冬のハンガリー温泉旅 その12 ~キラーイ温泉とフォアグラ~
ブダペストの名所であるセーチェニ鎖橋を渡ります。
非常に立派なこの橋は歴史上はじめてブダペストのドナウ川に架けられた橋です。1849年完成。
中世や近世にも橋を架けようという動きはあったようですが、川幅が375mもあって結構広いことと、近世はオスマンやハプスブルクとの戦乱に巻き込まれて長大な橋を作る余裕が無くて、船をつなげた簡易的な橋にしていたようです。
ちなみに、昔は冬場のドナウ川が凍結して氷の上を通行していたらしい。川が凍るほど寒かったとは今では想像もつきません。
この鎖橋は俗にいう「吊り橋」ですが、ケーブルではなくて鋼板をいくつも重ね合わせたアイバーチェーンで支えられています。自転車のチェーンに似たようなものです。
このせいか、一般的な吊り橋よりも重厚なイメージになっています。
それにしてもこの橋……人が多い!まぁブダペスト最初の橋という事は、最も重要なところに建てられた橋でもあるので当然っちゃ当然ですがね。
5分ほどかけて渡った先には独特なアール・ヌーヴォー様式の建物があります。これはフォーシーズンズホテルで、最低でも1泊5万円はする超高級ホテルです。
そんな高級ホテルのあるエリアは街並みも立派だし人もたくさん。
高級ブティックが立ち並ぶまさにヨーロッパ的な街角です。東京でいう銀座みたいなところなのかもしれませんね。
なんでこの地区に来たかというと、実は昼食を食べに有名レストランに行くためなのです。
こちらがそのレストラン「コムシェソワ」です。
さーて何人くらい並んでるかな?^^
33-4
クリスマス休暇でしたかー……。残念。
まぁ気を取り直して別の適当なレストランへ。別に有名店ではないけれど結構美味しかったですよ。
一人6000フォリント(≒2400円)なのは観光地価格ですがね!
この後は一旦宿に戻りまして、15時頃に再度出発しました。
市電でキラーイ温泉があるブダ側に向かいます。
市電から見かけたバーバーキング。ちなみに本物のバーガーキングはブダペスト市内に20店舗ほどある模様。
20分ほど市電に揺られてブダに到着しました。夕陽に照らされた国会議事堂もまた美しい。
ドナウ川から1分ほど歩くと、やけに古ぼけたドームを持つ緑色の建物が見えてきます。
これがキラーイ温泉のようです。オスマン帝国時代の16世紀に建設され、現在でも当時の建物が使われている由緒正しい温泉。
意外とボロいので驚きましたが、看板にKIRALYと書いてあるので間違いないでしょう。
おおっ、中はなんとなんとの大混雑。12月31日の夕方は伊達ではありませんねぇ。
しょうがないので並びます。
どうやらこの温泉はエゲル温泉やヘーヴィーズ湖と違って狭いためか、入場制限をかけているようです。施設の毛色もだいぶ違っていて、2つ温泉は郊外の大規模健康ランドという趣なのですが、こちらは街中の銭湯という感じ。キャパシティも小さい。
そんな温泉の入口で待つこと30分。とうとう順番が回ってきました。
一人1000フォリントを払っていざ入場。
地図を見る限り、八角形の風呂が一番大きく、他に小さい風呂が数点、そしてマッサージルームがたくさん、という感じですかね。
やけに重厚なコリント式の円柱がある階段を上って更衣室に行きます。こういうところは年代を感じますね。
ハンガリーの温泉でおなじみの腕に巻くキーをタッチして更衣室入場。
・・・・・・。なんというか外国のホラー映画に出てきそうな雰囲気ですね。特に壁のタイル張りが……。
ちなみにたまたま人がいなかった訳ではなく、本当に人がいませんでした。入口で待っていた人はなんだったんじゃい。
着替えていざ浴場に突撃。妙に天井の高い廊下を通ります。
八角形の浴室に到着しました。建築的には八つのアーチの上に輪っかが乗っかって、その上にドームが乗る形式。スクィンチのような構造は無く、壁の厚さでのみ天井の加重を支えているようです。天井はドームで高いのですが、周囲のアーチが重厚すぎて軽やかさは皆無の重々しい空間になっています。
いやしかし、かなり暗いですね。天井には窓があるようなのですが、外は既に暗いので意味なし。ライトが2つあるのですが全く足りていません。
また、とにかく人が多い。座りやすい場所には大体人が座っているので、ゆっくり浸かるには真ん中に行くしかありません。
という訳で中央で湯に浸かったのですが……妙に落ち着かない雰囲気。周囲に座っている人の視線が全方位から刺さるからでしょう。結局ものの1分ほどで退散しました。
※後で調べたところ、このキラーイ温泉にはホモが多くいて、中央に行くのは「受け入れOK」のサインだったようです。この日は大晦日で一般人が多かったから何も無かったのかな!?
ちなみに中央の浴室の他にはすごい陰気な蒸し風呂や水風呂があります。こちらも壁がとにかくぶ厚い。牢獄のような雰囲気です。
むむむ、なんというか全体的に陰気の一言です。もっと人が少なければ落ち着いてオスマン時代に思いを馳せることもできたのでしょうが、ちょっと人が多すぎました。
思ったより残念。人の少ない時期に行けばよかったかも?いやでもホモがいるらしいんだよな……うーむ。
不完全燃焼気味だったキラーイ温泉を出てドナウ川沿岸に戻ってきました。
王宮の丘の他に、昼間渡ったセーチェニ鎖橋もよく見えています。
しかしそれより大きな存在感があるのが国会議事堂です。
闇夜をバックに浮かび上がる姿はとにかく美しい。カリスマ性すら感じます。ハンガリー人が誇りに思うのも分かります。東京にはここまで美しい建物はないですね……。比較することが間違っているかもしれませんが。
ちなみに夜のドナウ川沿いは写真を撮っている観光客だらけなので治安は大丈夫そうでした。
ドナウ川を地下鉄で渡ってコシュート・ラヨシュ駅に到着。
陸側から見る国会議事堂もいいですが、やっぱりこの建物は川越しに見るのがいいですね~。
なんで国会議事堂前に来たかというと夕食を食べるため。この周辺はちょっと安価でいい感じのレストランが多いらしいのです。
が、本日は大晦日なので周囲のレストランはほぼ満席。しかし、20分ほど根気よく探したら「19時までならOKよ」と言ってくれるレストランがあった。ありがたい。
さてさて、今年最後の晩餐はやはりハンガリー名物フォアグラ一択でしょう。
注文して15分ほど経ったら出てきました。
おお、これがフォアグラか。早速一口。
う・・・
う・・・
うめぇーーーーー!!
うっっっっっま!!!いーやこれは美味い。肉の形をした旨味の塊ですよこれは。味覚直撃する美味さ。
付け合わせのリンゴのソテーとマッシュポテトも大変美味です。3人で4切れ出てきたので、スマホの面積測定を使用してできる限り精密に三等分しました笑。
10分ほどで完食。
この他ハンガリー式シチューのグヤーシュなどを食べて6000フォリント(≒2400円)。フォアグラとワインとグヤーシュも食べて2400円!!?!?!?
ハンガリー万歳。素晴らしい国ですねここは……。
大変満足した夕食を終えて宿に戻りますが、その途中で一か所教会に立ち寄ってみました。
聖イシュトバーン大聖堂です。
中に入ってみるとすごい厳かな雰囲気で儀式が行われていました。どういった儀式かは残念ながら不明。
ものすごく荘厳だったので異教徒が観光気分で見ていいものではありませんねぇ。3分ほど眺めて外に出ました。明日また来ます。
ちなみにこの大聖堂前ではクリスマスマーケットが開催されています。ここも明日来ましょう。
宿までは徒歩15分ほどですが、ややこしいバス路線を使うのはダルいので徒歩で帰ります。
なんだか街全体がそわそわしている雰囲気。欧州の新年は外に繰り出して大騒ぎするからでしょうか。既に騒いでいる若者もいます。
宿に戻っても既に日本は初日の出を迎えているタイミングですので紅白を見る訳でもなく適当にツイッターなどを見て寝ました。友達2人は外へ行ったようですが、私は疲れたのでパス。
来年も穏やかな年になるといいなぁ、なんて思いながら今年最後の眠りにつきました。この時点では本当にそんな事思っていたんですよ。ええ……。
つづく
今回の行程
夕食のお店
安価で美味い。フォアグラ・グヤーシュ・ワインで一人2400円は破格。5000円も出せば信じられない豪遊ができるのでは!?かなりおすすめ。
ただ、人気なので予約がベター。もしくは午後6時頃に突撃するのもアリかもしれません。