
振り向けば絶景の道を登り切って、、、
7時14分に十勝岳山頂に到着!
おほ~~~~~、素晴らしい!南には富良野岳に至る稜線が見えます。これがたかだか標高2000m程度だとは。これだから北海道の山は素晴らしい。素晴らしい。パチパチ
北には荒々しい美瑛岳と遠くに大雪山。火山灰に覆われて南とは全く違う雰囲気ですね。
西にはグランド噴火口が見えています。こちらは安政火口よりも新しいためか更に荒涼とした雰囲気。
通称62-ⅱ噴火口からは多量の煙が噴出しています。完全に登山道にも被っているのですが……大丈夫なのでしょうか?
山頂部はちょっと狭めですが20人程度は座れそうです。
朝食がてら休憩。わざわざマイレージを使ってまで北海道に来ましたが、好天に恵まれて本当に良かった。この判断をした自分を褒めてあげたいですね。
さて、20分も休憩していると徐々に風が出てきました。そして雲も移動を開始した模様。
あっという間に上ホロカメットク山は覆われて、この山頂にも雲が迫ってきました。そろそろ潮時のようなので下山開始です。
草木一本も無い風景を見下ろしつつ慎重に降ります。
中々に急な上、10㎝くらいの石が多いので落石が怖くスピードが出せません。しかも道が分かりにくいのでガスったら迷いそうです。
最初の急斜面を下りきったので一休み。よく見ると雪が黄色いですね。異様な雰囲気です。
本当は前方に上富良野の街が見えるはずですが、噴火口からの煙で何も見えません。
砂漠のような広々とした、でも迷いやすそうな緩い道を下って昭和噴火口に到達。山頂側を見ると案の定雲に覆われています。あと30分遅かったらあの絶景は見れなかったでしょう。運が良かった。
ちなみにこのルートは望岳台から登れる十勝岳のメインルートなので、久々の晴れ間とあってか50人程度とすれ違っています。上ホロカメットク山の稜線では5人くらいしかいなかったのですがね。
さて、昭和噴火口から先はまたまた急斜面です。
下は赤い粘土質の泥で、グリップが効くので歩きやすい。でも雨降ったら相当ツルツルですよ、これは。
噴火口からの煙でなんだか喉がイガイガします。とっとと下りたいのですが、思いのほか下りが急で中々スピードが出ない。登りの人も多いのでね。
急坂を淡々と下ると急に視界が晴れて十勝岳避難小屋と下界も見えてきました。
十勝岳避難小屋まで行ってしまえばあとはゆるゆると下るだけ!殆どゴールしたも同然ですね。
……むむむ。あ、あれ??中々着かないな……。避難小屋は結構近そうで、思ったより遠いようです。
9時4分に十勝岳避難小屋到着。非常に端正な避難小屋ですね。
上部はすっかり曇った様子。やはり山は朝一番に登るに限りますね~。
もうゴールはすぐそこなので休憩はせず出発します。望岳台のルートと分かれて吹上温泉へのルートへ。
この道、てっきり灌木林の緩い道かと思いきや、昔の泥流跡を横切るため思ったよりもハードです。
うーん、十勝岳避難小屋を過ぎたらすぐにゴールかと思いきや意外にも時間がかかる。
そこそこの水量がある沢も越えます。
あっ、建物が見えます。ふぅ……ようやくゴールか。
と、思ったら違った!ウゴゴゴゴ……。
上の建物はどうやら吹上温泉の設備らしい。所々にマンホールがある道をちょっと進むと、
ゴールの吹上温泉が見えてきました。いや~、下りが思ったより長かったですね。
何はともあれ無事に到着。お疲れさまでした~。
まとめ
全部で6時間くらいの山行となりましたが、スタートからゴールまで、とにかく景色が優美で素晴らしかった!本州ならば1日は歩かないと辿り着けないような稜線をわずか6時間で堪能できました。
景色がコロコロ変わるのも特徴的でしたね。荒々しい噴火口、穏やかな斜面、火山礫に覆われた地帯、灌木林のぬかるみの道。風景がダイナミックに変化し続けて全く飽きませんでした(いや、下りはちょっと飽きたかな……?)。望岳台からのピストンでは稜線を歩けないのでかなり勿体ない。ここは稜線歩きを楽しめる周回コースを絶対に選択するべき山です。
風景の素晴らしさの点で、百名山の名に恥じない名山だったと言えるでしょう。
さて、ここであらかじめ停めてあった車に乗り込み出発地点である十勝岳温泉に移動します。
十勝岳温泉に到着。登山口に温泉がある山は神。
とても濃ゆいお湯に浸かって気力回復。
ちなみにこの時、九州では球磨川が氾濫して大変な事になっていました。その4日後には上高地の道路が崩壊するし……。新型コロナにより南アルプスは丸ごと封鎖されるし山はどこもかしこも中々多難な予感。北海道にまた行くのもありかもしれませんね。
おわり