白山 平瀬道で日帰り 〈後編〉
さて、御前峰からガレガレの斜面を下って降りました。上から見た通り、この辺りは植物が少なく火山の様相を呈しています。
火山らしく火口湖も点在しています。これはそのうちの一つ、紺屋ヶ池です。ビジュアルは完全にデカい水たまりですね。そのうち岩が崩れてきて埋まってしまいそう。
そんなガレガレの場所にも高山植物は生えています。イワギキョウが美しい。
別の火口湖である油ヶ池は殆ど消滅しています。
その油ヶ池から望む御前峰。やはり荒々しい外観で、室堂からの様子とは一変しています。この違いは率直に凄い。
のんびり歩いていたら翠ヶ池が見えてきました。白山最大の火口湖です。山際にあるためちょっとでも崩れたら水が全部ザバーッっと出ていきそう。
この辺りからは大汝山が見えています。なだらかな山容ですが、地味に急登らしいのでパス。
振り返ると急峻な御前峰が見えます。横から見ると鋭くてまた違った趣。
翠ヶ池を見てからは若干登ります。緑も増えてきました。
登りきると血の池とその周りの平地が見えます。適度に岩が転がっており庭園のような雰囲気。吹き抜ける風も涼しく非常に気持ち良い。
血の池というおどろおどろしい名前の割には平々凡々とした池です。この時期なのに枯れていないのが不思議。
この辺りで北のルートと分岐します。釈迦新道などはとてつもなく長いので上級者向きです。私には厳しい。
後ろには大汝峰と血の池が見えます。東と西で植生が大きく変わっていることが興味深い。
この先は更にお花畑を巡るルートもあるものの、疲れたので室堂への近道で直帰。眼下にはハイマツに囲まれる室堂が見えてきました。
山頂から50分程度で室堂に帰還。上層の雲が無くなってすっかり晴れ渡りました。風景の彩度が高く真夏らしくなってきました。
室堂は数人がいるだけで閑散としています。昼過ぎから宿泊して登る人が大挙して押し寄せてきそうですが、まだ静か。
休憩をしている間に雲が昇ってきました。ここ最近は落雷による事故が多いのでさっさと降りるのが良いでしょう。
10時前に下山開始です。8月に入ったというのにお花畑はまだまだ健在で綺麗!
すっかり晴れた平瀬道をザクザク下山していきます。
途中で振り返って御前峰を望む。やはり下からでは荒々しさを一切見せませず穏やかです。それにしても突き抜けるような空の青さが凄いですね。
遥か下には目指すべき大白川湖が見えます。あそこまで歩くかと思うと軽く絶望。いくらなんでも遠すぎるだろ……。
死ぬほど蒸し暑い道を歩いているとアサギマダラを見つけました。羽だけではなく体にも斑点がある不思議な蝶です。単調な道を下っているとこういう生き物に目がつくようになります。
登りではなんでもないガレ場も下りならちょっとビビる。
10時40分に大倉山避難小屋に到着。周りが茂みなせいか無茶苦茶暑い!!とても休憩できないのでさっさと通過します。
眼下には相変わらず大白川湖が見えています。だいぶ近くなってきた!もうひと踏ん張り。
樹林帯に入ると真っ赤なキノコを見つけました。枯れ葉の中に生えているため非常に目立ちます。
これはタマゴタケというそう。名前があまりにそのまんまである。
11時46分に大白川駐車場に到着です。下りが死ぬほど疲れた……。太陽を浴びながら下る道は本当にしんどかった。
白山は日本三霊山に数えられる信仰の山です。長い長い道を登り、そして現れる天国のような平原と地獄のように荒々しい火山。この違いは衝撃的です。山頂からの眺めも東はアルプスの山々ですが、西は茫漠とした日本海です。ここまで表と裏がはっきりしている山はここくらいではないでしょうか。
今回は"裏手"の岐阜側から登りましたが、次は石川側からも登ってみたいです。リピート確定。ここまで素晴らしい山はそうそうない!
さて、死ぬほど疲れたので温泉に行きます。登山口に温泉がある山は神。
うおおおおおおお!景色がすげぇ!!
よし、入ろう! と服を脱いで足を踏み入れた瞬間でした。
……ん?アッツ!??岩が熱い!!風呂周りの岩が熱されてハチャメチャな熱さになっている。完全に足の裏を火傷しました……。
風呂に入っても岩に寄っかかれないので中央で体育座りするしかありません。この状況は予想外すぎる……。景色は最高なのに~。
風呂を出て即帰宅はせずちょっと寄り道。白水滝という滝が眺められるらしいので行ってみます。
林道沿いの駐車場に車を停めて気持ちのいい森を歩くこと5分。
白水滝が見えました。予想よりも大きい。てっきり5mくらいの落差だと思っていましたが、72mもあるようです。紅葉のシーズンが特に美しそうです。
ちなみに華厳の滝・那智の滝と共に日本三名瀑に数えられることもあるらしい。茨城県民的には袋田の滝の方が遥かに素晴らしいと思いますがね。
大白川林道はあまり長くはないとはいえ割と緊張の運転を強いられます。よくこんな所に道を通したものだ。
20分ほどで国道に到着。帰り際についでに帰雲城跡に立ち寄りました。大地震によって城・城下町が土砂崩れで埋まってしまいました。しかも、運悪く宴会中だったので城主の一族郎党全員が死亡した、というかなり衝撃的な遺跡です。
背後の山肌にある白いがけ崩れがその痕跡と言われています。個人的には土砂崩れおいうよりも、こんな辺鄙な場所に城があったことが驚きです。
この後は高速で帰り、15時には富山に着きました。白川郷も観光しようとしましたが、そんな余裕は無かったのであった。
おわり