転がる五円玉 ~旅と城と山~

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2019年2月イスタンブール旅行記:トプカプ宮殿・ハレム ~冷酷な鳥籠~

 ハレムは有名すぎるので説明は不要でしょう。イスラム版大奥とも呼べる場所で皇帝の相手をする女や皇太后、黒人宦官など総勢で1000名もいたと伝わっています。

 そんなハレムはトプカプ宮殿の第二の庭と第三の庭に跨って存在しています。現在は入口は第二の庭、出口は第三の庭にあります。別料金ですが、Istanbul Musem Passで入れるので入ってみます。あまりに地味すぎて写真を取り忘れた入口を通って中へ。

 まずは青緑色のタイルで覆われた部屋に出ました。ここは清めの泉の部屋です。ハレムの表玄関なのでもっと立派なものかと思いましたが、意外にも地味な印象を受けます。

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この部屋を通ると中庭に出ます。写真は奥から入口を見た構図です。中東の裏路地もかくやというほど地味で、ここが表の宮殿とは全く違う存在であることを痛感します。
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中庭を通って名もない廊下を進みます。
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窓が天井にしかないため常に薄暗いです。深い海の底を手探りで進むような圧迫感があり、とても息苦しい。
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少し歩くと母后の間に出ました。皇帝の母である母后はまさにハレムの最高権力者です。ドームはぶどうの柄になっており柔らかい雰囲気です。
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とはいえ、やはり光が入らないせいか陰鬱です。

再び廊下を進みます。順路はあるものの、狭い上に幾重にも折れ曲がるのでどこを歩いているのかさっぱり分かりません。しかもとにかく暗い……。
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廊下の途中にあったトイレ。トイレすら金箔と大理石で構成されています。でもゴテゴテした装飾は無くて使いやすそう。
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と、そんな暗く狭い空間を進んでいると突然広く明るい場所に出ました。ここは帝王の間です。アフメト3世によってロココ様式に改装されたため、他の部屋とは違う雰囲気になっています。
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この場所はハレムにおける宗教的な儀式や様々な行事にて使用されました。率直に言って、トプカプ宮殿の表の部屋よりも遥かに華麗です。

この場で皇帝はハレムの美女を選び出し、夜な夜な相手をしていたのでしょう。オスマン帝国の皇帝は暗愚なことが多いと感じますが、そりゃこんなことしてればなぁ、という感じです。

この部屋にある物は全て大変に立派で、大理石でできた蛇口もとてつもない精巧さです。
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背後にあるタイルですら一切の歪み無く配置されています。こういう規則正しさはイスラムが本当に強い分野だと痛感します。

帝王の間意外の廊下にもタイルは配置されていますが、あまり精巧ではないですね。
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ただ、所々でこうした豪華な壁面があります。これは螺鈿と瑪瑙でしょうか。死ぬほど金がかかっていることが推察されます。この模様自体はイランでよく見た形式ですね。
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続いて帝王の間の隣にあるムラト3世のサロンに入ります。ここはハレムでも最も古い区画でミマール・シナンが製作しました。セリム2世のモスクをそのまま縮小したような感じです。ハレムでは古い建物なので全体的に落ちついた雰囲気です。
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窓の模様が素晴らしいですねぇ……。一見すると小さそうですが、人物を見れば分かるように普通の部屋の4階分くらいは高さがあります。

 

廊下に貼られているタイルをよく見ると精密さに差があります。これはオスマン帝国の後期になるとタイルの質も劣化したことが原因です。一枚一枚良く見ると結構差があって面白いですね。
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ムラト3世のサロンからすぐにハレムの中庭に出ます。ハレム自体が北に面しているためか、ここも影になっており薄暗いです。
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最後に台所を通って外に出ます。こういう裏方的な場所は装飾がないせいか逆に明るい空間になっています。寒さは相変わらずですが。
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これは台所のかまどです。ベンチ?の柱が1本だけ装飾されているのが謎ですね。
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台所を通ってしばらく歩くと第三の庭に戻ってきました。
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 ハレムを一通り周った訳ですが「冷たく・暗い」という印象が非常に強かったです。建物が密集していることに加え、北に面しているからでしょう。この場で1000人もの人が皇帝の子を産むために蠢いていたことを想像すると若干気持ち悪くすら思います。それほどの冷酷な空間でした。頽廃という言葉をここまで濃厚に感じられる場所もそうそうありません。

 

 しばらく陽のあたるベンチで休憩します。時刻は11時。そろそろ空港へ行かねばなりません。イスタンブール旅行もこれで終わりです。今回は見られなかったものが多すぎたので、近い将来また来るでしょう。必ず!

 

おわり ローマ旅行記

 

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