2019年ローマ旅行:ヴァチカン美術館 ~ピオ・クレメンティーノ美術館と地図の間
キアラモンティ美術館は袋小路なので、ピーニャの中庭まで戻りました。さて、ここから先は7㎞(推定)におよぶ一本道をひたすら歩き続けます。スニッカーズで気合を入れていざ突撃!
まずは、ピオ・クレメンティーノ美術館に着きました。屋外の庇の下に彫像が展示されており開放的です。
それにしても人が多い!!
上の写真はベルヴェーレのアポロンです。今では失われていますが弓矢を手に持っていたようです。
ここの目玉はこれ。ラオコーンです。
非常に有名です。神官ラオコーンが2人の息子と共に大蛇で絞殺される様子を顕しています。右の息子の「父上ーー!!」って感じの表情が良い。
続いて赤っぽい装飾がなされた円形の間に出ました。下の写真の下の方に、赤い水盤があります。これはネロ帝の黄金宮殿で発見されたもの(だと後に知りました……無念)です。
中にはヘルメスやヘラクレスといったギリシア神話のビックネームの彫像が並んでいますが、中にはローマ皇帝のものもあります。
これはガルバ帝の彫像です。ネロ帝の次の皇帝でしたが、即位した時には60歳を超えており、精彩を欠いた統治で即位1年経たずにオトという政治家に暗殺されました。歴史家のタキトゥス曰「もしガルバが皇帝にならなければ、万人はガルバが皇帝に値すると述べたであろう」。
わずか3か月だけの皇帝だったのに、こんな立派な像があるとは驚きです。当時のローマ帝国の国力がうかがい知れます。
次はギリシア十字の間です。ここには斑岩で作られた石棺があります。
これは聖ヘレナの石棺です。ヘレナはコンスタンティヌス帝の母です。聖ヘレナは聖人で、ゴルゴダの丘でキリストが磔になった十字架を発見したとか、ロンギヌスの槍を発見したと言われています。保存状態が良いのも納得。
次はミューズの間です。ここの目玉はベルヴェデーレのトルソーです。
素晴らしい筋肉!マッスルの塊の様相を呈しています。筋肉のバキッとした造形が素晴らしい。
燭台の間という場所を通ったらしいのですが、スルーして次のタペストリーの間に行きます。
ここにはラファエルの下絵を元にしたタペストリーが壁いっぱいに飾られています。とにかく大きさが凄まじい。オタクがリュックに刺しているタペストリーとは色々な意味で次元が違います。
タペストリーはキリストの生涯をモチーフにしています。例えばこちら。
キリストの復活の場面です。ど真ん中にキリストが描かれており、まさに宗教画という感じです。いやまぁ絵ではないのですが……。
この他に私が気になったのはこちら。
カエサルの暗殺です。中央下の人物が押し倒されて刃物を持った人物達に今にも刺されようとしている場面が表現されています。
続いて地図の間に入ります。ここには40枚ものイタリア半島の鳥瞰図が120mの廊下に展示されています。これらはフレスコ画で、描かれたのは1580年のことです。
天井もすごいのですが、ここはやっぱり地図ですね~。
全部で50枚くらいあるのですがいずれもかなりの正確さで驚きです。例えばこれは、現在のカンパーニャ(ナポリ周辺)です。
現在の衛星写真はこちら。
ほぼ同じです!これはすごい!!鳥観図なので多少の誤差はありますが、殆ど合ってます。1580年にここまでの物を作るとは凄まじいです。
有名な都市もあります。例えば下のはヴェネツィアです。これは一目で分かりますねぇ。
カンパーニャの地図は南が上で、ヴェネツィアの地図では北が上になっているのは、これらが「ローマ教皇から見た図」という建前だからですかね?
こちらはローマです。
ローマを取り囲んでいるのはアウレリアヌスの城壁ですね。古代ローマ時代は城壁が市街地の境目だったようですが、この時代では城壁内もかなりの面積が畑?になっています。よく見るとコロッセオやパンテオン、オベリスクがそこここにあって面白い。
こういう地図もフレスコ画で描いたって事は実用的ではなく、観賞用でしょう。現代でも同じですが鳥観図は実用ではなく「見て楽しむ」ものである事を痛感しました。それに、この量の絵を損なうことなく保存しているヴァチカンはすごい。
地図の間を出ると狭い廊下をひたすら進みます。圧迫感がすごい…と思ったら中の駐車場が見えました。
駐車が乱雑すぎませんかね!?
この先はいよいよラファエロの間とシスティーナ礼拝堂ですよ!むっちゃドキドキしてきた…。予習も完璧。行くぜ!
つづく