コロナ禍の小笠原旅行 その1 ~東京から27時間!!おがさわら丸とははじま丸で母島へ向かう~
「海外に行けないなら、海外並みに遠い国内に行けばいいじゃない」
コロナ禍にあって旅行好きがこう考えるのはむしろ当然。ではどこへ行くのかと考えて思いついたのが小笠原諸島。東京から船で片道24時間かかる本物の僻地です。
ですが、交通手段が定員892名の船のみなので、GW・夏休み・年末年始は電話でのチケット争奪戦を勝ち抜かねば行くことすらできません。
7月に行ったので我々も争奪戦に参加しました。予約開始日は5月下旬の木曜日。朝9時から小笠原海運へ電話をかけること実に254回。どうにか奇跡的に電話が繋がって2等船室2枚を確保に成功したのでした。
※この争奪戦は一斉予約日と呼ばれ、小笠原海運のHPにて日程が記載されています。電話にて予約が成功すると、数日後に封筒で振込先と金額を記した書面が送られてきます。期日までキチンと振り込んだら、あとは予約番号をメモして当日竹芝桟橋まで行くのみでOK。
2020年7月21日朝10時。竹芝桟橋の最寄り駅である浜松町に到着。
相変わらず地味な出口です。だがそこがいい。空港と違って地味な出口から始めるのが船旅らしさがよく感じられます。
まだ船すら見ていないのにテンションが上がってきました。
ここから竹芝桟橋は徒歩5分ほど。やはり地味な街角ですが、小笠原らしい格好の人影がそこここにあり小笠原行きを予感させてくれます。
大きなマストが見えてきたら竹芝桟橋に到着。やっぱりあのマストを見たら伊豆諸島への船旅が始める感じがしますね。まぁ今回はもっと先に行くのですが。
竹芝桟橋はご覧の通りあまり混んでいない様子。なぜかというおと、おがさわら丸はソーシャルディスタンスを確保するため定員を半分にしているのです。
その割には案外簡単にチケットが取れたんですよね。東京に行くことを避けた人が結構いたのかもしれません。
窓口で船のチケットを入手したので次は当座の食料を手に入れます。
もちろん船の中にはレストランも売店もあるのですが、少々お高いのです。
船で食べるのは今日の昼食・夕食、明日の朝食の計3食です。夕食くらいはレストランで食べたいので今日の昼・明日の朝分のカップ麺を調達しました。
そうこうしている間に10時30分、乗船時刻に。
ターミナルを出てタラップに近づくと目の前に排水量11000トンのおがさわら丸が現れます。いや~これはデカい。伊豆大島や三宅島に行くさるびあ丸の2倍近い大きさがあります。排水量1万トン越えの船に乗るのは久々です。
船に乗り込んでから悠々と船内散策~♪とはいきません。船に多少乗りなれている人ならわかると思いますが、雑魚寝の2等和室はコンセントが争奪戦になるのです!急げ!!
結果、なんとか1か所のコンセントを確保しました。ここに3又タップをつないで、当座の電源確保に成功。
落ち着いてから回りを見回してみると、2等和室なのに仕切りがあってパーソナルスペースがきっちり確保されている印象です。10年前に乗った時は毛布だけで雑魚寝していたのですが……。時代と共に船の設備も変わるんですねぇ。オイル臭さもあまり無いので快適です。
ちなみに前述したソーシャルディスタンスの関係で、20席ほどの区画に7人しかいないようです。かなりガラガラで非常に快適。2人分くらいのスペースを使ってゴロゴロできるので寝台よりむしろ良いかも?
さて、電源も確保したし荷物も置いたので船内散策でもしますか。
取り合えずやってきたのは4階。船の案内所やレストランなどがあり、最も人が多い所です。
クジラを模した飾りなどがあって雰囲気もあります。ホテルでいうフロント的な所。
次に行ってみたのは3階にあるミニサロン南島。ご覧の通り座席と給湯器、自販機が置いてあるスペースです。
自販機の値段はだいたいこのくらい。地上̟+10円くらいですかね。これなら無理して桟橋の売店で買わなくても良かったかも。
ちなみにこのミニサロン南島はおがさわら丸でもかなりのどん詰まりに位置しています。船内図の3階の左端にあるスペースがミニサロン南島です。
窓も無いし、エンジンに近い場所なので常にゴゴゴゴゴという音が響きます。また、喫煙所もあるので、なんというか少々やさぐれた場所なのです。オッサンが一人で昼飯食ってる場所って感じ。名前と実態が違いすぎるので初回は面食らうかもしれません。
そんなミニサロン南島を出て、7階にある展望ラウンジ母島にやってきました。
ここは結構カジュアルな雰囲気の場所なのですがコロナのせいでソファー席が全部潰れています。悲しい……。
値段はこんな感じ。レストランの営業時間外に食事を調達するなら、ここか売店のカップ麺しかありません。
そろそろ出航なので甲板に出てみました。
いや~見事な曇天です。梅雨は明けたはずなんですがね。
灰色の空、灰色の海、灰色のビルをボーっと眺めていると、船がゆっくり動き始めました。いよいよ24時間の船旅の開始です。
出航して5分後くらいにはレインボーブリッジを通過します。
この先は東京湾内を南下しますが、意外と岸から遠い所を通るのに加えて曇天なのであまり景色が良いとは言えません。
しかも海もすこぶる汚い。
まぁ第二海堡が見えたりしましたが、あまりパッとする光景ではありませんでした。
出航から1時間ほど経った12時頃にミニサロン南島で昼食。ちなみにまだ東京湾内なのであまり揺れてはいません。
昼飯をサクっと食べてから現在位置を確認しました。
まっっっっったく近づいていません。道のりが果てしなさ過ぎる……。
東京湾は出たし船内もだいたい周ったのでAmazonPrimeでDLした銀英伝でも視て暇つぶしをします。飛行機や電車と違ってゴロゴロできるのは最高ですね。
~~~~~~~5時間後~~~~~~~
昼寝したりアニメ視たりしているうちに5時間も経過していました。なんだか揺れが心地よくて適度に眠くなるんですよねぇ。
18時現在の場所は八丈島沖です。そろそろ日没なのでデッキまで行ってみました。
お~。なんだかまったりして良い雰囲気。気温も25℃くらいで快適です。船もがなりスピードを出しているため、風が心地よい。
既に太平洋なので海もかなり綺麗になってきました。東京湾の灰色の海とはまるで違います。
19時ちょっと前に日没。小笠原まであと16時間です。長いなぁ。
日没を見届けてから船内レストランにやってきました。見ての通り座席数は半分ですが、乗客も半分なのでそこまで混んではいません。
950円のオムライス。かなりの食べ応えがあります。
しかし、味は殆ど覚えていません。それは船の揺れのせい。外に出ている間はあまり気になりませんでしたが、ユ~ラユ~ラとそこそこ揺れています。
ギリギリ船酔いしないレベルですが……下向いて飯食べるのは辛いかもしれない……。
なんとか20分ほどで完食して船室に戻ったものの、即座に寝てしまいました。船酔いに耐えるのも妙に疲れるものです。
2時間ほど経った9時半頃に「10時になったら消灯します」というアナウンスがあったので起きました。シャワーと歯磨きをしなければ……。
そういえばこの規模の船には大抵大浴場があるのですが、おがさわら丸にはシャワーしかないんですよね。やっぱり南国行きだからなのかな?
ユラユラ揺れる船内でシャワーと歯磨きをして部屋に帰還。船の揺れも適度に眠気を誘うので睡魔に勝てません。6時間ほど昼寝していたのに10時に寝てしまいました……。
~~~~~~9時間後~~~~~~
朝9時に起床。なんと11時間も寝ていた模様。どんだけ寝るんだ。
目が覚めても起きる気になれないのでボーっと天井を眺め続けます。ここは窓が無いので晴れているか曇っているかすら分からない。
まぁでもそろそろ動くか……と思い4階の現在地を見ると、昨晩よりかなり進んでいました。当然っちゃ当然ですが感動。しかも父島ではない島も見えますね!
甲板に出ると確かに左手に島々が見えます。あれらは聟島列島で、全て無人島のようです。
到着まで未だ2時間ほどありますが、いよいよ小笠原列島の領域に入ったことを感じます。テンションも俄然上がる!
それに海の色も伊豆諸島とはまるで違います。ペンキを溶かしたような紺碧の海。これがかの有名なボニンブルーですか。ここまで違いが出るとは驚きです。
聟島列島を過ぎてからおよそ1時間後、いよいよ目的地である父島が見えてきました。
ちなみにこの辺になると携帯の電波も入るのでみんなスマホをいじり始めます。ちょっと面白い。
左から弟島・兄島・父島です。聟島列島より圧倒的に大きいことがよく分かりますね。
二見湾に入るため山をぐるっと迂回すると、遂に父島の中心部が見えてきました。
約22時間ぶりの人工物です。やっと着いた……!
そして定刻11時に父島到着。
本当に長かったなぁ。途中は13時間ほど寝ていたので思ったより暇しませんでしたが、それでも長い。移動に24時間かかることはそうそうないと思います。海外旅行でも。
コロナ禍ですが、観光関係者などでかなり賑わっています。父島の人口は2000人なので、人口の1割くらいはいそうな勢い。
空気が本州と違って余計な臭いがしないのが感動です。山でも山の臭いがするのですが、ここは本当に清浄な感じ。
それに側溝を除くと下を流れる水の綺麗なこと!これも感動です。
ホッとしたのも束の間。私たちは父島より更に南にある母島まで行くのです。
おがさわら丸の後ろにははじま丸が停泊しています。
排水量は500トン。おがさわら丸の20分の一以下です。この船で外洋を航行するので……かなり酔いそうですね……。
という訳で昼飯は抜きにしようと思ったのですが、父親の友人(小笠原在住)の方が昼飯として弁当を持ってきてくれました。ここでまさか「酔うから食べません」とは言えません。結局その方と談笑しつつベンチで昼飯を食べました。朝食も抜いていて腹も減っていたので結果オーライかも?空腹で船酔いが加速することもありますからね。
ちなみにははじま丸は予約制ではないのでその場でチケットを買います。片道4190円。2時間程度の航路にしてはかなり高いですが、地理的条件を考えると仕方が無い。
11時45分頃にははじま丸の乗船が始まりました。父の友人とは一旦分かれます。弁当ごちそう様でした。
今回乗るのは全部で40人程度のようです。
船内は雑魚寝スペースと、
椅子のスペースがあります。
ちなみに外ベンチもありますが、かなり揺れると思われるのでここにいるのは辛そう。
12時ちょうどに二見港を出航しました。
小さな船体に似合わずぐんぐん進んでいきます。
二見湾を出たあたりからユラユラ揺れ始めたので船室に戻りました。おがさわら丸よりも明らかに揺れが大きい。これは立っていたら十中八九酔います。
という訳でお決まりの昼寝タイム。寝てれば絶対に酔わないのでね。それにしてもこの一日寝てばっかりだな……。
1時間半ほどして目が覚めると既に母島がすぐ脇に見えていました。
のんびり写真を撮っていると、下の写真の時には「まもなく着岸します。下船の準備をしてください」とアナウンスがかかっていました。
まだ何の荷造りもしていなかったので、慌てて船室に戻って荷物をまとめます。くそー着岸の様子を撮り忘れてしまった。
まぁそれでもなんであれ14時ちょうどに母島沖港到着です。東京発から27時間が経過しています。ブラジル並みに遠い場所ですね……。
それにしても父島はまだ「街」という感じがありましたが、ここはかなり田舎っぽい雰囲気。全てが父島の1割くらいの大きさな感じです。
港も小さい。本当に日本のはじっこもはじっこに来たような感じがあります。
5分ほどすると到着した人の多くは宿の送迎に乗って港を去っていきました。
私たちも今夜泊まる民宿メグロさんの送迎で宿に向かいます。
つづく
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