転がる五円玉 ~旅と城と山~

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北岳・間ノ岳 肩の小屋テント泊で1泊2日

今年の海の日は登山!土日と天気怪しく月曜が好天という予報だったので、後半2日間で北岳と間ノ岳を攻めました。割とメジャーな山域ながらまだ行ったこと無かったのでようやく行ける~~~!とワクワクしっぱなし!!日本2位の山はどんな景色を見せてくれるのか。期待しかない状態で登山口に向かいました。

 

登山日 2023年7月16日・17日

コースタイム

1日目

広河原 6時30分発<ー2時間ー>白根御池小屋<-3時間->北岳肩の小屋 11時30分着

合計5時間

 

2日目

北岳肩の小屋 4時00分発<-40分->北岳<-1時間->北岳山荘<-1時間30分->7時30分着 間ノ岳 7時50分発<-1時間->北岳山荘<-3時間->白根御池小屋<-1時間30分->広河原 13時30分着

合計9時間30分

 

土曜朝4時半に芦安駐車場に到着。予想通りとはいえこりゃめっちゃ混んでますな……笑 殆ど全ての駐車場が満車で、我々はギリギリ空いているスペースにねじ込みました。三連休中日で発車30分前到着ではちょっと遅かったかも。

ちなみに帰りでは臨時駐車場が開設されてたので、あと一歩遅かったら臨時駐車場行きになっていた事でしょう。

さてさて毎度おなじみ芦安バス停。待合室の混み具合はどんなもんかしら。

 

「今から並んでも1便には乗れないかもしれませーん!!」

 

マジか。去年の2倍は並んでるぞこれは……。これがコロナ終了後の山か。

その後、係員の神業的に強引な詰め込み策によってなんとか全員収容できましたとさ。広河原まで1時間立ちっぱなしの刑。しょっぱなからこれはつらい。

もう限界だぁ、というタイミングで広河原に到着。た、助かった。

バスの濃密な空気から解放されて南アルプスの空気を吸い込む。ファー気持ちいい。いやーバスはマジできつかった。混雑からようやく解放された事だし気持ちよく歩くぞ!

しかし!三連休中日は甘くなかったのである。山の中も人だらけ。

うおーい。どうなっとんねんこれは……。前後100人はいるかという大行列。遅いテント泊勢や老人小屋泊勢、追い抜きたいトレラン勢が混じって大混乱。主な流れに乗ってたら結構ペース早くてもうバテバテよ~。勘弁してくれや。

そんなこんなでフラフラになりながらも白根御池小屋に到着。クッッッソきつい。みんな急いでいるのは肩の小屋のテント場が予約不要なせいだと思われます。

天気はというと稜線は完全にガスっている模様。まぁ日が陰って涼しい分にはむしろ良い。

ちょっと休憩して再出発。小屋を越えても人だらけ。流れのペースは相変わらず早くCT7割くらいで登らされます。流石にうんざりしてきた……。

前から後ろから押されるように上り詰めてようやく稜線近くまで来ました。鳳凰三山が良く見えますが、ここより上は雲に覆われており展望はなさそう。

ヒュ~と風が吹き渡る稜線を歩いて肩の小屋へ進みます。晴れてればさぞ眺めが良いのだろう。

稜線に出てからはあっという間で北岳肩の小屋に到着。い~や疲れたわい……。

受付をしてから急いでテント場で張れる所を探します。が、既に平坦で風が無い一等地は占拠されていて多少条件の悪い所に張るしかない。迷っている間にも登山者がどんどん到着するので、思い切って平らだけど風が強い場所を占拠しました。

風に多少苦戦しつつもマイホーム設営。

張ってしまえばもう時間に追われる必要は無いのでのんびり。まだ12時なので時間だけはたっぷりあるんだよな。

 

という訳で小屋まで行って昼食。カレーはまぁ普通だけどお汁粉が最高に美味い。甘味が脳天突き抜けるぜ。

テントに戻って昼寝しているとなんだか暑くなってきた。ふと外を眺めるとこの景色。この青空こそ夏山だぜ。

晴れてるし暇だしテント場を散歩。稜線の西側の区画は風が無い一等地だけどよく見たら結構斜めになってる。風を取るか平らな地面を取るか、登山者の悩みは深い。

散歩がてらテントを数えたところ200張ほどテントが設営されていました。流石に多いな笑。

肩の小屋のテント場はいくつかの区画に分かれていて小屋から徒歩3分くらいの遠い区画にも結構張られています。

実は私たちのテントも遠い方だったりする。無茶苦茶斜めの場所にも張られてたりして区画分けはかなりアバウトな感じ。だからこそ予約無しでも運営できるんだろう。

 

あまりにも暇なので甲斐駒ヶ岳でも眺めながら昼寝。時間の使い方が実に贅沢。これぞテント泊の醍醐味。

18時に夕食。食べ終えると夕陽が仙丈ケ岳の方に沈んでいきました。ガスが映える素晴らしい夕陽で感動を禁じ得ない。

19時半日没。風も落ち着いてきて安眠できそうだ。よかったよかった。

 

夜0時。

トイレがてら外に出ると満点の星空。慌てて撮影したら北岳と天の川がいい感じで収まりました。この天気なら明朝も晴れそうだな。

でも風が強くなってる気がするけど大丈夫かしら。。。

 

~~~~~~~2日目~~~~~~~

 

風やべぇ!!!!

午前1時くらいからどんどん強くなってきてあんまり寝れなかった……。ナンテコッタイ

テント撤収を躊躇するくらいの強風だが、これくらいで怯む俺ではない!!なんとか15分くらいで撤収完了。フライシートとかはザックに無理やり詰め込んだだけだけどまぁええやろ。

4時すぎの小屋前は既に人でいっぱい。天気は良いし気温はほどほどだし良い御来光日和ですね。

北岳山頂に向けてアタック。思ったよりも岩稜帯でちょっと驚き。

ヤバい、、、小屋から山頂はすぐだろうと思いきや想像より遠い。空がどんどん明るくなってきて焦る。

 

よし、山頂到着!!御来光はまだか!?

ちょうどご来光だ!!あっぶねぇ、本当にギリギリ間に合ったぁ……。

鳳凰三山から登る朝日、これが見たかった。全ての疲れが吹っ飛ぶ。

昨日のテント場から眺めていた甲斐駒と八ヶ岳も良く見えます。その辺の山も結構高いはずだけど、ちょっと見下ろす感じになるのは流石日本2位の北岳ですね。

北には仙丈ケ岳と遠く北アルプスも一望できます。白馬から乗鞍まで本当に良く見えている。やっぱり梅雨明けの空は澄み渡っていて気持ちが良い。

南には御馴染みの富士山。他の山がボヤッとしている中で圧倒的な存在感を放っています。

小屋からのピストン勢が下り始めたあたりで我々も山頂を後にします。まだまだ先は長いのである。

肩の小屋に戻る人々を尻目に南に進路を向けると、間ノ岳の重厚な姿が眼下に広がります。地味な山だと思っていたけれど結構良い形してますねぇ。

北岳からの下りは思ったよりも岩場チックでちょい驚き。苦労するほどじゃないけど全く油断できるほどでもない。

サクサク歩いて北岳山荘到着。もうちょいいい写真あるだろ、と思いきやこれしかなかった。疲れてたんかな?小屋の人にデポしていいですか、と聞くと外ならどこにデポしていいとのこと。ありがたくテントを置かせてもらいます。

軽くなった荷物を背に間ノ岳アタック。往復3時間だけと見た感じそんなにかからなさそうなんすよね。標高差150mとかだし余裕でしょう。

あれ、思ったより岩場なんだが。中白根山までは単調に登るけど、そこから先のアップダウンが激しい。なんだかんだ言って3000m級の稜線は一筋縄ではいかないのね。

北岳山荘から1時間半もかかったけど間ノ岳到着。百名山完登のために来たようなピークだからテンションあがらないや。

富士山は相変わらず綺麗に見えて目の保養になる。本当に綺麗な山です。

北岳からは影になっていた塩見岳や荒川岳も良く見える。奥は聖岳っぽいけどようわからん。

印象的なのは仙丈ケ岳。裾野の尾根線がとても美しい。南アルプスの女王と呼ばれるらしいけれど納得です。

広河原までの長さを想像して辟易しながらも下山開始。途中の中白根山では雷鳥を発見。カンカン照りなのに運が良い。

北岳を眺めながらトボトボ歩く。気温は高いし、あと1700mは下らなきゃいけないし、これは辛い下山になりそうだぞ……。

余談ですがこの辺りの風景はザ・アルプスという雰囲気で素晴らしかったです。北岳の迫力満点。

北岳山荘で荷物を回収していよいよ下山本番。。まずは八本歯のコルまで行くのですが、さっそく100mほど登り返します。

この登り返しがゲロ吐くかと思うほどキツかった。登り返しとはなぜこれほど辛いのか。一旦提出した仕事が差し戻されたような異様な精神的辛さ。重い荷物も相まって一歩が出ない……。昨日の道と違って人が少ない事だけが救いです。間ノ岳まで行く人は少ないらしい。

 

どうにか登り返しを終えてから今度はトラバース。が、この道も結構強烈。崖際ギリギリを登ったり降りたりします。これ、そこらのキレットより危なくないか???

予想以上にブッ飛んだ道を乗り越え、長い梯子を下り、、、

八本歯のコルに到着。アップダウンが多くて正直めちゃくちゃ疲れた。ガスが上がってきて直射日光が無いのが幸いです。

でもこれだけ歩いたのに北岳山荘から殆ど下ってないってマジすか……。泣きたい。

 

しかし、北岳の下山路はこれからが本番だったのです。八本歯のコルから下り始めると梯子、梯子、また梯子。100基はあろうかという梯子を無限に下り続ける。フラつく足でどうにか踏ん張って慎重に下っていきます。

梯子地帯をなんとか下り終えると次は雪渓地帯。一見楽そうですが、道はザレており踏ん張りの効かないと足元がおぼつかない。俺の足ってこんなにフラフラしてたっけ。力が入らない感じ。久々のテント泊が相当堪えているのかも。

この谷から広河原まではルートが通っていたものの、今は崩落で通行止め。途中の分岐で左に逸れて白根御池小屋まで行く必要があります。歩いても歩いても分岐が見えないので地図を確認したところ、八本歯のコルからまだ半分も来てない!?梯子地帯は標高は下ったけれど水平距離は全然進んでなかったのね……。このガッカリ感はかなりのものでした。

 

谷は長いし疲れてるしで本当ならもっとゆっくり行きたいものの、帰りのバス(14時発)があるので止まっている暇が無いのも辛い。今回の登山は行きも帰りも時間に追われていて苦しいな。

 

無限にも思える谷を下り終え、若干のトラバースをして白根御池小屋到着。や~~~っと知っている道に戻れた。

コーラ(500円)でエネルギーチャージ。広河原まではあと1時間50分。本当のラストスパートだ。

さっきの梯子連発やザレてる道とは違い、小屋から下の道は歩きやすい。岩も安定していてスイスイ下れる。助かった。

ちなみに白根御池小屋からは急に人が増えました。やっぱりみなさん肩の小屋から北岳をピストンして下ってきているのね。

 

無心モードで下山し続けて13時半頃に遂に広河原到着。うん、疲れた!

北岳は既にガスの中。下りは予想以上に辛かったけれど、山頂では晴れたし総じて良い登山であったな。

ドゥワァ!!!なんだこの行列!!!

 

「今から並んでも14時のバスには乗れないかもしれませーん!!」

 

OH……。またかよ。

結果、なんとかバスには乗れたもののラッシュ時の満員電車もかくやという限界バスで芦安までドナドナされました。既に逝っている足がここで完全にノックアウト。

失神寸前の状態で1時間バスに揺られて芦安に帰還。山自体はさておき、このバスのせいで過去一番辛い登山になったかもしれない。

この後は友人の車で温泉に行きました。その後、駒ヶ根からバスで帰ろうと思ったものの、なんと中央道の恵那山トンネルが工事で猛烈に混んでいるらしく泣く泣く電車で帰還。ネクスコのバカヤロー!結局21時に京都に着きました。南アルプスは首都圏勢のアクセスが良くて羨ましいぜ……。

 

まとめ

山頂では晴天に恵まれた良い登山でした。特に北岳は日本2位の標高は伊達ではなく、甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山など名だたる名山を眼下に望む眺めは一見の価値あり。

ただ、全体的に地味目ではありました。道中も特に目立つポイントは無く、北岳も間ノ岳も山容自体は平凡寄りです。中白根山付近から眺める北岳は大迫力で見ごたえありましたが、それくらいなものです。

また、時間に追われ続けたのも辛かった。往路はテント場争奪戦、復路はバス発車時刻を常に意識し続ける必要があり、思ったよりもバテてしまった印象です。もうちょっとバス便の数を増やして欲しいのですが、道路状況と山のキャパシティが許さないのでしょうか。この辺の問題は南アルプス全体の弱点だと思います。

百名山スタンプラリーっぽくなってしまったのも反省。この辺の白峰三山を縦走したらまた違った感想になると思うので、次は奈良田から歩いてみたいですね。

 

おわり