利尻山・6月下旬・鴛泊コース日帰り ~人生最大の雲海に遭遇~
利尻山は個人的にかなり思い出深い山です。
2019年、海の日にチャレンジするもガスガス。
2020年、シルバーウイークに再チャレンジするもガスガス。
諦めきれず翌日も登ると、ほんの少しだけ晴れたが、景色は殆ど望めず。
そして2021年。最北の百名山に3年連続で来ることになるとは思ってもいませんでしたが、なんの巡りあわせか再び利尻島に来ている。
またガスガスは嫌だ!絶対に、絶対に晴れの利尻山を見るしかない!
こうした、もはや執念深いともいえる決意で登り始めました。
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札幌から原付で移動すること3日目。利尻島鴛泊港の宿で目覚めました。
3時起床ながら、昨晩は9時に寝たので登山前とは思えないほど頭がスッキリしています。
パンをもそもそ食べていると徐々に明るくなったきた外を見てみると…
曇りだと……。今日は気象庁では晴れ予報、ヤマテンでも晴れ予報なので、山頂の晴れはまず間違いないと思うのですが、ちょっと不安ではあります。
4時20分に宿出発。4時30分に3合目の北麓野営場着。夏至近いので日の出も早く既に十分明るいです。
準備して登山開始。まずはウッドチップを敷いた快適な道から利尻山は始まります(なぜかピンボケ)。
5分ほどで甘露泉水に到着。唯一の水場ですが、水は十分持っているのでスルー。
序盤は緩やかな樹林帯です。5時ちょうど4合目「野鳥の森」に到着。
空も晴れてきました。どうやら昨日と同じような海霧が標高300m以下くらいで発生しているようです。
地味な道をじわじわと標高を上げていきます。ここは辛抱が必要な区間。
5時30分、5合目「雷鳥の道標」に到着。特に展望は無いし、なんなら利尻山に雷鳥はいないという微妙なガッカリスポットだったりします。
更に15分ほど歩くと、6合目「第一見晴らし台」到着です。ここからいよいよ展望が広がる楽しい区間です。
なんと今日は大雲海。海霧が覆っているのは想像ついたのですが、ここまでぎっしりと雲が詰まっているとは!飛行機で雲の上を飛んでいる様です。
風も穏やかでまさに最高。
山頂まではまだ標高差1000mあります。利尻山山頂はガスりやすいので、はやる気持ちを抑えずに登りを再開します。
6時10分、七合目「胸突き八丁」に到着。
ここからは急登ですが、足場もしっかりしており余裕です。
6時45分、8合目の長官山(1,218m)に到着。目の前に凛々しい利尻山が表れて一気にテンションが上がる場所です。
見て下さいこの姿。緩すぎない見事な勾配で山としての重厚な存在感はありつつも、谷筋に残る残雪で涼しげですらあります。
アルプスのような迫力はありませんが、長官山から眺める利尻山は日本の山岳風景でも屈指の美しさだと思います。とにかくおすすめです。
長官山からは利尻山避難小屋まで下ります。
いかにも避難小屋という雰囲気。中はボチボチ綺麗です。鞍部にあるので電波が入らないのが残念。なお、宿泊を前提とした登山は禁止されています。
残雪が出現したものの、余裕。チェーンスパイクすら必要なかったです。
沓掛稜を眺めながらひたすら登る。
7時30分、9合目到着です。頂上まではあと標高差300m。ここが正念場です。
植生もかなり後退して、日差しを浴びながらの尾根歩き。
途中、かなりガレている箇所があります。あと何年もつだろうか。
20分ほど登ると沓形コースと合流します。実質的に9.5合目ですね。
ここから先が崩落が最も激しく、必死の工事が何年も続いています。なんか要塞みたいになってきたな。
この辺の要塞エリアを超えると、いよいよ見えた!あれが山頂だ!!
8時ちょうどに利尻山登頂しました。
標高差1500m以上でしたが、景色は良いし涼しいしで全く辛くなかった。
それより凄いのがこの大雲海。
どっち向いても地平線のかなたまで雲海です。
見えるものといえば、北側にポツンと浮かんでいる礼文島のみ。
利尻山意外全て雲の下に沈んでしまったような、島全体が浮かんでいるような圧倒的な浮遊感です。風も穏やかだし気温も半袖でちょうどいいし、景色に現実味がない……。
島の東側は穏やかな稜線ですが、西側には高度差1000m近い崖を望む豪快な景色が広がっています。こっちからも登ってみたいけど、バリエーションルートなんだよなあ。
大雲海を眺めながら30分ほどだらだらしていると、下から続々と他の登山客が登ってきました。
みんなして「この景色は凄い!」と感動しきり。いや、実際これは凄いっすよ。
山頂は電波が入るのでツイッターしたり昼寝したりしていると、10時30分になっていました。山頂に2時間半もいたのか笑。
素晴らしい景色ですが、今日中に稚内まで戻るので下山します。
しかしまぁ下山も良いな。
とにかく空を歩いているようなとてつもない浮遊感です。こんな体験は他の山では得られない。
9合目で小休止。
どんどん下って長官山への登り返しまでやってきました。快適な尾根歩きに見えますが、虫がちょっと厄介。
11時15分、長官山到着。利尻山に別れを告げて更に下山します。
ここから下は利尻山こそ見えないものの、基本的には雲海を眺めながらの絶景路です。下っていて全く飽きない。
11時30分、第二展望台着。ここからは樹林帯なので、雲海ともお別れです。
普通の森を淡々と歩くゾーン。でも気分が高揚していて全く苦ではない。
13時ちょうどに北麓野営場まで戻ってきました。
標高差1500mもあるのでそこそこ疲れましたが、大満足。
4回目の利尻山登山を無事に完遂できました。一部の友人から執念とまで言われて執着し続けた結果の感動。とにかく最高でした。
感想
非常に素晴らしい山です。素晴らしすぎるので、箇条書きで利尻山すばらしポイントを列挙してみます。
- 山容が見事な円錐形で非常に美しい
- 空気が常に綺麗で、晴れれば大展望になる
- 晴れればサハリンまで見える特別感
- 登山道の7割以上で海が見える
- フェリーで向かうから旅情がかきたてられる
- 集落から登山口が近くて余裕がある
- 利尻島のウニが美味い
- 利尻島のラーメンも美味い
同じく離島の百名山としては屋久島が有名ですが、利尻島はあちらとは180°違う性格です。
鬱蒼とした大森林を歩くか、明るい稜線を登るか。
南国の湿気の多い空気か、北国らしい透明感ある空気か。
ピークが幾つも連なるか、独立峰がスッと立ち上がっているか。
百名山の1番目と100番目に両方登ると、日本の広さがよく分かります。
私が初めて利尻山に登りたいと思ったのは、大学2年の時に原付(50cc)で北海道ツーリングしていた時です。留萌を出て北上していく中、日本海の向こうに利尻山が聳える景色は絵画的で、非常に印象に残りました。
あれから9年。海外旅行にのめりこんだりして中々行けず、でもいつか行くと思い続けて遂に登り、そして念願の景色も見れた。これだけ長い間ずっと登りたいなぁと思っていた山は他にありません。そういう訳で個人的には割と思い入れのある山なのです。
まぁそういう理由がなくても良い山ですよ。是非登ってみてください。
おわり