小笠原旅行 その6 ~父島の山巡り(とちょっと勉強する)回~
昨夜は夜10時就寝と久々に夜更かししたのですが、室内が熱くて朝5時頃に目が覚めてしまいました。朝日がプレハブの客室を照らしてアッチアチになってたのです。
クーラーをつけたら涼しくなったので二度寝して朝7時に起床。今日の宿は朝食付きなので母屋で食べます。
ん~、実に普通。まぁ不満はありません。
その後、荷物の整理をしたりしていると9時になっていました。のんびりしすぎな感じもありますが、ちょっぴり疲れが溜まってきたので仕方が無い。
本日は父島を陸から観光します。
まず行くのは小笠原世界遺産センター。宿から徒歩30秒で到着。道路挟んだ向かいだから近いですね。
3年前にできたばっかりなので館内は小綺麗です。
中では主にパネルを使って小笠原の生物多様性について解説してあります。
火山でできた海洋島に動植物が辿り着いたいきさつ、カタツムリの適応拡散、その他動植物の個性的な生態……どれもこれも興味深い展示です。
ここまで小笠原の特異性を全力でアピールされると世界遺産に登録されたのも納得しますね。
とてもこの記事で紹介しきれる量ではないので、環境省のリーフレット(下のPDF)を見て下さい。
http://www.env.go.jp/park/ogasawara/files/ogasawara_torikumukoto.pdf
また、パネル展示だけではなく保護増殖室の様子を見ることができます。休日なのに大変だなぁ、と思ったけれど今日は平日だった。長期休暇は曜日感覚が狂いますね。
ちなみに、この建物のうち展示室はごく一部で、動物対処室や検査・処置室といった研究室的な部屋が敷地の多くを占めているようです。
20分ほど見学しました。無料だし内容も満足です。小笠原に来たら行くべき所ですね。
次行ったのは小笠原ビジターセンター。
世界遺産センターは生物多様性に焦点が置かれた展示でしたが、こちらは歴史や文化も紹介しています。
下の写真は開拓時代の家の模型です。母島で見たロース屋敷とそっくり。台風が多く襲来する小笠原で草の家というのもにわかには信じられません。開拓時代の苦労が偲ばれます。
おがさわら丸に関する展示もありました。戦後すぐの頃に比べて今の三代目おがさわら丸の大きいこと!二代目と比べても破格の大きさであることがよく分かります。
四代目が就航するとしたら20年後くらいでしょうが、やはりもっと大型化するのでしょうか。その時が楽しみです。
また、企画展として父島の地名由来展もやっていました。
これが中々興味深い内容です。例えばブタ海岸は「日本返還前に欧米系島民がブタを放したという。その後、観光地図などに書かれて一般化した。(意訳)」と解説してあります。これは地元民から聞き取りしないと絶対に分からない内容です。
この他にも細かい地名まで網羅されておりかなりの力作でした。是非とも書籍化して欲しいのですが難しいですかね。
ビジターセンターを出てからは大村市街地をちょっと歩きます。
小笠原村役場の横を通りがかりました。2階建てのちょっと古びた建物です。割と頻繁に職員募集をしているので気になる人は見てみてもいいかも?
小笠原生協に到着。ここで今日の水を購入します。
父島のスーパーマーケット的な所で、見ての通り品ぞろえはかなり豊富です。本土のスーパーくらいは余裕でありそう。
ちなみに、生鮮食品はおがさわら丸入港から2,3日で売り切れてしまうようです。それに新聞は一週間単位でまとめて売られていました。飛行機も飛ばない僻地ならではですね。
水を買っていざ出発!
まず訪れたのは昨晩ウミガメを放流した宮之浜です。
静かな入り江といった風情で波は穏やか。
対岸すぐ近くに兄島が見えますが、父島と兄島の間(兄島瀬戸)は潮流が非常に速いので沖まで行ってしまうとまず助からないとのことです(昨晩のガイド談)。そういう事があるから海は怖い。
水は大変綺麗でサンゴ礁も見えます。ぐぬぬ、シュノーケルセットを持っていれば泳いだのに……。
また、脇には枕状溶岩の露頭もありました。父島にはこうした露頭がそこここにあるので特に珍しい訳でもありません。
ちょっと高台から眺めるとこんな感じ。全体的に岩が多くて浅いことがよく分かります。
いや、ここは是非とも泳ぎたいですね……。また後で来ようかしら。ちょっと名残惜しいけれど次に行きます。
宮之浦を離れて車を走らせること10分。二見湾を見下ろす高台までやってきました。
ここから遊歩道を通って長崎展望台まで行きます。
森を抜けると草木が生える尾根道になり、、、
展望台に到着!駐車場から3分くらいでした。近くていいね。
いや絶景絶景。淡い水色をしたワシントンビーチと太平洋を見渡せます。サンゴ礁の水色もいいですが、沖の深い青も印象的ですね。
ここはお手軽で素晴らしい景色を望めます。かなりおすすめ。
ちなみに駐車場には謎の石垣があります。日本軍のものでも無さそうですし……なんですかね?
長崎展望台を出て道を走っているとヤギに出くわしました。
これには驚きです。本当に小笠原にヤギっているんですね。小笠原のヤギは明治時代に連れてこられた家畜が野生化したものです。固有種の植物を食い荒らす非常に厄介な外来種で積極的に駆除されています(さっきの小笠原世界遺産センターでの展示より)。
気を取り直して次は旭山に向かいます。二見港からも良く見える標高267mの山で、道からは徒歩15分くらいとのこと。
歩き出そうと思ったら遊歩道入口にこんな穴を見つけました。
なんだこれ……?もしかすると日本軍が掘ったものかもしれません。中に入る勇気は流石にありませんでした。
遊歩道とは言っても割と山道に近い具合ですね。サンダルではとても無理です。
ここではムニンシラガゴケという固有種を見つけました。全体的に白っぽいため、「シラガゴケ」と呼ばれたようです。
10分ほど歩くと突然道が急に。
ヒーコラ言いながら階段を超えると稜線に出ました。まさか小笠原で稜線歩きをすることになるとはね。
旭山と思われるピークに到着。木が生えていないため360°の大パノラマです。中々いい眺め。
南には小笠原の森林が広がっています。こちらに人家は殆ど見えません。
反対に北を望むと大村とおがさわら丸が見えます。手前にあるピークはなんだろう?と思って調べるとどうやらあちらが旭山でこっちは旭山南峰だったようです。
あ~、これは分岐で間違えましたね。小さい山だから油断しました。
という訳で南峰を降りて旭山に行きます。一旦降りてからまた登って、灌木が生える稜線を抜けて、、、
10分ほどで今度こそ旭山山頂に到着。南峰よりも二見湾をよく眺められます。
北を見ると兄島と弟島も見えていますね。こうして見ると本当に近い。
ちなみに山頂のベンチ下には土台は明らかに昔のコンクリ基礎があります。
道中にもあるこうしたコンクリ基礎はおそらく旧日本軍のものでしょう。眺めの良い所にはだいたい戦跡がありますね。当然と言えば当然ですが。
11時半に登り始めて12時すぎに車に戻りました。暑いしアップダウンがあって結構疲れました。ふぅ。
次に行ったのはJAXA小笠原追跡所のアンテナです。
森林の中に突然ハイテクなアンテナが見えるのは一種異様な光景。漫画でよくある山の中の秘密基地的な雰囲気があります。
ここは何を追跡しているかというと、種子島から打ち上げられたロケットのようです。種子島から東にある小笠原ならではですね。
なぜ東に打ち上げるかは以下のサイトに詳しい。
ちなみに簡単な資料館もありましたがコロナのせいで休業中でした。無念。
昔はつくばにもこうしたアンテナがあったので、つくば市民的には懐かしいような気もする場所でした。
この辺りの道路は左側に侵入防止用フェンスが延々と敷かれています。
この道路より東側がまさに世界自然遺産小笠原の核心地域であるため、最も厳重に保護されているようです。このフェンスは人間を防ぐ意味とヤギなどの動物を防ぐ意味合いもあるのでしょう。
そんなフェンスを尻目に次に向かうのは中央山。文字通り父島の真ん中にある山です。
はじめは灌木林の明るい道ですが、
途中から旭山のような稜線になりました。かなりの気持ちよさです。
ものの5分ほどで山頂に到着。標高319mで、一般人が登れる父島最高峰です。
山頂自体は木のせいで微妙な展望ですが、展望台があるので行ってみます。
展望台からは流石に景色が良い。北を見ると二見湾が微妙にですが見えています。
東には東島というそのまんまな名前の島も見えています。相変わらず真っ青な海が美しい。
そして南には父島南部の森林が広がります。本当の父島最高峰もあの森の中にあるようですが、保護区域なのでガイド無しでは立ち入れませんしそもそも登山道も無いようです。
ちなみに山頂には日本軍の電波探信儀跡がありました。完全に露天なのに75年経った今でも残っているのは驚きです。戦前の構造物の強さは異常。
そろそろ12時半になるので一旦山歩きを切り上げて車に戻りました。
中央山を降りた後は小港海岸からジョンビーチまで歩こうかと思ったのですが、暑さがとにかく辛い。気温30℃の炎天下で山歩きしていたのでクラクラします。
なので方針転換して泳ぐことにしました。冷静に考えてこんな暑い中で山を歩くのはおかしい。綺麗な海もあるので泳ぐしかないでしょ……。
中央山から大村まで一旦戻って昼飯がてらシュノーケルセットを調達します。
つづく
harimayatokubei.hatenablog.com
今回の経路