転がる五円玉 ~旅と城と山~

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2019年ローマ旅行:皇帝たちのフォルムへ ~トラヤヌス市場~

コロッセオは西暦80年にウェスパシアヌス帝が建設しました。ネロ帝のちょっと後です。全長188m、幅156m、高さ48m、収容人数は5万人。とてつもない大きさです。山のよう。

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外周が半分ほどしか残っていないのは、自然災害のせいではなく、中世に石材が教会に転用されたからです。日本人の私達が東京ドームが2000年後も残っている姿を想像できるでしょうか。いやはや、本当にとんでもない建築物です。

もう少し接写してみます。四階建てで、柱の柱頭がそれぞれ違っています。一階はドリス式、二階はイオニア式、三階はコリント式です。

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このように各階で異なる形式にすることで単調な外観にリズム感を生み出しています。しかし……世界史試験で出て、「こんなの覚える意味ある!?」と思っていた知識がこんな所で役立つとは思いませんでした。

コロッセオは混んでいるので後で中に入ります。まぁ最悪入れなくてもいいです。なにせ外から見るだけで大満足の偉大な建築なのですから。

 

コロッセオの北西にはフォロ・ロマーノ皇帝たちのフォルムと呼ばれるエリアが広がっています。

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奥に見える白い建物はヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂です。手前にはクリア・ユリア(元老院議事堂)やフォロ・ロマーノの遺跡が広がっています。

まずは皇帝たちのフォルムの方へ行きます。このあたりは現代の地図と当時の地図を重ねると分かりやすいです。

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上の地図の右がコロッセオで、私は赤い矢印に沿って歩きました。

皇帝たちのフォルムとは皇帝による広場の集合体です。広場と言ってもアパートに囲まれた現代の広場とは違い、ギリシア風の柱と神殿に囲まれた空間でした。

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下の復元図は最も東にあり、最も細長かったネルウァのフォルムです。

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このように現代の広場とはちょっと違う雰囲気だったことが分かります。

道の上からはネルウァのフォルムの跡地を望めます。

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まぁ、見ての通り完全に廃墟です。しかし実は中世まで大部分が残っていた事が判明しています。

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このような貴族の邸宅があったようです。(随分小さい気もしますが、これが中世サイズ。)

しかし、1600年頃に教会の改築のために解体されてしまいました。ここに限らず、この辺のローマ時代の遺跡は1600年頃に取り壊された物が多いです。すごい勿体無いような気がする……。

ネルウァのフォルムのすぐ隣にはアウグストゥスのフォルムがあります。

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こちらは結構遺構が残っており、神殿っぽい雰囲気を感じられます。

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アウグストゥスのフォルムの隣には最大のトラヤヌスのフォルムがあり、その外側にはトラヤヌスの市場があります。なんでも世界初のスーパーマーケットだとか。この市場は現在でも半円を描いた姿を留めています。

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どうやら中に入れるらしいので行ってみます。ちなみに入口は少々分かりにくい。

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道路に面した入口からいざ入場。ちなみに入場料は10ユーロです。高い!
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エントランスから既にローマ時代の市場跡です。

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ちょっと昔はこんな感じだったらしい。遺跡を上手いこと使って博物館っぽくしています。

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ちなみにエントランスの辺りは無料の小麦配布所だったようです。パンとサーカスってやつですね。

各部屋には展示物がありますが、まずは半円の市場の方へ行ってみます。階段や通路は殆ど損傷なく残っており普通に歩けます。

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こうして歩いていると、古代ローマ人がワインや野菜を求めてこの市場を歩いていた様子が目に浮かんでくるようです。

一階まで降りて下から眺めてみました。ここから見ると見事な2層構造になっている事が分かります。

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今私が立っている辺りはトラヤヌスのフォルムの端っこに位置していたようです。案内板が分かりやすくて良い

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この想像図を見ると、市場はあくまで添え物であることが分かります。皇帝のフォルムは大理石で立派であったために、後世の人間によって略奪・破壊されました。一方、市場は装飾が無いせいで今まで残ったのでしょう。

再び市場の上の方へ行きます。3階(屋上)からはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂やトラヤヌスの円柱などが良く見えます。
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遺跡の上からローマを眺めるのも乙なものです。

半円の部分は商店で、上には事務所があったようです。ここまでシステマティックだと市場というか百貨店っぽいですね。

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これは中世に建てられたミリツィエの塔と呼ばれる見張り台です。窓が一切なく不愛想な感じが実に中世っぽい。
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この塔の近くから階段でエントランスに戻ります。小麦の配布所だった場所にはここで出土した遺物が展示されています。

例えばこちら。

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これは高さ15mもあった大理石のアウグストゥス像です。左上の灰色のものは目玉らしい。

これはコンスタンティヌスの像です。目が大きい特徴的な顔をしているので一発で分かります。

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地下には壺の展示室もあります。

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どうやら市場のゴミ捨て場から大量に出土したものらしい。

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壺の生産地から当時のローマ帝国の交易網の広がりが分かります。また、壺に付着した粒子から当時の食物を推し量ることもできるそうです。

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まぁこの市場のメインはあくまで市場の建物で、展示はおまけです。10ユーロの価値があるかは正直微妙ですが、時間があれば入ってみるのはアリだと思います。人が少なくてのんびりとしていて結構良かった。

 

さて、市場を出てヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂の方へ向かいます。

 

(皇帝たちのフォルムの地図はWikipediaから引用しました)

つづく

 

harimayatokubei.hatenablog.com

今回訪れた所

 

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