転がる五円玉 ~旅と城と山~

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伊江島を原付で一周してみた

伊江島は沖縄本島の北西にある離島です。

今回は10月下旬に本部港発8時の便で伊江島に上陸し、原付で島を一周して伊江島13時発の便で帰ってきました。

 

まずこの島は地形が面白い。全体的には楕円形の平べったい地形ですが、中央にポコっと「城山」という丘が飛び出ています。

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小学生が設計したといっちゃあ失礼ですが、とにかく単純な地形。これだけでも面白い。

 

更に、伊江島の主な産業はさとうきび、タバコ、畜産、漁業と典型的な沖縄離島ですが……

なんとファミリーマートが2軒もあるのです!

離島に大手コンビニがあるのはとてもとても珍しい。国内では石垣・宮古くらいなものです。伊江島の人口は4580人で離島としてはやや大きめな部類ですが、ファミマが2軒もあるほど人口が多い訳ではありません(実際、人口8000人の伊豆大島や八丈島にコンビニは無い)。

観光客がワンサカ来る訳でも無さそうだし……なんで2軒もあるのか?

まず、本島から船で30分で1日に4便以上もある点が挙げられます。離島とはいえ物流はかなり良好な部類。

また人口4500人なので、コンビニが1~2軒あってもおかしくないくらいの人口規模でもあります。

まずは1991年にココストアが、そして2001年にファミリーマートが出店しました。企業間の激しい競争になっていたものの、ココストアがファミマに買収されてからはファミマ同士の競争になっているようです。

ただ、2000年頃は5000人いた人口が今では4580人になっている事を考えると、そのうち1軒は撤退してしまうかもしれませんね。

 

そういう訳で伊江島は、

・地形が面白い

・離島なのにファミマが2軒もある

と、中々特徴的な島なのです。

 

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伊江島へのフェリーが発着する本部港に到着しました。那覇からだと高速使って1時間半くらい。そこそこ遠いですが、名護市街からは10分かそこらで行ける距離感です。

9時発の便に乗ろうと思って宿を出たのですが、フェリーターミナルに着いたのは何と8時45分!沖縄ののんびりした空気感のやられてギリギリの時間になってしまいました。ちなみに車はターミナルの駐車場に無料で停められます。

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切符売場で1390円の往復切符を購入。片道30分の短距離線なので安い。

 10月下旬とはいえ沖縄の気温は20℃をゆうに超えています。一番過ごしやすい気候かもしれません。

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フェリーいえしまは975トンの船。車や貨物も乗っけています。

乗り込んですぐの9時ちょうどに本部港を出航。ちなみに右に見えている大型船は奄美大島経由で鹿児島まで行くフェリーです。本部港は離島向けの小さな港ではなく、クルーズ船も発着していた割と大き目な港です。

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出航して5分ほどで瀬底島の瀬底大橋を通過。船で橋をくぐる瞬間というのは……いつも興奮しますね~。

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瀬底大橋をくぐると外洋に出ます。

左手に見えるのはクロワッサンアイランドと呼ばれている水納島。

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実は水納島に行こうかとも思っていたのですが、コロナのせいで減便しており行くのを断念したのです。

 

さて、外洋に出て5分もしたら右手前方に伊江島が見えてきました。出発してからまだ15分くらいしか経っていないのにもうこんなに近いのか。

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この航路自体10㎞くらいしか無いので、感覚としては瀬底大橋を潜って15分もしたら伊江島に到着します。

伊江島が見えたなぁ、と思った10分後には下船開始となりました。

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そういう訳で伊江島に到着。天気はぼちぼちですかね。

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まずはフェリーターミナル前のレンタルバイク屋で原付を借ります。

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今回は4人なので軽自動車を借りるのも考えたのですが、やっぱり島の空気を全力で感じるには原付だよな!!という事で原付にしました。

2人は50ccの原付で私ともう一人は100ccの原付に二人乗りします。なんで100㏄にしたかって?まぁたまには普通自動二輪免許使わないと勿体無いじゃないですか……。

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3時間後に帰ってくるつもりでいざ出発。

久々の二輪なのではじめは時速30㎞でチンタラ走ります。車が全然いないから走りやすい。

 

徐々にスピードを上げて気持ち良く走っていると、いつの間にか村を抜けていました。

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やばい……気持ちいい……めっちゃ気持ちいい……。海が見える草原をノンストレスで走る快感……。

 

が、しかし。突然道がフェンスで遮られました。

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ここから先は米軍基地のようです。

のんびりとした風景に突如現れるフェンスと鉄条網はかなり異様ですが、これもまた伊江島の風景なのでしょう。

 

地図を見ると伊江島のほぼ最西端まで来たので、ちょっと戻ってから観光地であるニャティヤ洞に行ってみます。

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道中の景色も良いですね。素晴らしい。

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この離島特有ののんびりした雰囲気は言葉では伝わりません。写真だと10分の一くらいは伝わるかも?

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サトウキビ畑の道を走る事5分、島の南岸にあるニャティヤ洞に着きました。

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うおおおお!海が綺麗すぎる!凄い……。これは結構凄い。

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ちなみに奥には沖縄本島もうっすら見えています。

 

右手の階段を降りて洞窟へ。

ニャティヤ洞のニャティヤとは貝塚を意味するそう。洞窟の中にはビジル石という、妊婦が持ち上げて重く感じたら男の子、軽く感じたら女の子が生まれる不思議な石があります。

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洞窟を抜けると海岸に出ました。

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いやぁいいですねぇ。こういう海岸大好きです。

伊江島は一見すると砂浜が多そうですが、実は大半がこうした岩場の海岸だったりします。

 

 

次は島を南北に横断する補助滑走路に行きます。

伊江島を航空写真で見ると分かるのですが、東から伊江島空港伊江島補助滑走路空母艦載機離発着訓練滑走路の3本の滑走路があります。

このうち民間は伊江島空港のみで、残り2本は米軍の所有です。

ところが、真ん中にある伊江島補助滑走路は今では使用されておらず、実質的に島内の生活道路になっているのです。元滑走路とはいえ滑走路を走れる場所なんて日本ではここくらいしかありません。

 

ニャティヤ洞から5分ほどで補助滑走路に到着しました。

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おお、本当に滑走路だ。平べったい伊江島を縦断するように一直線に貫いています。

 

よっしゃー滑走路を爆走するぜ!と思ったのですが、舗装はガタガタでとてもスピードは出せない。原付だと30km/hが精一杯です。

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ものの5分程度で横断しました。

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ちなみに、補助滑走路自体は現在も米軍の所有地です。

伊江島の米軍(正確には伊江島補助飛行場)は伊江島の35%(800ha)を占めるのですが、実際に基地として使われているのは350haほどだけです。残りの米軍の土地は耕作地としてほぼ黙認されている他、なんと300戸が住んでいたりします。

↓ Wikipediaに記載アリ

ja.wikipedia.org

実に奇妙と言うか不思議な島です。米軍の土地に勝手に住むなんて普通はできません。

ただ、耕作どころか居住まで黙認しているのに、土地を住民に返さないというのも変な話ですね……。

 

ちなみにこの辺から東を見ると城山が良く見えます。

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牧草地が広がる気持ちのいい道を進みます。

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うーん、本当に気持ちがいいな。道が基本的に平坦なので原付初心者でも余裕で運転できます。しかも車が少ないのでノンストレス。

島の北岸にある湧出(わじい)という場所に来ました。

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ここから眺める海岸線は大迫力で一見の価値あり。伊江島の南は砂浜も点在するのですが、北側は崖になっているのですね。

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ちなみに「湧出」という名前は崖下で湧く泉に由来するようです。伊江村HPには古くから住民が利用してきたと書いてありますが……南の集落からここまで汲みに来たのでしょうか。だとしたら相当大変です。離島における真水がいかに大事かよく分かります。

 

次は同じ北岸にあるリリーフィールド公園に向かいます。

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リリーフィールド公園に到着。

毎年4月頃はユリが一面に咲き誇るようですが、今は特に何もありません。

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まぁでも、目の前に広がる太平洋はそこそこいいものです。

公園の目の前には仲村柄節(なかんかりぶし)の碑が立っています。

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左下にある現代語訳には

仲村柄家の母屋のそばいど(屋戸口)にすだれをさげてあるときは大丈夫だから忍んでいらっしゃい。」

と書いてあります。

 

・・・・・・これってもしかして夜這いの歌では!?

流石に現代で夜這いは無いでしょうが……おおらかな時代背景を感じます。

 

さて、そろそろ伊江島のメインディッシュとなる城山に行きます。基本的に島のどこからでも見えるので迷う事は無いでしょう。

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城山は標高172mありますが、標高70mの所まで原付で登れます。

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いざ登山開始。

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細い木がうねうね生えている様はまさに亜熱帯ですね。

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途中からはひたすら急な階段になります。

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ぐお……結構激しい……。思ったより辛い。

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まぁとはいえ所詮は100mほどの登りです。10分ほどで登ってしまいました。

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うお……すっげぇー!めちゃめちゃ良い景色!!

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いや~これは凄い。なんという爽快感か!

サトウキビ畑とたばこ畑がパッチワークのように広がる伊江島を一望できます。

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南には駐車場と市街地が見えます。こうして見ると伊江島って結構人が住んでますね。アパートも何棟もあるし。

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南を向くと市街地の向こうに沖縄本島までバッチリ見えます。美ら海水族館は多分あの辺。

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展望の良い場所というのは日本に山ほどあれど、一切遮るものがない水平線までの展望が360°続く場所はここくらいではないでしょうか。

 

山頂は岩がゴツゴツしていますが10人くらいは滞在できそうです。

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三角点らしきものの代わりに英語が書かれた杭が撃ち込まれていました。無機質なコンクリって辺りがアメリカっぽい。

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いやぁ……それにしても本当に景色が良い。夏場だったら暑くて辛そうですが、今は秋なのでそこまで暑くはありません。むしろ風が心地よいくらい。

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20分ほど眺めて満足したので下山します。

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下りは結構な高度感です。転んだらヤバそう。

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10分ほどで下山。改めて下から見るとどこから登るのかよく分からないくらい急峻ですね……。

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この時点で既に12時20分。原付の返却まで10分しかありません。

慌てて港に戻って返却。

 

そして港で昼飯を食べます。

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沖縄そば。500円。うまい。

 

昼飯を食べ終わると出航まであと15分になっていました。またまた慌てて乗船。

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伊江島のフェリーは2隻で運行しているため、もう1隻の船も停泊しています。

 

13時ちょうどに出航。

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船はぐんぐん増速して島を離れていきました。

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30分後に本部港に戻って伊江島旅行は終了!

 

やっぱり伊江島は城山が素晴らしかった。上にも書きましたが、ここまでの大展望は日本では中々、いや世界でもそうそう無いと思います。島を一周眺める、という光景はかなり新鮮で感動しました。

また、ニャティヤ洞や湧出などの観光地も良いのですが、サトウキビ畑を原付で走るのがなんとも気持ちが良いのです。なんというか、しみじみと「良い……」ってなるノスタルジックな雰囲気。想像していた「離島」を体験できました。

沖縄本島からたったの30分という距離感も相まってかなりおすすめです。結局寄りませんでしたがコンビニもあるので離島初心者にもやさしいですしね。名護の方まで来たら是非とも訪れて欲しい島でした。

本日の行程

 

おわり