屋久島・宮之浦岳縦走① 10月下旬の濃霧を進む
屋久島・宮之浦岳
- 9時30分 淀川登山口
- 10時5分 淀川小屋
- 11時20分 花之江河
- 13時20分 宮之浦岳(14時出発)
- 15時30分 新高塚小屋
- 16時30分 高塚小屋
2019年10月20日
高塚小屋に小屋泊
登山口への交通手段
フェリーはいびすかすで午前7時に屋久島に到着。完全に曇りですが、気を取り直してまずは淀川登山口に向かいます。宮之浦港~淀川登山口の移動で私たちが取れる手段は2つあるので比較してみましょう。
①バス
- 港8時40分発~紀元杉10時25分着 1810円
- 紀元杉は淀川登山口の2kmほど手前だが、バスはそこまでしか行かない。登り初めは11時過ぎか。
②タクシー
- 宮之浦港~淀川登山口 約1時間 2700円(1台10800円で4人乗車)
- 午前8時に出るなら9時すぎには登り始められる。
値段的にはバスに軍配が上がりますが、登山口の到着時間が圧倒的に早いので今回はタクシーを選択しました。ただ、初日はほとんど移動せず淀川小屋に泊まるならバスもアリだと思います。
なお、屋久島はタクシーの台数が限られているため、事前予約はほぼ必須です。私たちは1ヶ月前に「屋久島観光センターに朝8時で、淀川登山口まで」と予約しておきました。
ちなみに、宮之浦港ではなく屋久島観光センターにしたのは、屋久島観光センターにロッカーがあるためです。下山後用のズボンなどをロッカーに詰めてタクシーを待機。
そして、時間通りにやってきました。普通のセダンですが、男4人とザックを余裕で収納して淀川登山口へいざ出発。
安房という集落までは島の外周を回る普通の道路ですが、安房から島の中央に入ると様相が一変しました。
急峻で山深い森林が広がります。海沿いの道からわずか15分でこの景色は凄まじい。しかもこれでも屋久島の端っこも端っこという。いやはや、初っぱなから圧倒されています。今まで来た島とは違う!!
道路はガンガン標高を上げていき、雲の中に突入。濃い霧の中進んでいきます。
運転手によると、屋久島の山は広いから曇っていても、場所によっては晴れていることも多いとのこと。正直言って私の経験的にここまでガスると晴れる可能性は皆無だと思うのですが・・・・・・。まぁ晴れようが雨が降ろうが屋久島に来た以上は進むのみです。
9時15分にバスの終点でもある紀元杉の辺りまで来ました。杉自体は駐車場のすぐ近くにあって5分くらいで見学できるらしいので、折角だし寄ってみます。
確かに駐車場からも圧倒的な大きさの杉が見えています。さて、初めての屋久杉との邂逅。どのような感じかな?
デ、デカい・・・・・・。一つの木であるのに幹や枝葉が複雑で、大変独特なビジュアルをしています。もちろん、幹周:8.1m、樹高:19.5m、樹齢:推定3,000年という数値的にも群を抜いた大木であることは分かるのですが、見た目から醸し出される存在感もデカい。
いやはや大変に立派です。淀川登山口まで来るなら是非とも見るべきです。
さて、9時25分に淀川登山口に到着しました。天候は曇り。雨を回避できたのは嬉しい。
流石に天下の世界自然遺産だけあって案内板も立派ですね。
トイレなどを済ませて9時30分に出発!
初めは緩いアップダウンのある樹林帯の道です。
既にもう他の山とは違う雰囲気。とにかく緑が濃い!地面が全て苔や植物に覆われているのです。
写真だと一部しか見えませんが、辺り一面こんな感じ。これはかなり凄い……。ただ、湿気が濃厚なので木道が滑るのが厄介ではあります。
10時5分に淀川小屋に到着。登山口からたった30分の距離ですが、ここで一泊目をする人もいるようです。
小屋の裏手に流れる小川が大変に綺麗。水が豊富な土地なので澱んでもいないようです。一応確認したら水場扱いなのでカブ飲み。うんめぇ〜^^
3分ほどの休憩で出発。引き続き樹林帯を進みます。
所々で見かける茶色くスベスベした木はヒメシャラという木です。屋久島固有種かと思いきや、本州・四国・九州の太平洋側に生息しているらしい。
11時10分に小花之江河到着。
小さな湿原で視界も若干開けます。
小花之江河から湿っぽい土地を数分進むと、
11時20分に花之江河に到着。西からの栗生歩道や東からの花之江河歩道が合流するジャンクションです。
大きな岩が特徴の黒味岳が見えています。そういえばいつの間にかガスが晴れて遠くまで見えていますね。これは晴れるか!?いやそんな事はないか~www
ちなみに淀川小屋からのCTは110分ですが、今回は80分掛かっています。CT7割強というのは私にしては遅いペース。特にゆっくりしたつもりは無かったのですが……。
やや焦り気味の中で小休止をして出発。再び樹林帯です。途中にはロープがある岩場が点在するものの、岩自体が滑りにくいため楽々通過。
再びガスってきました。岩の上を水が流れています。本当に水が多い土地だ。
12時に投石平に到着。見ての通り大きな花崗岩が点在するエリアです。休憩にはぴったり。というか湿原の花之江河より休憩しやすい。
で、ここで休憩しているとガスが次第に流れていき……、
晴れた!!?!?
ママママ、マジかよ。これはかなりビックリ。湿気たっぷりのガスに覆われていたのに一瞬で晴れました。
タクシーの運転手が言っていた事は本当だった……!やはり地元民の言うことは信用できる。ちなみにこの時の麓は大雨だったので、本当に山の上だけが晴れた模様です。
腰を抜かすほどびっくりしながら宮之浦岳に向けて進みます。
いつの間にか樹林帯を抜けてヤクシマダケが卓越する高山帯らしい風景になってきました。
多分、真ん中に見える小高いピークが宮之浦岳なはず。
いくつかのピークを巻きながら北へ進みます。下の写真は安房岳のあたり。
屋久島の凄い点は、頂上付近の尾根なのに水場が点在している事です。普通の山なら乾燥する所にも水が流れていたりします。
いやはや、しかし晴れると本当に楽しい!樹林帯はガスってもいいのですが、稜線はこうでないと。
緩いアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げていき、いよいよ山頂直下に。
そして13時20分。宮之浦岳到着!
豪快な永田岳の姿が良い!ササに覆われつつも岩がゴツゴツはみ出していて大迫力です。
その永田岳の向こうにはかすかに口永良部島が見えています。全体的に西が曇って東が晴れている模様。
後ろを振り返ると歩いて行きた稜線を一望できます。右奥の雲に隠れそうなのが黒味岳、中央が筑紫岳でその左が安房岳と1826mピークです。
いや~~しかし、本当に奇跡的に晴れました。全く期待していなかっただけあって強烈に嬉しい。風も穏やかで、地上から隔絶された雲上の楽園という言葉がぴったりです。
ちなみに、山頂自体はそこまで広くありませんが、山深いのと午後も遅い時間帯なので私たち含めて10人くらいしかいませんでした。
30分ほど昼食休憩。すると東側から雲がモクモクと上がってきました。そろそろ出発するか……。
これから行く道は既に雲に呑まれています。まぁ、下山時に晴れを求めるのは贅沢というものです。
14時に出発。
宮之浦岳は稜線の一番北に位置しているので初めは急斜面を下ります。
14時15分に焼野三叉路に到着。ここから左に行くと永田岳、右に行くと縄文杉です。私たちは右へ。
じきにガスに呑まれました。
ここから先はガスの樹林帯を淡々と進みます。展望台などありましたが当然ガスっているのでスルー。
15時30分に新高塚小屋に到着。雨は降らずとも湿気はほぼ100%に近い状況です。
新高塚小屋を覗いてみると……うん!足の踏み場もねぇwwwww!!まぁもう15時半ですもんね。普通なら行動をとっくに終えている状況です。
ちょっと厳しいので1時間くらい先にある高津小屋に向かいます。地図によると高塚小屋付近に水場はないようなので、ここで補給。
新高塚小屋を15時40分に出発して、16時30分に高塚小屋到着。CT8割です。どうにも屋久島はCTを巻けない歩行が続きます。本当は16時頃に到着する予定だったのですが……。
さて、小屋の中を覗くと……所定の場所は全部埋まっているが隙間はある感じ。頭を下げつつマットを敷いてなんとか寝床を確保しました。
今回は即位礼正殿の儀に合わせた飛び石連休なのでそこまで大混雑でもないはず。それで満員とは……屋久島恐るべし!こうなるとテントもアリだったかもしれないですね。
夕食を食べつつ適当にダベって夜6時。既に陽は落ちて辺りは真っ暗です。周囲も寝始めたので我々も就寝……したのですが、このあと高塚小屋は予想だにしなかったカオスへと叩き落されたのであった……!
つづく
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ナミビア でレンタカー旅行 その16 ~恐竜の足跡・コエロフィシスとケトラサウルスを思い描く~
スワコップムントを出てから丸2日でオウチョまで着いた訳ですが、実は当所の予定では丸3日かけるつもりだったのです。
この日に泊まる宿は既に予約済みなので、オウチョ周辺で1日時間を潰さねばならない。と、いう事で地図を広げて観光地を探します。
すると見つけたのが「Dinosaur Tracks」。訳すと「恐竜の足跡」。オウチョからは国道を経由すると150km程度なので、2時間もあれば余裕でいけるはずです。これは行くしかない。ネットに情報が殆ど無いのが不安ではありますが・・・・・・地図にあるし大丈夫でしょう。
すっかり雨が上がって穏やかに晴れたキャンプ場を出発。舗装された国道をガンガン進みます。
「ダイナソートラック」へ向かう分岐には立派な看板もあります。もしかして有名観光地だったり!?
幹線道路を外れたのでダートになりました。
すると、やや前方を黒い塊が何羽も通り過ぎていきました。ダチョウを小さくしたようなシルエットはホロホロ鳥ですね。見た目通りあまり飛べない鳥ですが、走る姿は中々俊敏です。流石はサバンナで生き残っているだけある。とっさに撮影できたのは3羽だけでした。
ちなみに家畜化されているので日本でも食べることはできます。
ところで、この辺りの道の脇にはいくつもの巨大な土の塔が立っています。幹線道路沿いにもあるのですが車を停めると危険だったので、脇道に入った今ゆっくりと撮影してみます。
でけぇ!!遠目では分かりにくかったのですが、近くで見ると人の背丈以上は余裕であります。しかも堅い。ちょっと蹴ったくらいではビクともしません。岩の柱のように直立しています。表面をひっかいたらボロボロ崩れそうですが、全くそんなことありません。重機を使わないと倒すのは不可能だと思います。
これはシロアリが作った蟻塚です。正直言って地面に蟻塚がボコボコ立っている光景は奇妙で不気味ではありますが、ナミビアの面白い自然の一つですね。
そんな道を走ること20分くらいで、とある牧場(正確にはOtjihaenamapareroというらしい)の前に着きました。ゲートは閉まっていますが、入場料が書かれた看板があるので間違いないはず。
しばらく門の前をウロウロしていると、牧場主とおぼしき白人の爺さんが出てきて門を開けてくれました。入場料もしっかり徴収されます。
説明板なんかを見る限りは国が管理していそうなのですが、まさか個人の敷地だったとは。まぁ日本でも古墳が個人宅にあったりするので似たようなものでしょう。
「This way・・・・・・(こっちだ)」と呟きながら草むらをズンズン進んでいく爺さんに付いていくと、茶色い岩盤が目の前に現れました。
爺さん曰く「白い岩のあたりに足跡がある。別の場所にもある」とのこと。それだけ告げると爺さんは家に戻ってしまいました。全部案内してくれる訳じゃないんかーい。ちなみに、「白い岩」は上の写真右上に写っています。
で、その岩のあたりを探すこと5分小さな窪みが連続して並んでいる箇所を見つけました。
むむむ、これがもしや恐竜の足跡!?
5cm程度なので随分と小さいですが、形的に間違いなさそうです。
この足跡はコエロフェシス・ローデシエンシスという小型恐竜の足跡です。この恐竜は全長3mながらも高さはヒトの腰程度しかなく、長い首と尻尾を持っていたようです。
ちなみに、「ローデシエンシス」とはジンバブエの旧名であるローデシアにちなみます。ジンバブエや南アフリカからも化石が発掘されています。
2億年前の生き物の足跡を眺めているのは大変不思議な気分です。私が普段見ている歴史的な場所はせいぜい1000年前くらいなのですが、2億年前は格が違いますね。
こういう化石は生痕化石と呼ばれます。巣穴や卵も生痕化石の一つ。生き物そのものではないですが、生態を知る上でとても重要な指標になるようです。
さて、20分ほど観察してから、もう一つあるという化石に向かいます。岩に書かれた矢印に従って進むと、別の岩盤に出ました。
看板などが無いので探し迷うこと10分。やっと見つけました。
うおおお!こっちはデカい!!
30cmくらいは余裕であります。しかも足跡が深い。
この足跡の主はケラトサウルスです。一般的にイメージされる肉食恐竜的なビジュアルをしており、全長は7mで頭の高さも2mを超えていたようです。先ほどのコエロフィシスよりはるかに巨大なのです。
ちなみに、これらの化石はジュラ紀のもので、ティラノサウルスらが生息していた白亜紀より1億年程度古い時代です。
まぁ、そういう理屈は抜きにしても、2億年近く前にまさにこの地を恐竜が駆け抜け、そこに自分が立っているというだけで十分素晴らしいのです。
30分ほど撮影したら満足したので撤収。
いや~良かった!!日本人の旅ブログなどでは殆ど紹介されていないマイナースポットですが、恐竜の足跡をここまでクッキリ見られるのは興奮します。素晴らしい所でした。
と、言うわけで大満足のダイナソートラックでしたが、気温40℃の炎天下で写真を撮り続けてもう限界です。
そこで、昼飯はちょっと贅沢をして帰り道の途中にあるクロコダイル・レストランという所にします。
食べたのがこちらのクロコダイルのカレー煮。普通に美味い。一人80NAD(640円)。
ついでにオチワロンゴ観光・・・・・・とは言っても駅に行ってみるだけです。
構内は意外と広い感じ。旅客列車が運行されているかは定かではありません。ちなみに線路幅は日本と同じ1067mmです。
駅前にはレトロな蒸気機関車が保存されています。
銘板から読み取るに、ドイツのヘンシェル社hd型機関車・・・・・・らしい。情報がなさ過ぎて曖昧です。GoogleMapにもありません。
アメリカのダイナミックな機関車や日本のD51と比べても小さめです。でも、小さい機関車が青空の下シュッポシュッポ走る姿は絵になったことでしょう。
さて、本日の観光はこれで終えたのでオウチョの宿へ直行し、15時には着きました。宿でゴロゴロ~と思いきや、なんとクーラー無し!!しかも屋根がトタンなので部屋の中は灼熱です。結局部屋の外でグダグダすることに。
そうしていると、古めのカローラに乗った5人の日本人旅行者がやってきました。まさか、ここで日本人と会えるなんて嬉しい!情報交換がてら話を聞くと、朝に首都のウィントフックでレンタカーを借りてここまで来たらしい。そして、明日はエトーシャ国立公園を抜けて、北西にあるヒンバ族で有名なオプウォまで行くようです(なお、私たちは民族に興味が無いのでオプウォはパス)。
むむむ?距離にして800kmもあるのですが大丈夫でしょうか?しかも、5人乗りのカローラに5人乗っており、さらに運転手は1人だけのようです(私たちは300kmの移動で、5人乗りSUVに3人乗り、で運転手は3人)。
無謀、というほどではないにせよかなり無茶な行程です。ナミビアのダートは時速60kmくらいしか出ないので、800kmも走るのはやめておいた方がいいと忠告しましたが、時間が無いからこの行程で行く、とのことでした。
ちょっとモヤモヤしながらも20時を回ったので部屋に戻り就寝。まぁ、彼らも大人の旅行者です。何かあっても自分のケツは自分で拭くでしょう。ここはサバンナ。自分の身は自分で守らねばならぬ・・・・・・。
つづく
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