転がる五円玉 ~旅と城と山~

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五島列島の謎の小島 赤島に行く

五島列島福江島を訪れた際に午後が暇になったので、福江島近くにある赤島に行ってきました。

 

行きたくなった理由は特にないです。というか、あえて行く理由が無いような島に行ってみたくなったので、行ってみます。

 

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まずやってきたのは福江島フェリーターミナル。

ここは五島列島の各島や博多・佐世保にも船が出ている一大拠点です。

そんなターミナルの片隅から発着するのが赤島経由で黄島に行くフェリーおうしまです。ちょっとしたクルーザーくらいの大きさですね。

このフェリーは14時に福江島を出て30分で赤島に着き、その後黄島まで行って折り返します。赤島での滞在時間は1時間とちょいと短めです。

船内はすごくのんびりした雰囲気。10人くらいは乗っていますね。6月上旬のこの日は結構暑かったのですが、船内は涼しくて良い。

ちなみにチケットはターミナル窓口ではなく船内で買う方式でした。

 

ゴゴゴゴゴという音と共に出航。小船なのでちょっと揺れます。船酔い回避のために寝転がっていると、気が付いたら赤島に着いていました。

うつらうつらしていたせいで到着の写真撮り忘れたが……まぁいいや。

降りたのは私一人の模様。黄島の方が人が多いのかな?

 

赤島港の担当者(?)の方がいまいたが、集落の方に戻ってきました。

唯一の人がいなくなると、船も出航していき私だけが取り残されました。

別段何もないけれど、海は綺麗!紺碧とはこのことですね。

港でしばしまったりしながらこの島のことを調べます。

赤島のデータ

・人口7人

・昔は400人以上いた

・産業は漁業

ふーん。人口7人とは随分と少ない。人口減少率もすごい。こういう時は航空写真で過去と現在を見比べてみると面白いので見比べてみる。

1946年

2014年

なんと、島全体を覆ってた畑が今では完全に森になっています。

これが限界離島か……と調べながら思わずにはいられませんでした。

 

10分ほどで島の概要を把握したのでまずは集落の方に行ってみます。ちなみに帰りのフェリーまで45分くらいしかないのでのんびりしている暇はありません。

少し歩くと周囲に石垣が出てきましたが、おそらくは屋敷の跡ですね。

島に2つある神社のうちの片方を発見。見事なまでの朽ち果て方ですが、しめ縄がしてるので、今でも管理している人がいるのでしょう。

港から3分ほどで人家が出てきました。

家々からテレビやラジオの音が時々聞こえます。突然の来訪者を警戒しているのか、声をかけられたりはしませんでした。

島のメインストリート。石垣が多い特徴的な景観をしています。

島の中央にある赤嶋神社です。こちらは手入れされており、鳥居や参道も綺麗に保たれています。

虫の鳴き声と猫の鳴き声しかせず、とても静か。猫の鳴き声は聞こえるのですが、なぜか姿が見えません。なんでや。

 

メインストリートを更に東へ。石垣の谷間のような道です。ある意味で赤島一の観光スポットかも。

集落を抜けると、港に出ました。

急に空が広がって解放感があります。お茶でも一服しようかと思ったのですが、、、フナムシがめっちゃ多い……

写真には写っていませんが、堤防を歩くと常に50匹くらいがゾゾゾゾと移動しています。

ちょっとこれはキツい。写真だといい景色なのですがね泣

 

集落内にはフナムシはいないのでもうちょっと散歩します。

これは公民館。おそらく島で一番頑丈な建物。ポストがあるけどどうやって集荷しているのかしら。

貯水槽の上に置いてあるサンゴと猫。この猫だけは私を見ても泰然自若としていました。

興味深いのがこちら。なにかと思ったら、雨水を集める装置のようです。

調べてみると、赤島は水道が通っておらず雨水100%で暮らしているらしいのです。これは驚きました。まさか現代でそのような島があるとは!

この辺りのインフラ事情も人口減少の一因なのでしょう。五島市の懐事情からしても、今後水道が引かれることはないのではないか……と思われます。

 

立派な石垣と廃屋。この島は石垣が多くて沖縄の離島を彷彿とさせます。

地形図を見ると集落のすぐ近くに池があるようなので行ってみます。

が、池までの道がご覧の通りの有様。メインストリートから10mくらいしか離れてないのですが、完全に廃道です。

こちらがその池。昔は住民が利用していたとおぼしき雰囲気。

もうちょっと奥に行ってみるか……と思い一歩進んだ所、目の前の地面が横にズレました。

ん??地面がなぜ動く?と思いよく見ると……。

 

地面一面を覆うフナムシの大群!!!!!

 

それがゴキブリ並みの速さで横に動いていたのです。あまりの光景に声も出せず回れ右しました……。これはひどい。ちょっと思い出したくない光景ですね。

 

萎えたので港に戻ります。

帰りの船まで10分くらいあるので港を散歩。

やっぱり海は綺麗ですね。透明度がすごいや。港には奥に見える沈船以外に人工物が殆どなく、シンプルな美しさを感じます。

そうこうしているうちに帰りの船がやってきました。

乗船は私1人のみ。乗客は5人くらいです。

船の製造は1996年と割と古い。しかも近年は機関の老朽化によって所要時間が増しているようです。新船、導入できるのかな……。

行きと同じように30分乗って福江島に帰ってきました。いやはや、福江はビルもあるしデカい船もいるし都会だ。

 

という訳で滞在1時間のプチ離島旅行でした。

事前情報無しに訪れた割には楽しめたと思います。石垣の雰囲気は独特だし、港の水も綺麗でとても落ち着く。ただし、食堂はおろか自販機も一切無いので、その点は注意。

でも敢えて訪れる意味はなんにもないです。本当に暇になったらいかがでしょうか。

 

おわり

GW沖縄・八重山旅行その8 ~マイペースを求めるなら黒島に行こう~

GWも残り2日。

明日の午後に福岡に戻るのですが、今回の旅行の主目的である与那国島波照間島はもう行ってるので、特にやることがない。

 

とはいえ宿でグダグダするだけでは勿体ないのも事実なので、今日は黒島という離島に行くことにしました。

黒島は西表島石垣島の間にある島。でも、竹富島小浜島のように特徴的な風景が無いせいか「なんにもない」とよく言われています。

そういう所って普通の土日みたいな過密スケジュール時だと絶対に訪れないんですよね。普段だったらせいぜい

「なんか2時間余ったな!そうだ、ドンキに行って石垣島っぽい商品でもないか探そう!」

とかになるのが関の山。それはそれで面白そうではある。

 

まぁ……でもね、やること無い日になにもない島に行く。ええやん。これぞ休暇。

 

という訳でいつもの離島ターミナルから八重山観光フェリーで黒島へ。黒島は旅客需要が少ないので、1日に3便(朝・昼・夕)しか運航していません。今回は朝の便で行って昼の便で戻ります。

GWだというのに黒島行きの乗客は10人くらい。ターミナルは相変わらず大賑わいなのになんたる少なさ。大ターミナル駅から発着するローカル線感が漂っていていいですね。

 

30分ほどの航海で黒島に着きました。平べったく山はなさそうです。

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案の定人がいない。鳩間島を思い出すほど静かです。

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でも流石にレンタサイクルくらいあるだろ、と思ったらやはりありました。送迎の車に乗って店舗へ。

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ムワワッ!!!

うっ、薄曇りだけど日光のせいで車内が暑い……。与那国まではドン曇りだったのに、波照間以降晴れっぱなし。30℃はゆうに超えるし連日これは結構辛いぞ。

レンタサイクルを調達。1時間300円、1日1200円とのこと。

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黒島は一周約9㎞の島。普通に走れば1時間もあれば十分です。まずは島の中心に行ってみます。

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うおお……何もねぇー!

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すごい。本当に何もない。さとうきび畑が広がる他の島と違って、牧草地が広がるので何も無さが際立ちます。北海道みたいだな。

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旅行好き、広大な景色を見ると取り合えず「北海道みたいだな」と言いがち問題。でも実際似てるんだよなぁ。根室半島とかこんな感じだった。

 

島の中心部にある黒島展望台に到着。

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島の東側。なにもない。

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島の西側。こちらもなにもない。

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見事に何もないですね。牧場と牛がいるのは分かる。

 

展望台を降りて集落へ。

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黒島には集落が2つあって、こちらは中心となる東筋集落です。

とは言っても50軒程度の家しかなく通りは静まり返っています。波照間島よりも静かかもしれない……。

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通りには小学生の目標を書いた看板があちらこちらにあります。こうやって道路で表明すると宿題がんばるしか無くて大変そうである。

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集落には特になにもないので、島の北側にある伊古桟橋という場所に向かいます。

途中で牛と遭遇。ここの牛はツノを切っていませんね。ツノがあると牛どうしで傷つけあっちゃうので普通は切るのですが、ここはストレスが少ないのでそういう事が必要無いのかもしれません。

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海岸沿いの森を駆け抜けると……

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桟橋に着きました。

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看板もなにもないので先端まで自転車で走ります!めっちゃ気持ちいい。

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桟橋を自由に走り回ることなんてそうそうないので新鮮です。見ての通り柵も何もないのでちょっと怖いけど。

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干潮なので水深30㎝くらいしかなさそう。

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こういう桟橋に腰かけて海を眺めるのも乙です。離島の素晴らしさを再認識する良スポット。

ずっといてもいいのですが、日陰が無いので5分くらいで退散しました。

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桟橋を出て島一周サイクリングを再開。途中の牧草地では一本木の下で牛が寝てました。ナミビアのサバンナを思い出す光景。

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↓ これはナミビアのサバンナ

 

島の最南端に到着。

黒島灯台があります。ごく普通の円筒型。

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灯台から10分くらい反時計回りに島を移動すると、仲本海岸というビーチに出ます。

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ビーチと言っても岩だらけだし、人も少なそうで事故が心配だな……。八重山にある多くの素晴らしいビーチを差し置いてここに来る理由はない。

 

既に島の4分の3は移動したのですが、観光地らしき所が桟橋しかないぞ!?

と、思い地図を見ると近くに黒島研究所というなにやら面白そうなところがあります。船まで2時間はあるし行ってみるしかない。

チャリを漕ぐとすぐに見つかりました。

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なんだか公民館を改造したみたいな雰囲気ですな。

でも、キッチンカーがいたりして今までで一番観光地感があります。期待できそう。

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入館料500円を払って中へ。

 

おお、結構すごいぞ。これは。

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黒島の民族道具?や生物の骨格標本などが無数に展示されています。

特に興味深かったのがこちら。

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2007年に打ち上げられたH2-Aロケットの先端部です。巨大構造物の一部ってちょっと興奮しますよね。宇宙から海に落ちて黒島に流れ着いたかと思うと胸熱です。

 

別の展示室では生き物が展示されています。

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子ウミガメ。黒島研究所はウミガメに関する研究を主幹業務としており、このようなウミガメの保護もしているようです。

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このフクロウも怪我をしていて保護したのだそう。フクロウは臆病なので穴から覗きます。

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外の水槽では普通にサメが泳いでる。

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黒島研究所・・・・・・結構楽しいじゃない!!生き物は動きが予想できなくてシンプルな面白さがある。」

海や山の美しい風景もいいけど、もっと自然と触れ合うアクティビティもしてみたいな。

 

そろそろ船まで1時間切ったので研究所を出ます。

近くには史跡・番所跡がありますが、特に何かある訳ではない。

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レンタサイクルを返却しに行きます。青空と真っすぐな道が美しい!

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レンタサイクルを返して、送迎の車で港へ。人影も少なく極限にのんびりしてますね。大賑わいの石垣島とは何もかも違いすぎる。最高ですわ。

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それでも出航時刻になると10人ほどの乗客が集まりました。みんな島のどこにいたのだろうか。

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黒島ですが、レンタサイクルで3時間もあれば十分に周れるし、伊古桟橋と黒島研究所はそこらの観光地と張り合えるほど良い所です。どこに行っても人が少なくマイペースにのんびり観光できます。

ただ、サトウキビ畑のような「いかにも沖縄!」という感じの景色はほぼありませんし、船の便が少ないことも事実。静かな離島を堪能できる玄人向きの島でした。

 

ボケーっと船に乗ってると石垣島に到着。うーん、人が多い!

道端にある良さげなカフェで昼食。料理の質といい内装の凝り具合といい東京と張り合えますね。やっぱり石垣島は都会だ。

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レンタカーで宿に戻ると、まだ午後も早いのですが流石に連日の疲れが出たのか全員ダウン。クーラーの効いた部屋でゴロゴロしたり、近くを散歩したりしました。

 

夜は市街地に出て居酒屋で乾杯。旅行最後の夜なので、マグロをたらふく食べる。

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うめ~~~。いうこと無し。赤身が特に良いな。

よっしゃ、酒も飲んだし夜遊びじゃい!!……なんてことにはならず、素直に宿に戻って寝ました。いや、本当に疲れてるのですよ。マジで……。

 

つづく