転がる五円玉 ~旅と城と山~

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スーパーカブ110で行く 6月の北海道一周ツーリング その1 札幌ー羽幌

ひょんなことから3週間ほど暇ができたので、6月の中旬から7月の頭にかけて14日間で北海道一周してきました。

 

主なルートはこんな感じ。

総距離1800㎞なので、1日あたり150㎞走ればお釣りがくる計算。

今回はレンタルバイクを借りて原付2種のスーパーカブ110をチョイス。カブを選んだ理由ですが、MTバイクの乗り方を忘れたからです。

となるとスクーターよりは長距離向きっぽいスーパーカブが最適解になる。カブはなんか旅っぽくていいしね。

 

この辺は別記事にまとめるとして、、、早速旅行記に入りましょう。

 

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6月15日(水)・札幌市

昼頃の便で成田から札幌に到着。

涼しい~~~!!これだよこれ~!梅雨待った中の関東から来たのでこの涼しさに感動します。大都市なのに霧ヶ峰みたいな空気感なんですよね。夏の北海道は本当に格別です。

 

それはさておき札幌で装備を整える。今回の服装は主に登山に準じているものですが、長く使っていたワークマンの雨具が経年劣化で使い物にならなくなってきたので、モンベルで買い換えました。

防寒装備がTシャツとダウンしか無かったのでフリース類を買おうかと一瞬迷いましたが、ダウンさえあれば流石に大丈夫だろうという判断で購入せず。(のちのち、この判断のせいでエラい目に遭います)

 

この日は特に飲み屋に行くこともせず、ホテル近くの飯屋で豚丼を食べて就寝。クーラー要らずでやはり札幌は快適です。

 

翌6月16日は朝7時起床で南郷13丁目にあるイーグルモーターサイクルに行きます。開店は11時ですが、レンタルバイクの出発のみ朝10時からやっているらしい。

開店前の店内で受け付け待ち。

保険のサインや支払い、ヘルメットとネットの貸し出しなどを受けて今回のバイクとご対面。

クリーム色のホンダ・スーパーカブ110です。本当はクロスカブが良かったのですが、予約が取れずこちらになりました。

パニアケースなどは無いものの、ネットでリュックを固定すれば大丈夫。カーブでも問題なく走行できます。

 

ここでバイクを借りるのはもう3回目なので慣れたものです。ヘルメットを被っていざ出発!!

 

今日の行程:札幌市~羽幌町(234㎞)

札幌から羽幌を目指したことは過去2回あって、1回目は海沿い、2回目は留萌本線沿いだったので今回は幌加内経由で行きます。230㎞くらいなので休憩入れても7時間あれば余裕で着くだろうという予想。

 

札幌市内を出てからは国道275号線沿いを淡々と走ります。気温は暑くも無く寒くも無く丁度いいくらい。

田んぼの中をひたすら走り続ける道であまり北海道らしくは無いです。地元の茨城の県道を走っている気分。

出発から1時間半ほど走り流石に飽きてきたので寄り道してみます。

275号から外れて1分ほどで着いたここは、南下徳富駅。2020年に廃止になった札沼線の廃駅です。

廃駅なので当然立ち入りは禁止。板切れのみのホームが哀愁を誘います。

おそらく殆ど利用客はいなかったと思われますが、秘境駅にしては人の気配があることが驚き。宗谷本線や根室本線の駅は目の前に原野と森しかない事も多いのですが、ここはまだ田んぼが周りにありますし、何より人家が見えています。

それでも廃止になるほど利用客が減ったのは、並走している函館本線が近すぎるからでしょう。この南下徳富駅から函館本線の砂川駅までは9㎞ほど。車で10分ちょっとで着く距離です。そりゃあ早いし本数も多い函館本線を使うのも納得。

2021年現在はまだ田んぼの中を突っ切る線路がそのまま残されています。ただ、この線路は田んぼを分断しており水利に悪影響を及ぼしているため、徐々に撤去される予定です。

カブと線路を一緒に撮影してから、国道275号線に戻って北上を続けます。

12時半頃に275号線沿道で最大の街である新十津川に到着しました。ここでも南下徳富駅と同じく札沼線の廃駅であり、終着駅でもあった新十津川駅に寄り道してみます。

南下徳富駅よりはかなり立派な駅舎です。

中は物置のようにガランとしていますが、「ようこそ新十津川へ」の看板がありここが駅舎であったことが分かります。

ホームと線路は残っており、廃止1年経ってなお駅としての姿は残されています。

ところで、この写真を撮っている間にJR北海道の職員が車でやってきて、駅構内を色々と調べていました。この廃駅でやることなどあるのだろうか、権利関係かな?と思っていたのですが、、、

なんと私が訪れた1か月後には駅舎が解体されてしまったようです。

そして2022年現在は線路すら撤去されホーム以外は跡形もありません。

来年には札沼線を記念した公園となるようです。流石に雰囲気変わりすぎだろうと思わないでもありませんが、朽ち果てて忘れ去られるよりは公園になる方が良いのではないかな・・・。

 

新十津川を出てからも引き続き275号を北上しますが、途中の道の駅 田園の里・うりゅうで昼食休憩。

いやぁ、、、生きている駅はやっぱり活気が違うや。

レストランで昼食と思ったのですが、なんと緊急事態宣言発出の影響で休業(泣)

代わりに町名産のインカのめざめという品種の揚げじゃがいもを頂きます。

めちゃくちゃ甘い。サツマイモか!?というくらいの甘味があります。小さくて食べやすいのもいいですね。

食後は併設されている雨竜沼湿原の写真展を見学。なんでも北海道の尾瀬と呼ばれるほどの規模があるのだとか。湿原の先にある暑寒別岳は200名山なので、そのうち登ってみたいですね。

水分補給もして再出発。もう14時を過ぎているのでモタモタしている暇はありません。

石狩沼田を超えると徐々に山が迫ってきて石狩平野の終わりを感じます。

徐々に森が増えてきたあたりでトンネルに突入。5分ほどで抜けると水田は姿を消して畑が広がる盆地に出ました。

15時ちょうど、幌加内町の中心部に到着です。

人はおろか車も少ない。新十津川あたりではトラックも多かったのですが……。ツーリング的には楽ですが、なんだか寂しくもあります。

ここで1回目の給油をします。満タンで2.75Lでした。150km走ってこの燃費は流石スーパーカブです。

ここ幌加内町にはかつて深名線が通っていたのですが、平成初期の1995年に廃線となっています。幌加内駅跡も若干残されていますが、ホームも駅舎も無く線路の向きは往時と食い違っています。

つい最近まで鉄道が通っていた札沼線よりも鉄道の存在感が薄くなっているような。このモニュメントも街はずれの道路脇にポツンとあるだけで寂しげでした。

 

幌加内はそばが有名なので折角だし一杯と思ったのですが、15時と微妙な時間だし17時過ぎには羽幌に着きたいので先を急ぎます。

沿道にあったそば加工工場。「牙城」とはまたすごい表現だな……。

ひたすら広がる畑を走り続けると、盆地の端にある高台に展望台らしき場所がありました。そばの花展望台というらしく、折角だし登ってみます。

うお……盛大に何もない……。そばは6月末くらいに植えるらしく、この時期は本当に何もありませんでした。

北海道らしい広大な景色を眺められるおすすめスポットです。

 

更に北に進み、国道239号との合流地点までやってきました。

ここには深名線の添牛内駅があります。また廃駅かよ笑、と思われるかもしれませんが、275号沿道は本当に観光地が無いので寄り道しようと思うと廃駅に行くしかないのです。

この添牛内駅、公園化されている訳でもないのに意外にも綺麗に残っています。

ホームを見ると草刈りまでされているし。

どうやら添牛内駅保存会という団体が定期的に管理しているようです。

readyfor.jp

なるほど、それなら納得。それにしても毎年3m近く雪が積もる地域で築100年近い駅舎を守るのは大変な苦労だと思います。廃線跡の多くはこうした人々の活動によって保存されており、本当に頭の下がる思いです。

駅前広場に停まるスーパーカブ。ここまで快調に飛ばしてきました。

さあ今日の目的地である羽幌まで残り60㎞。ラストスパートですが、最後に霧立峠越えが待ち構えています。

基本的には整備されて走りやすいワインディングロードなのですが、霧立峠周辺は50㎞に渡って無人地帯が続きます。また、携帯も圏外で交通量も極めて少ないため、一度事故ると救急車が車で数時間というとんでもない道なのです。

実際、添牛内から古丹別までの45kmは1時間の間に2台の乗用車とすれ違っただけでした。この交通量の少なさは北海道でも相当なもんです。日没は迫るわ、延々と続くカーブにうんざりするわで、写真を撮る暇もなく淡々と運転し続けました。

 

集中して運転したおかげか17時に日本海側を通る239号に着きました。ふぅ……めちゃくちゃ疲れた。

宿には18時には着くと連絡してあるので若干の余裕があります。なので、国道から見える風力発電所の下まで行ってみました。

うおお、今回初のダートだ。ちょっと神経を使いますが、山沿いの道と違って解放感が素晴らしい!

この風車群はグリーンヒルウインドパークと言うらしい。天塩のオトンルイ風力発電所も印象的ですが、ここは緩やかな丘の上にあるので雰囲気がまた違います。来て良かった。

そろそろ本当に日が暮れるので羽幌に向かいます。

10㎞ほど走って、本日の宿である羽幌遊歩ユースホステルに到着しました。

疲れた~~~。腕が、尻が痺れる……。しかも昼食が揚げじゃがだけだったので腹減りもヤバい。

宿の主人によると今日の客は私だけのようです。夕食もすぐに用意できるよ、とのことで好意に甘えてすぐ夕食にしました。

美味い~♡

これで1泊2食5900円は素晴らしい!!また泊まりたい宿です。

部屋に戻ると丁度日没でした。

いやはや、中々に疲れた1日でした。途中寄り道はしたものの、基本的には淡々と走り続けるのみ。特に最後の霧立峠は疲れたなぁ。北海道の峠道は交通力が少ない所も多く精神がすり減る道も多いです。

明日からは明るい日本海側を北上します。オロロンルート、楽しみだ!

剱岳早月尾根を日帰りピストン ~永遠の樹林帯と残雪~

2021年7月、待ちに待った梅雨明けをもって夏山シーズンが始まりました。

今年一発目に行くのは北アルプス剱岳(2999m)。週末の天気は土曜快晴で日曜は曇り。剱岳立山室堂から行く別山尾根ルートがメインですが、行程的に1泊は必須。日曜の天気が怪しいので、今回は土曜の日帰りで行ける早月尾根ルートで登ることにしました。

ただ、メインではないルートには難点が付きものでして、、、この早月尾根の難点はとにかく長いこと。標高差は圧巻の2200mで、コースタイムも16時間40分と超ヘビー級です。この標高差も登り返しで稼いでいるわけではなく、標高750mの馬場島から2999mの山頂まで一直線に上がり続けるだけという潔い急登です。(ちなみに有名な難所であるカニのタテバイ/ヨコバイは別山尾根の方)

正直言って日帰りとしてはかなり辛いルートですが、自分の腕試しも兼ねて登ってみることにしました。

 

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馬場島 4時30分

早月小屋 7時30分

剱岳山頂 11時ー11時30分

早月小屋 13時30分

馬場島 15時30分

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午後10時に京都で岡山の友人と合流して富山へ。北陸道をひた走って午前2時着。富山で埼玉からきた友人と合流して、腹ごしらえをしてから水(6L)と食料を買って富山を3時発。富山平野を横断して走ること1時間、午前4時に登山口である馬場島に到着しました。

家から6時間経ってるしほぼ徹夜だし死ぬほど眠い。しかし、今日の行程を考えると仮眠している暇はありません。

わずかに白みだした空を眺めつつ4時15分に出発。周りの車からも続々と出発しています。かなりの難コースですが、流石は天下の剱岳。2~30人くらいはいそうです。

有名な「試練と憧れ」の石碑を拝む。ここから2200m登るのか……若干の絶望感と共に覚悟を決めて山道に歩き出します。

ごく普通の、しかし結構な傾斜の道をひたすら登ります。200mちょい登ると標高1000mの平地に到着。若干の休憩地になっています。ここでヘッドライトは収納。

先は長いのでたいして休憩もせずに出発。ときおり出現する立山杉の巨木を眺めながら黙々と歩きます。

木の根と岩が合わさった急登。詰まらないが歩きやすくはある。

1400m看板を通過。10分休憩。

1600m看板。ここでは5分休憩。

とにかくじわじわ高度を上げていきます。途中で鎖場らしき場所はあるものの、基本的には歩きやすくて単調な道のりです。

そして出発から3時間。遂に早月小屋(標高2200m)が見えてきました!

長かったァ~~~~~!!!とにかく、とにかく長かった……。登山口から標高差1400mの樹林帯を淡々と登って心が無になった。

早月小屋は早月尾根唯一の山小屋です。早月尾根は水場が無いので、貴重な補給地点です。ちなみに私は金払いたくないので下界から6L担いできました。重い。

景色はいよいよ北アルプスらしくなってきました。奥には立山が見えています。

登山口にはあれほど人がいたのに今は10人くらいしかいません。時間的にこの10人が早月尾根日帰りする仲間でしょう。

20分ほどの大休止をして登山を再開。ここから山頂までは標高差800m。手が届くところまで来ました。

森林限界を超えて稜線の岩場が続きます。

まとまった残雪が出始めるあたりで遂に剱岳が見えてきました。近いような遠いような……逆光でよくわからん。

左を見ると小窓尾根の豪快な稜線が見えます。アルプスっぽくていいね!

岩場はありますがまだまだ余裕です。むしろ日差しがキツい。ド快晴で眩しすぎます。

2800mの小ピークで休憩。富山平野からここまでの尾根が一望できます。いや~これを全部歩いてきたのか。感慨深いですね。

そして剱岳山頂も間近に見えています。さぁここからが核心部。剱岳の岩場に挑みます。

さっそく岩場のトラバースが出てきました。

ここは残雪があるので下が見えず怖くない。

が、ちょっと先の場所だと、、、

左手は谷底に一直線です。これは怖い。

特に怖かったのがここです。なんと登山道が完全に垂直の崖になっており、途中にはボルトが1本刺さっているだけなのです。一旦は完全に空中に身を投げ出す形になります。

ここは流石に震えましたねー……というか集中しすぎて記憶がないです笑

そんな恐怖ポイントを抜けるといよいよ最後の登りまでやってきました。

早月尾根最大の難所として知られるカニのハサミに突入します。

が、難なくあっさりと通過。あれー?と思いましたが、どうやら残雪により下が見えず、高度感を全然感じなかったようです。これは拍子抜け。

この辺りから横を見ると前劔や立山が望めます。奥の稜線は穏やかなのに、こっちはものすごく険しくコントラストがすごい。

さぁ、あと少し。平凡な、でも険しい岩場をいくつも越えていくと……

おっ、なんか剣が見える。という事はあれが山頂か!

やったぞ。剱岳登頂!!

やったー!!!この達成感。半端ねぇ!!!

向こうに見える立山北アルプス。美しすぎる!

そして遥か向こうには富士山まで。7月なのにこんなに澄んでていいのか!?

鹿嶋槍・五竜後立山連峰もばっちり見えてます。

しかし何より目を引くのは周囲の尾根の鋭さでしょう。別山尾根の鋭さには絶句。写真中央付近がカニのヨコバイだと思われますが、あんな所歩けるのか……。

興奮が収まったので昼休憩。7月中旬と時期的にはやや早いですが、山頂には20人程度もいます。

とはいえ思ったよりも山頂が広いのでのんびり休憩できました。電波もOK。

名残惜しいですが、徐々に雲が湧いてきたので下山します。11時30分下山開始。

目指すべき馬場島ははるか下です。なんだこれ……長すぎるだろ……。

間違って別山尾根の方に降りると大惨事なのでここの分岐は気を付けます。

富山湾もはっきり見えてて良い。

下りの開始です。どこまでも続くガレ場を慎重に下ります。

難易度は低いのですが、常に高度感を感じます。精神的に疲れる。とにかく慎重あるのみです。

カニのハサミやボルトの崖を越えて、2800mの小ピークまで戻ってきました。ここまで来れば高度感も減るし、鎖場もほぼ無いです。あ~疲れた。

なんて余裕こいてる場合ではない。まだまだ馬場島までは2000mの下りがあるのです。

立山の眺めは相変わらず良いのですが、雲が湧いてきました。雨が心配だな。急がねば。

13時30分。早月小屋に帰ってきました。

完全にガスりましたね。まぁここからはほぼ展望が無いのでどうでもいいです。ちなみに相方はここで水を購入。私は残量1.5Lです。多分大丈夫なはず。

 

20分ほど休憩して出発します。ここからは1400mの樹林帯の下り。朝から8時間も歩いているのにまだ下るの……??嫌だー!嫌すぎるのですが、下るしかないので下ります。

暗い樹林帯をひたすら黙々と下る。だんだんと気温も上がってきてますますしんどさが増してきました。

ノンストップで下り続けて2時間半後。15時30分に馬場島に着きました。

 

これは、、、これはキツかった。本当に長かった。行きの勢いも無く、岩場の緊張感も無くひたすら淡々と歩くのみ。これを楽しめるほど私はまだ成熟していません。

試練と憧れの石碑の向こうには雲に隠れた山々が見えていました。最早疲れすぎて達成感も感じることもなく。ただただ無事に下山できたことに安堵。

馬場島の温泉は午後2時で終了しているので、平野にあるアルプスの湯で汗を流して宿に向かいました。宿では当然のように爆睡。徹夜でこの行程をこなしたのはあまりにも疲れた。

 

翌日は海王丸をちょっと観光してのんびり帰りました。本当に疲れた。

 

剱岳の感想

やはり標高差と長さは圧倒的でした。水場が実質的に早月小屋しかないのも難易度に拍車をかけています。とはいえ、剱岳の圧倒的な高さを存分に体感できるので、その点は別山尾根より優れているのではないでしょうか。特に終盤の岩場は圧巻です。

ただ、やっぱり樹林帯はダルい。12時間の行程のうち6時間程度は樹林帯で、ひたすら展望も無く飽きました。もしかしたら小屋で1泊すると、樹林帯を2日に分けられるので飽きがこないかもしれません。

しかしながら、やはり剱岳は素晴らしい。派手な岩場は登山家の心をくすぐります。是非とも晴れた日に登って、その豪快な姿を目に刻んで欲しいと思います。

 

おわり