小笠原旅行 その2 ~母島最南端・南崎 小富士へ~
宿の送迎バンに乗って元地にある宿に向かいます。人通りも少なくのんびりした雰囲気。
ごくごく普通の集落の道を通って宿に到着。既に15時になろうかという時刻ですが、7月なのでまだまだ日は高い。荷物を置いて観光に出ます。
民宿前から母島の集落を眺めると、アパートもあるし普通の田舎って感じですね。人口300人の孤島とは思えません。
道の舗装や街灯もしっかり整備されています。流石は東京都。
島のメインストリートを歩くと海が見えてきました。
集落の目の前には前浜というビーチがあります。桟橋はあるけれど今は使っていない様子。ちなみに右奥の船がははじま丸です。
ははじま丸の横を通って更に奥へ。実はこっちにも30戸ほどありちょっとした集落になっています。
で、その集落にあるアンナビーチ母島ユースホステルで原付を借ります。24時間4000円。離島でよくある燃料費込みかと思いきや、集落の奥に佐藤燃料店というガソリンスタンドがあるので満タンで返してくださいとのこと。ふーん。
という訳で50ccの原付を調達しました。これで移動には不自由しないでしょう。
現在時刻は15時。ちょっと迷いましたが、母島最南端である南崎まで行ってみることにしました。森の中を徒歩で向かうようですが、ヘッドライトもあるので大丈夫なはず……。
原付を飛ばして15分後、あっさり都道の終点に到着。
地味ですが都道最南端の地です。実は鹿児島県の最南端より南にあるそう。改めて東京都の広さを痛感しますね。
さて、南崎までは2㎞程度。起伏はあまり無さそうなので、片道45分と予想します。17時半までに帰ってこれれば上出来ですね。
という訳で南崎アタックの開始。
いざ出発!と思ったのですが、遊歩道の入口には靴底ブラシが置いてありました。
看板によると、靴底に張り付いた虫の卵や植物の種子を取り除く目的だそう。
「なんだかしょぼそう。効果あるの?」と思いがちですが、これが意外と効果があるんです(大学の授業で習った)。
しっかりと靴底を擦って木酢液を噴霧していざ出発。
お~、かなり歩きやすい道ですね。離島の遊歩道は荒れていることが多いのですが、ここはかなりしっかりしています。
それに5分ほど歩いて思ったのですが、森が本州とは全然違います。鬱蒼としておらず、なんだかあっけらかんとした雰囲気なのです。
生えている木も当然見慣れないものが多い。幹が何本も枝分かれしてタコのように見えるこの木はタコノキ(小笠原固有種)です。普段見ている木とは全く違うのでなんだか異世界に来たかのような感じ。
15分ほど歩いたら東屋がある広場に出ました。
ここはすり鉢と呼ばれ、戦前は子供たちがソリで滑って遊んでいたそうな。この通り母島南部の土壌は赤茶けており、決して肥沃とは言えません。木がせいぜい5mくらいの高さしかないのもそのせいでしょう。
ちなみにここにもブラシと木酢液が置いてあります。
3分ほど休憩して出発。既に半分は過ぎたようですし、意外と余裕ですね~。
途中で葉の裏が紫色の植物を見つけました。異様な姿で一見固有種っぽいですが、これは明治時代に移入したムラサキオモトという外来種です。
小笠原と外来種は切っても切り離せません。この後もしょっちゅうこの話は出てきます。
その後も南国ムードのある道をサクサク歩いていきます。景色が新鮮なので歩いていてとにかく楽しい!テンションも上がります。
歩き始めて30分後、南崎と小富士の分岐点に着きました。ちょっと一息つきます。
どちらもそう遠くはないし時間にも余裕があるので、まずは小富士に向かいます。
小富士という名前なので当然ちょっと登るのですが……これが結構きつい。
はしごまで出てきました。この傾斜は結構急です。ここまでがゆるゆるだったので辛い!
まぁ、でも所詮は標高差90m程度です。5分ほど登って山頂に到着しました。
うーん、おお、うお~……。これは凄い。山頂から眼下には紺碧の太平洋と母島の南に点在する島々の大パノラマが広がります。
あの島々の先には何もない太平洋が広がるのみ……。そう考えるとなんだか遠くまで来たことを痛感します。あの先の島々にも行ってみたいですが、その技を持たないので無理です。ちょっと悔しい。
反対には母島の森が広がります。後方に見える一番高い山は乳房山(標高463m)。。離島にしては結構な高さです(実は千葉県最高峰より高い)。
ちなみにここまでの遊歩道は電波がありませんでしたが、ここだけ入りました。
太平洋を眺めながら15分ほど休憩して下山開始です。
5分ほどでさっきの分岐に戻ってきました。今度は南崎に行きます。
と、ここでヤドカリを発見。周りをよくよく見ると結構いますね。1匹くらい踏んでてもおかしくないくらいにはいます。でも注意して分かるほど大きくはないんですよね。
分岐からほんの2分程度で南崎に到着しました。岩がゴツゴツしたビーチです。左に見えているのがさっき登った小富士。
どうやらサンゴ礁が発達しておりシュノーケルに適しているようですが、今は道具を持っていないので眺めるだけで帰るしかありません。
でも、こういう所で事故があったらどうするんでしょうか。道からは遠いし、電波も通じていないので……。
分岐まで戻り都道最南端へ歩き出すと、またすぐに分岐がありました。行きは気がつかなかったですね。ワイビーチという場所が近いようなので行ってみます。
1分ほどで到着。南崎とは違って狭い砂浜のビーチです。
やっぱり水が綺麗だなぁ。なんだか洋ゲーの序盤に出てきそうな雰囲気です。
足元でなんかピョンピョン飛んでいると思ったらハゼでした。小笠原にもいるとは、生息域の広さに驚きです。
手で捕まえられそうでしたが流石にかわいそうなのでスルーしてビーチを出ました。
ワイビーチを出てからは寄り道をせず歩いて17時前に都道最南端に帰還。ちなみに南崎までの往復で誰とも出会いませんでした。船で着いたその日に南崎まで行く人間はそうそういなかったという事ですね。
ちなみに鍵はさしっぱなしでした。原付を借りたユースホステルの人から「原付を盗られるより鍵を失くす可能性の方が高いので、鍵はさしっぱにしてね」と言われたからです。実に離島っぽい話です。
原付に乗って一旦宿に帰還。
30分ほどダラダラしてから夕陽を見に行くことにしました。
母島には新夕陽が丘というスポットがあるのですが、集落からちょっと離れることと、夜の母島を原付で走るのが怖かったので集落近くの夕陽スポットに行きます。
それがこちら。静沢の森遊歩道の入口付近です。見ての通り展望台でもなんでもありませんが、西の空が良く見えます。
偶然居合わせた地元の人もいました。どうやら若いころに工事でやってきて以来母島に住み着いたようです。そういう人生も悪くはないですよね……。
全体的に雲が多い一日でしたけど、無事に夕陽を見られてよかった。
黄金色に輝く夕陽も沈んで周囲は暗闇に包まれていきます。
南国の夕暮れって独特のまろやかな雰囲気がありますよね。関東の突き刺すような濃いグラデーションとは違う、穏やかな感じ。湿度が関係しているのかな?
道が真っ暗になる前にさっさと宿に戻ります。
一旦宿に原付を置いてから夕食を探し出発。
母島は数件のレストランがあるので、流石に1軒くらいは開いているでしょう。最悪余った朝食のペヤングを食べればいいや(おがさわら丸で食べようと竹芝桟橋で買ったけど結局食べなかった分)。
が、しかし……15分ほど薄暗い母島でレストランを探したのですが、中々開いていません。
ヤバい。これはマジでペヤングか!?
と思ったら1軒だけやっていました。レストラン「アウストロ」さんです。
1000円くらいで海老天定食を食べます。
うまい!うまい!普通に本州でも通用するレベルです。大変満足しました。
実は明日には父島に帰ってしまうので、母島で過ごす夜は今日だけです。
そこで港で星の写真を撮ってみました。
うーん、街灯が明るすぎる……。
原付で島の奥まで行けばもっとよく見えるそうですが、そこまでする元気はありませんでした。
街灯がほのかに照る道を戻って宿に帰ります。離島でも集落な街灯があるのは流石東京都ですね。
20時半ころに宿に帰ってきました。それにしてもかなり疲れた!!冷静に考えると一日の半分は寝ていただけだったんですがね。やっぱり旅行先で色々行動すると普段の2倍くらい疲れます。でも色々なものを見れて満足しました。
つづく
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