転がる五円玉 ~旅と城と山~

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小笠原旅行 その5 ~ナイトツアーに行くぜ!ウミガメの放流とオガサワラオオコウモリを見る~

現在時刻は16時。父島に到着しました。

さて宿に向かおうと思ったらまさかのスコール。しばらく港の待合室で雨宿りです。

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10分ほどで雨は止んだので大村にある宿に徒歩で向かいます。今日の宿は送迎無し。
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大村の中心には都道240号が通っています。道の左右には小綺麗なお店やレストランが立ち並んでいて非常に賑わっている雰囲気。母島から来ると冗談ではなく大都会に思えます。人通りや車の往来も結構あるので下手な田舎町より賑わっているかもしれません。

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沖縄の離島と違って雑然さがあまり無いのも印象的です。沖縄の歴史ある離島は狭い街路や街角に石敢當が置いてあったりと色々ごちゃごちゃしているのですが、父島は整然とした街区で構成されています。

ちなみに役場前にはこんな看板がありました。
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個人的に興味深かったのが「沖ノ鳥島まで968㎞」の部分。東京からここまで979㎞なので、小笠原ー沖ノ鳥島は小笠原ー東京とほぼ同じ距離があるようです。日本の領域って思ったよりずっと広い!いつか沖ノ鳥島も行ってみたいですね。

 

港から徒歩10分ほどで父島での宿である南国荘に到着。ハイビスカスが咲く小綺麗な宿です。2階が客室だろうな。
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と、思ったら2階建ての建物はアパートで、民宿の客室は屋外にありました!

外観のビジュアルは工事現場事務所そのものですが、中は意外にも快適です。
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クーラーもガンガン入るしネットも早い。なにより1泊5000円(朝食付き)は父島ではほぼ最安値です。

 

宿に荷物を置いてちょっと早いけれど夕食へ。
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今日は昼飯がパンだけだったので腹が減っています。適当な食堂を見つけてさっさと中に入りました。

まずはパッションフルーツジュースを1杯。
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かーっ!美味えーっ!パッションフルーツ味ではなく、本物のパッションフルーツを絞っていると味が違いますね!

そしてメインはウミガメカレー。その名の通りウミガメ肉を使っています。
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アオウミガメは絶滅危惧Ⅱ種に指定されている貴重な生物ですが、小笠原では年間135頭に限り漁が認められています。これはウミガメを利用した工芸品やウミガメ肉に利用が小笠原特有の文化として根付いている上に、積極的な保護策によって生息数が安定しているためでもあります。

個人的には生息数が安定しているなら多少獲っても良いと思うのですが、多様な意見がありそうな事例です。ちなみにアオウミガメはオセアニアの離島では日常的に獲れる唯一の獣肉なので、法律で保護されているけれど住民の捕獲を黙認している国もあるそうです。

と、まぁ食べながらこんな事を調べていた訳ですが、肝心の味は結構美味いですね。脂身が多く豚肉に近い食感です。ただ、カレーにすると肉特有の臭みはほぼ消えてしまうので是非とも刺身で食べたいですね。

 

さて、夕食を食べ終えると時刻は18時。折角なので大村から車で5分ほどの高台にあるウェザーステーションに行ってみます。(ちなみに車はレンタカーを借りました)

660㏄のエンジンが盛大に唸る急坂を登り切りウェザーステーションに到着。

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おお、結構人がいますね。母島の夕陽スポットは3人だけでしたが、ここは20人くらいいそうです。
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西の空を眺めると日没寸前でした。水平線近くに雲がかかっており劇的な夕焼けは見れず。残念。
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南を見ると二見湾の入口を望めます。右奥に見えるのが有名な南島ですね。
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ぼんやりとした夕陽が沈んでいきました。まあたまにはこういうのも悪くない……かな?
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さて、一旦宿に戻ってヘッドライトの準備。今日の夜はのんびりせずナイトツアーに行きます。私はツアーではなく自分で調べて旅行するタイプの旅行者ですが、夜や海のように専門家がいないと危険な場所ではツアーを選択することもあります。

今回のツアー会社は竹ネイチャーアカデミーさん。ナイトツアーは19時~21時で4000円でした。宿にハイエースで迎えに来ていざ出発。8人ほど乗り込みました。
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真っ暗な道をガンガン走ります。小笠原の都道には街灯がありますが、その他の道には全く灯りがありません。

5分ほどで大村の北にある宮之浜に到着しました。どうやら他にも5台ほどツアー客がいる様子。

ここではまずヤドカリの観察をしてからウミガメの放流をする予定のようです。

ガイドに連れられて真っ暗な浜を懐中電灯を頼りに浜をウロウロ。まぁスマホでも十分なレベルですが。

30秒ほどでガイドがヤドカリを発見しました。
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小さな貝殻がゴソゴソと動いています。あんまり早くはないので結構かわいいですね。
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うーん、しかし……ヤドカリが多い!

ヤドカリが次から次へと見つかります。自分の足元を照らしても1匹いるレベル。こりゃ何匹か踏んでてもおかしくないですね。
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15分ほどヤドカリを観察しました。最後の最後に5㎝くらいはありそうなビックサイズの個体を発見。光を照らすとサササーッと奥に行ってしまいました。ここまで大きいと少々怖いですね……。
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さて、次にやるのがウミガメの放流。上にも書いた通り小笠原ではウミガメの保護活動も実施されており、観光客への啓蒙としてウミガメの放流が定期的に実施されているようです。

で、ガイドに厳命されたのが、放流中と放流後は絶対にライトを照らさないこと。ウミガメの赤ちゃんは星明りが海を照らすわずかな光を頼りに浜から海に向かいます。このためライトを照らすとそっちの方向に行ってしまうとのこと。陸側に来てしまうと当然ですが死ぬしかありません。

 

こうした説明を受けてしばらく待つと、ウミガメの赤ちゃんが入った箱が届けられました。
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箱の中には20匹ほど入っており、ガサガサガサ!と結構な勢いで手足をバタバタさせています。箱の壁に集まっているのは、ライトの光が壁に反射して明るくなっているかららしい。なるほど。

甲羅を持つことで自分でつかむこともできます。
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持ってる間も手足をひたすらバタバタ!すごい元気ですが、これは天敵に襲われる前に海まで辿り着くため一時的に興奮状態になっているからだそう。
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しばらく撮影会をしてから適当に1匹掴んで浜に行きます(ここからライト禁止)。

1列にしゃがんでからカメを放していざ放流。浜は真っ暗なので一瞬で見えなくなりましたが、ちゃんと海の方に向かったと思います。

ちなみにウミガメの卵から大人になる確率は1/5000だとか。ソシャゲの確立より厳しい……。

 

続いて向かったのは釣浜展望台のあたり。この辺で星空解説がありましたが、星は私も結構詳しくまた明日も見るので今回の記事では割愛。

ここではオガサワラオオコウモリを探します。アフリカで散々経験したので分かるのですが、こうした動物探しは運が悪いと全く見つかりません。今回も覚悟して歩き出しました。

駐車場から山道を歩くこと3分。とある木の下でガイドが発見した模様。
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「右の枝に留まっていますよ」

ん~??

 

あっ、本当にいる!
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リュウゼツラン(←外来種)にぶら下がっています。こんなに早く見つかるとはね……。オガサワラオオコウモリは絶滅危惧ⅠB種に指定されています。父島での生息数はわずか100頭程度と言われているのです。その貴重な生物がたったの3分で見つかるとは。流石はガイドです。
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リュウゼツランの甘い汁を体を曲げて吸っている様子がよく分かります。
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実はこのオガサワラオオコウモリは甘いものが大好きで、マンゴーやバナナを傷つける害獣としての側面もあります。実際、防鳥ネットにオガサワラオオコウモリが引っかかる例も多くあるようで、農家さんからは保護活動に対して「なんで害獣を保護するんだ」との意見もあるそう。

これについては、コウモリが引っかからないネットを開発するなどで対策としているようです。
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ちなみに写真だと結構はっきり写っていますが、実際は15mほど先の木にいるのでボヤ~としか分かりません。まぁそれでも体勢くらいは分かります。
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20分ほど観察して車に戻りました。コウモリは地味な生物ですが、野生動物をまじまじと観察する機会って意外と無いので個人的には楽しかったですね。

 

最後は光るキノコとして有名なグリーンペペの観察です。ガイドによると、このグリーンペペは降雨があった数日後にしか発生しないようで空振り率も高いとのこと。

今回は大村から10分ほどの場所にあるガイドが知っているスポットへ行ってみたのですが、、、、、、どうやら今日は生えていないっぽい。うーん残念。まぁこういう事もあります。

ただ、グリーンペペの胞子が付着した竹片を持ってきて下さいました。
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めちゃめちゃ薄らぼんやり光っています。写真だと緑色である事が分かりますが、実際には光っている事しか分かりません。しかも自分の足元も見えないレベルの真っ暗闇でちょっと見える程度です。なんだか心霊写真みたい。

 

さて、グリーンペペ観察を終えたら時刻は21時。本日のツアーはこれにて終了です。

色々な生物を見れて結構満足できました。オガサワラオオコウモリは素人では絶対に見つけられなかったでしょう。島住民としての色々な話も面白いし、生物についての知識も豊富で私みたいな細かい旅行者も楽しめました。

 

21時過ぎに宿に到着。いや~中々疲れました。

ですがまだ休めません。今日は6日間の旅行の3日目なので色々と洗濯をします。
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んー、なんかますます工事現場っぽい雰囲気になりましたね。ちなみに竹芝桟橋で買ったペヤングがまだ机の上にあります。

 

今日は母島を巡ったりナイトツアー行ったりと忙しい日でした。明日は車で父島を一周します。

 

つづく

 

本日訪れたところ

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