秋の長崎旅行 2018 1日目 軍艦島と鍋冠山
10月の下旬に長崎県へ大学の友人と旅行に行ってきました。
今回のそもそもの発端はその友人から「軍艦島行こうぜ!」と誘われたことです。なぜ軍艦島かというと、島の遺構の風化がどんどん進んでいて近々上陸できなくなるのではないかと噂されているためですね。
例えばこんな記事が
つまり、①RC構造の建物の保存技術が確立されていない・②費用がむちゃくちゃかかる、ため現状は風化にまかせるしかないようです。確かにいくら世界遺産とはいえ無人の建物に何十億もかけるのはちょっと無理がある気がします。
とまぁ、そういう訳で「行くなら今のうちだろ‼︎」と半ば勢いで旅行決定。軍艦島上陸ツアーも予約しました。
そんなこんなで、ウッキウキで過ごしていたある日、とあるニュースが目に入りました。
マジ!?ついてねぇ…
「俺が行くまで3週間あるし復旧するんじゃない?」と淡い希望を抱いたものの、ツアー会社から「上陸は間違いなく無理なので、上陸しない周遊ツアーでもいいですか」とのメールが来ました。是非もないので、周遊ツアーに変更しました。
こういうアクシデントが起こるのも旅行の楽しみ、という事にしましょう…。
ーーーーーここから当日ーーーーー
羽田17時40分発のJAL613便で長崎へ飛びます。秋も深まってきたので18時でも真っ暗ですね。東京の夜景が眩しい。
2時間後の19時45分に長崎空港に着きました。長崎空港と言えば世界初の海上空港である事で有名ですが、周囲が漆黒の闇すぎてまったく分かりませんでした。田舎だからしょうがない。
バスで長崎市内へ行き、大浦天主堂近くにある長崎カトリックセンターに泊まります。
中心街からはちょっと離れているのものの、宿泊費が安いので良い宿です。
翌朝、宿を出て駅に向かって歩いていると雨がポツポツと降ってきました。この時期は大抵は晴れているのですが……運が悪いですねぇ。
宿からは徒歩圏内に長崎平和記念公園があります。中央には有名な「平和祈念像」が鎮座しています。
思ったよりも大きく雄壮な像ですね。「西洋的な屈強な男性は平和記念像にふさわしいのか」という議論もあるようですが、作者である北村西望は「特定の人種を表していない」としてこの像を作ったようです。私も西洋的な風貌には見えないような気がします。
ちなみに長崎の平和記念公園は広島よりもかなり小さいのですよね。上の平和祈念像の背後50mにはマンションが建っていたりします。長崎は山あいにあって平地が少ないからですかね?
市電で「大波止」電停に向かいます。電停から徒歩5分くらいで、軍艦島周遊クルーズが発着する桟橋に着きました。
本日乗る船がこちら。最近大型フェリーばっかり乗ってたのでとてつもなく小さく見えます。雨も本降りになってきたし、風は吹いてきたし揺れそうです。
船には1階の船室の他に吹きっさらしの2階があります。「やっぱ直接見ないとな!」と思ったので2階の最前列に陣取ります。
出航間際になると2階も1階もほぼ満席になりました。
定刻で出航しました。しばらくは穏やかな長崎港をのんびり進んでいきます。左舷からは小規模のドックが連なっている国分町が見えます。斜面に家が連なっていて中々壮観ですね。
もう少し進むと三菱重工の香焼造船所が見えてきます。泊まっているLNG船がデカい!やっぱりデカい船はいいですね!!
この香焼造船所を過ぎたあたりから波が高くなってきます。並走している船もこの通り。
吹きさらしの2階席は波しぶきが容赦なく降り注ぎます。冗談ではなくビシャビシャになります。スマホが防水じゃなかったら壊れていたでしょう。
波しぶきを被りつつ船は進んでいきます。高島を過ぎると正面に平べったい灰色の島が見えてきました。
灰色の海、灰色の空をバックに浮かぶあれこそが「軍艦島」です。確かに昔の軍艦っぽいシルエットをしています。
軍艦島(端島)は東側に炭鉱の工場が、西側にマンションが建っています。これは東側(陸側)が西側(東シナ海側)よりも波が弱いためです。西側に幾重にも建ち並ぶマンションが防波堤代わりになって東側にある工場を守っているのです。上の写真は東側です。
船は東側から南を回り込んで西側へ回航します。
この西側が凄まじい!遠くからでは「軍艦っぽいなぁ」的な感想しかないのですが、近くまで寄ってみると島全体がマンションだらけになっている異様さがよく分かります。
↑写真の右上に灯台があります。人がいた頃の軍艦島は光があったので灯台は要らなかったのですが、無人になったので灯台が設置されました。
↑48号棟や端島神社が見えています。一番上は3号棟という建物で、幹部用で風呂付でした。
↑手前に60号棟などが見えます。奥には端島最大の65号棟も見えています。
島を一周する訳ではなく、西側を全部見たら回頭して再び南に行きます。
↑西側からの軍艦島全景。緑が全く無いですね。
↑南から望みます。マンションと海の近さがよく分かりますね。ちょっとでも波が高くなるとマンションの7階まで波が来たようです。
↑東側から軍艦島全景。前後が堤防によって切り立っているので軍艦っぽいシルエットになっているのですね。
↑波が比較的穏やかな東側には観光船が使用するドルフィン桟橋があります。見ての通りボコボコです。これは使うのは無理ですね。台風の波ってすごいんですねぇ。
↑最後に見えた建物がこちらの端島小中学校跡。ガラスが未だに残っていますね。この建物は東側にあるので波が比較的弱いためでしょう。最上階の増築部分は崩壊しかかっています。
ちなみに船のアナウンスで詳細な解説が随時流れています。
「わ〜マンションがいっぱいだ〜」でも十分に感動できるでしょうけど、建物の背景を知っているとより楽しめるのでアナウンスはきちんと聞いた方が良いです。
軍艦島を一通り見たら離れて一路長崎港へ戻ります。軍艦島の周りにいた時間は30分くらいでした。
雨も波も高くなってきて結構つらい。というか寒い。
すれ違った船も豪快に波を立てて爆速しています。
長崎港へ帰ってきました。行きで見た方と反対側に三菱重工の長崎造船所があります。イージス艦「みょうこう」とLNG船が泊まっていますね。
出航から2時間半後の15時30分に港へ戻ってきました。ずっと雨風に打たれ続けていたので体が冷え切っています。軍艦島クルーズに来る人は秋でも防寒はしっかりした方がいいですね!雨は無くても風は結構あるので。
港を出て長崎の街をうろつきます。
こちらの橋は出島の表門です。未来的なデザインであり一見すると出島に合わないような気がしますが、実はすごい橋だったりします。
つまり、こっち側にしか力が掛かっておらず出島側にはスレスレで触れていない構造なのです。
出島の中には入らず南のオランダ坂方面へ歩いていきます。
旧香港上海銀行長崎支店です。国の重文で重厚感がありますね。普通に歩いているだけで、こういう歴史がある建物が目に入ってくるのは楽しいですね。
中は一階のみ無料です。いかにも「明治時代」という雰囲気が素晴らしい。地味ですが入る価値はあると思います。
オランダ坂の途中で趣ある洋館をみつけました。こちらは「祈りの丘絵本美術館」です。
これまた雰囲気が良いですね。気品と陰鬱さが混在しているので、オタク的にはFateの間桐邸を連想します。絵本には特に興味が無いのでスルー。
坂を登ると有名な大浦天主堂が突然姿を現しました。
思ったよりも小さいですね…。威圧感よりも柔和な印象を持つ建物です。
教会にはあまり興味がないのでスルーしてさらに上に行きます。どうやら大浦天主堂の背後にある鍋冠山からの景色が良いようなのでそこに行くことにしました。近くにはグラバー邸もあるのですが、そこもスルーします。
いやしかし本当に坂しかない街です。東京も坂が多いと思いますが、長崎は坂が多いというよりも坂しかないような状況です。
そのせいか法面の壁がやけにバリエーションがあります。
特にこの壁。丸い石が使われており、苔がむして数百年前の石垣のような風情があります。
こちらはグラバー邸の下にあった壁です。石の積み方が完全に城の石垣ですねwww。現在ではこのような石垣は作れないでしょう。
↑何故かラグランパンチ(キルラキルのフォント)で書かれた注意書き
坂の傾斜がだんだん強くなってきました。
家の表玄関がこうした細い階段に面しています。買い物がものすごい大変そうですね。郵便も徒歩で回るしかないのでしょう。
こんな感じの道を登ること15分程度、汗だくになりながらも鍋冠山展望台に着きました。
さっそく景色を見てみると……おお〜すごい!
長崎湾と市街地がよく見えます。5時ちょうどになったので、客船が中国へ出航していく様子がちょうど見えました。
日没が近づくと長崎の街に光が灯り始めました。夜景が有名なだけあって綺麗です。
「良い眺めだ……」としばし感動していましたが体が急にブルッときました。それもそのはず、クルーズでびしゃびしゃ+坂を登って汗だく+風が強い+気温は10度……普通に寒いぜ!
慌てて宿に戻って布団にくるまったものの、寒気が止まりません!完全に風邪をひいてしまいました。取り敢えずこの日はおとなしく布団で寝ます。明日良くなればいいのですが……。
harimayatokubei.hatenablog.com
つづく