冬のハンガリー温泉旅 その11 ~王宮の丘その2 戦争の跡・マリア=マグダネル塔~
前の記事にも書きましたが、ブラペストのブダ側は南北に細長い丘になっています。
それが通称「王宮の丘」。漁夫の砦とマーチャーシュ教会は丘の真ん中にあるので、まずは北に行ってから、来た道を戻って南に行ってみます。
まぁ王宮の丘という名前が付いているとはいえ、交通規制がされている訳でもありません。街並みが綺麗な普通の街区という感じ。
と思ったら、こんな古めかしいレリーフが街角にあったりするのが良いところ。雰囲気あります。
歩いている途中で興味深い建物を見つけました。
このどこかで見たような旗は、マルタ騎士団ですかねぇ。こんな一等地に大使館を構えるとは。流石伝統ある騎士団です。
丘の最北端にはハンガリー国立図書館があります。ここも屋根がジョルナイ工房の瓦で彩られています。
さて、国立図書館のすぐ近くにあるのが、マリア・マグダネル塔です。
古びた塔がポツンとある光景は結構異様。
それもそのはず、昔はゴシック様式の立派な教会だったのですが、1945年のブダペスト包囲戦で半壊してしまいました。
画像はWikipediaより
その後、修復計画もありましたが、共産主義者によって教会部分が取り壊されて塔だけが残ったのです。
現在は崩壊した教会の基礎部分が展示されて公園になっています。真ん中にポツンとあるクリスマスツリーが寂しげ。
柱の残骸とおぼしき岩が無造作に置かれています。
奥には当時の壁を一部だけ再現してあります。
ちなみに、壁の前にある半月状のものは、後で調べたところ「聖イシュトバーンのマント」のレプリカであることが判明しました。実物は国立博物館にあるらしい。もっとちゃんと見ておけばよかった。
塔の反対側には当時と同じ入口があります。
1500フォリント(≒600円)で入場。
入口にある解説を軽く読んでから、、
階段を登ります。
中世の塔らしい暗くて狭い階段です。
途中から金属の螺旋階段に。
周囲の壁を見て分かる通り、基本的に戦争で破壊されてボロボロの状態のままです。
壁が焼けているのはやはり戦争によるものでしょうか。
スタスタ登って5分ほどで最上段に到着。
周囲の建物よりも抜きんでて高いので眺めはすこぶる良いです。東を見ると、ドナウ川と国会議事堂。
南はマーチャーシュ教会と王宮が見えます。
今でこそ美しいブダペストですが、戦火にさらされた時期もあったという事をこの塔は教えてくれます・・・・・・。
(でも、ボロボロになった教会というのは独特のそそる感じがあります。よくぞ廃墟のまま残してくれた・・・・・・とも思っちゃいますね。)
塔を降りて次は南へ。
途中の街角で目みたいな屋根を発見!東欧にあるのは知っていましたが、実物を見るのは初めてです。
うーむ、しかしやはりちょっとキモいな……。
塔から徒歩3分くらいの位置にあるバルトーク博物館です。年末休業中でした……。
マーチャーシュ教会の近くまで戻ってきました。やはりこうして見ると、王宮の丘の景観は美しい。東欧風の小さな建物からゴシックの立派な建物まであって歩いていて飽きません。
教会をすぎてもう少し南に行くと、独立記念碑があります。
これは一体いつの独立かと言うと1849年のハンガリー革命のものです。フランス革命に触発されたハンガリー人がハプスブルク家の支配からの脱却を目指して蜂起した事件がありました。これがハンガリー革命です。1849年には完全独立を宣言するものの、ロシアの援軍を得たハプスブルク家によりハンガリー人は降伏に追い込まれました。
つまり、この独立は失敗だった訳です。しかし、ハンガリー人としての自覚を持って戦い抜いた事はハンガリー人の大きな誇りとなっています。この高潔な記念碑からも、その雰囲気を感じ取れます。
更に南に歩いて、聖ジョージ広場に出ました。
正面の建物は裁判所です。
そして広場の反対側には遺跡が広がっています。
おそらく中世の昔は、この広場にも建物が立ち並んでいたのでしょう。そう思うと、今のハンガリーは本当に様々な戦火を経て今に至っている事がわかります。この建物はいつ破壊された物なのか・・・・・・。
また、この広場にはハンガリー首相官邸もあります。
なんだか建物としては大人しめな感じ。でも、王宮の丘という超一等地にあり、それに近くからの眺めも一級品です。
ドナウ川にかかるセーチェニ鎖橋と、聖イシュトバーン大聖堂が見えます。
やっぱり、ドナウ川の景色はなんど見ても素晴らしいの一言。ローマやパリもですが、川を挟んだ都市特有の景観は、日本では中々見れないので新鮮です。
実は王宮に行こうかと迷ったのですが、現在は美術館となっているのと時間が押しているのでパスしました。今から思えば無理してでも行っておけば良かったー!!
王宮の丘にはケーブルカーもありますが、下りなので徒歩で下ります。
つづら折りの道を無視して獣道ができていますねwwww。結構な傾斜なので足腰に自身がなければ素直に道を歩くことをお勧めします。
下山。丘を貫くトンネルの入口です。新古典様式でめちゃくちゃ重厚な雰囲気。
さっき言っていたケーブルカーもすぐ横にあります。どえらい混雑していますね。下手したら30分くらい待つのでは??
次はセーチェニ鎖橋でドナウ川を渡って、対岸のペストに戻ります。
つづく
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