転がる五円玉 ~旅と城と山~

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ナミビア でレンタカー旅行 その16 ~恐竜の足跡・コエロフィシスとケトラサウルスを思い描く~

スワコップムントを出てから丸2日でオウチョまで着いた訳ですが、実は当所の予定では丸3日かけるつもりだったのです。

この日に泊まる宿は既に予約済みなので、オウチョ周辺で1日時間を潰さねばならない。と、いう事で地図を広げて観光地を探します。

 

すると見つけたのが「Dinosaur Tracks」。訳すと「恐竜の足跡」。オウチョからは国道を経由すると150km程度なので、2時間もあれば余裕でいけるはずです。これは行くしかない。ネットに情報が殆ど無いのが不安ではありますが・・・・・・地図にあるし大丈夫でしょう。

 

すっかり雨が上がって穏やかに晴れたキャンプ場を出発。舗装された国道をガンガン進みます。

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ダイナソートラック」へ向かう分岐には立派な看板もあります。もしかして有名観光地だったり!?
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幹線道路を外れたのでダートになりました。

すると、やや前方を黒い塊が何羽も通り過ぎていきました。ダチョウを小さくしたようなシルエットはホロホロ鳥ですね。見た目通りあまり飛べない鳥ですが、走る姿は中々俊敏です。流石はサバンナで生き残っているだけある。とっさに撮影できたのは3羽だけでした。
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ちなみに家畜化されているので日本でも食べることはできます。

ところで、この辺りの道の脇にはいくつもの巨大な土の塔が立っています。幹線道路沿いにもあるのですが車を停めると危険だったので、脇道に入った今ゆっくりと撮影してみます。
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でけぇ!!遠目では分かりにくかったのですが、近くで見ると人の背丈以上は余裕であります。しかも堅い。ちょっと蹴ったくらいではビクともしません。岩の柱のように直立しています。表面をひっかいたらボロボロ崩れそうですが、全くそんなことありません。重機を使わないと倒すのは不可能だと思います。

これはシロアリが作った蟻塚です。正直言って地面に蟻塚がボコボコ立っている光景は奇妙で不気味ではありますが、ナミビアの面白い自然の一つですね。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

そんな道を走ること20分くらいで、とある牧場(正確にはOtjihaenamapareroというらしい)の前に着きました。ゲートは閉まっていますが、入場料が書かれた看板があるので間違いないはず。
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しばらく門の前をウロウロしていると、牧場主とおぼしき白人の爺さんが出てきて門を開けてくれました。入場料もしっかり徴収されます。

説明板なんかを見る限りは国が管理していそうなのですが、まさか個人の敷地だったとは。まぁ日本でも古墳が個人宅にあったりするので似たようなものでしょう。
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「This way・・・・・・(こっちだ)」と呟きながら草むらをズンズン進んでいく爺さんに付いていくと、茶色い岩盤が目の前に現れました。
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爺さん曰く「白い岩のあたりに足跡がある。別の場所にもある」とのこと。それだけ告げると爺さんは家に戻ってしまいました。全部案内してくれる訳じゃないんかーい。ちなみに、「白い岩」は上の写真右上に写っています。

 

で、その岩のあたりを探すこと5分小さな窪みが連続して並んでいる箇所を見つけました。
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むむむ、これがもしや恐竜の足跡!?
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5cm程度なので随分と小さいですが、形的に間違いなさそうです。

この足跡はコエロフェシス・ローデシエンシスという小型恐竜の足跡です。この恐竜は全長3mながらも高さはヒトの腰程度しかなく、長い首と尻尾を持っていたようです。

ja.wikipedia.org

ちなみに、「ローデシエンシス」とはジンバブエの旧名であるローデシアにちなみます。ジンバブエや南アフリカからも化石が発掘されています。

2億年前の生き物の足跡を眺めているのは大変不思議な気分です。私が普段見ている歴史的な場所はせいぜい1000年前くらいなのですが、2億年前は格が違いますね。
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こういう化石は生痕化石と呼ばれます。巣穴や卵も生痕化石の一つ。生き物そのものではないですが、生態を知る上でとても重要な指標になるようです。

 

さて、20分ほど観察してから、もう一つあるという化石に向かいます。岩に書かれた矢印に従って進むと、別の岩盤に出ました。
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看板などが無いので探し迷うこと10分。やっと見つけました。
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うおおお!こっちはデカい!!
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30cmくらいは余裕であります。しかも足跡が深い。

この足跡の主はケラトサウルスです。一般的にイメージされる肉食恐竜的なビジュアルをしており、全長は7mで頭の高さも2mを超えていたようです。先ほどのコエロフィシスよりはるかに巨大なのです。

ja.wikipedia.org

ちなみに、これらの化石はジュラ紀のもので、ティラノサウルスらが生息していた白亜紀より1億年程度古い時代です。
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まぁ、そういう理屈は抜きにしても、2億年近く前にまさにこの地を恐竜が駆け抜け、そこに自分が立っているというだけで十分素晴らしいのです。
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30分ほど撮影したら満足したので撤収。

いや~良かった!!日本人の旅ブログなどでは殆ど紹介されていないマイナースポットですが、恐竜の足跡をここまでクッキリ見られるのは興奮します。素晴らしい所でした。

 

と、言うわけで大満足のダイナソートラックでしたが、気温40℃の炎天下で写真を撮り続けてもう限界です。

そこで、昼飯はちょっと贅沢をして帰り道の途中にあるクロコダイル・レストランという所にします。
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食べたのがこちらのクロコダイルのカレー煮。普通に美味い。一人80NAD(640円)。
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ついでにオチワロンゴ観光・・・・・・とは言っても駅に行ってみるだけです。
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構内は意外と広い感じ。旅客列車が運行されているかは定かではありません。ちなみに線路幅は日本と同じ1067mmです。
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駅前にはレトロな蒸気機関車が保存されています。
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銘板から読み取るに、ドイツのヘンシェル社hd型機関車・・・・・・らしい。情報がなさ過ぎて曖昧です。GoogleMapにもありません。
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アメリカのダイナミックな機関車や日本のD51と比べても小さめです。でも、小さい機関車が青空の下シュッポシュッポ走る姿は絵になったことでしょう。

 

 さて、本日の観光はこれで終えたのでオウチョの宿へ直行し、15時には着きました。宿でゴロゴロ~と思いきや、なんとクーラー無し!!しかも屋根がトタンなので部屋の中は灼熱です。結局部屋の外でグダグダすることに。

 

 そうしていると、古めのカローラに乗った5人の日本人旅行者がやってきました。まさか、ここで日本人と会えるなんて嬉しい!情報交換がてら話を聞くと、朝に首都のウィントフックでレンタカーを借りてここまで来たらしい。そして、明日はエトーシャ国立公園を抜けて、北西にあるヒンバ族で有名なオプウォまで行くようです(なお、私たちは民族に興味が無いのでオプウォはパス)。

 むむむ?距離にして800kmもあるのですが大丈夫でしょうか?しかも、5人乗りのカローラに5人乗っており、さらに運転手は1人だけのようです(私たちは300kmの移動で、5人乗りSUVに3人乗り、で運転手は3人)。

 無謀、というほどではないにせよかなり無茶な行程です。ナミビアのダートは時速60kmくらいしか出ないので、800kmも走るのはやめておいた方がいいと忠告しましたが、時間が無いからこの行程で行く、とのことでした。

 ちょっとモヤモヤしながらも20時を回ったので部屋に戻り就寝。まぁ、彼らも大人の旅行者です。何かあっても自分のケツは自分で拭くでしょう。ここはサバンナ。自分の身は自分で守らねばならぬ・・・・・・。

 

つづく

 

 

harimayatokubei.hatenablog.com

 

本日の行程