2019年ローマ旅行:街歩き ~サンタンジェロ城、ナヴォーナ広場からパンテオンへ
サンタンジェロ城
地図を見れば分かるのですが、サンピエトロ広場からまっすぐに歩くとサンタンジェロ城の前に出ます。神社の参道っぽい。(サンタンジェロとは「聖天使」の意)
この城は城にしては優美なデザインです。それもそのはず、元々はハドリアヌス帝の霊廟として建設されました。それが中世を経て軍事施設として強化され、今日に至ります。
それにしてもこの城……相当デカい!!元が霊廟と聞いて侮っていましたが、直径が80mもあるのです。単一の建物として大きい。ここを支配している教皇の軍事的な権威も感じられる場所です。
城の前にかかる彫像がいっぱいの橋はサンタンジェロ橋で、サンピエトロ大聖堂の内部を手掛けたベルニーニの設計だったりします。
ちなみに私が立っているあたりは、ジョジョ5部のラストバトルの場所でもありますね。漫画にもアニメにもサンタンジェロ城がバッチリと描かれています。
下の路地もディアボロが走っていた所では……!?
ナヴォーナ広場
さて、城から歩くこと5分程度でナヴォーナ広場に着きました。
この広場は見ての通り細長い形をしています。それもそのはず、ドミティアヌス帝の競技場が元になっています。そのため広場の地下には競技場の遺構が残されています。
この広場はベルニーニがデザインした3つの噴水の素晴らしさで有名。下の噴水は「四大河の噴水」ですね。ナイル川・ガンジス川・ドナウ川・ラプラタ川を擬人化した彫像の上にオベリスクが立っている重厚かつ勢いのあるデザインです。
彫像の複雑さとオベリスクのシンプルさが合わさっており非常に目を引きます。滑らかな人体とゴツゴツした水の流れの対比も素晴らしい。ちなみにこのオベリスクはドミティアヌス帝が作らせたレプリカだったりします。岩自体はエジプト産なので本物っぽくも思えます。
ナヴォーナ広場ではジェラートが有名らしいのですが、寒いのでパスしました。
パンテオン
次に向かうのはパンテオンです。ここは行かないわけにはいきません。なぜなら、世界で唯一の完全に残るローマ建築(諸説あり)だからです。
ドームの直径は43.2m!壁の厚さは6mにも達しています。周囲のアパートと比べてもその大きさが分かります。そもそも1900年もの間、時には殆ど管理されていなかったのにも関わらず地震にも嵐にも耐えて現存していること自体が驚嘆に値します。
入場は無料なので少しだけ列に並んですぐに入りました。内部構造は非常に単純で、入口とドーム下の間しかありません。
中に入った瞬間、「完璧だ」と思いました。ドームは完全に正円であり、下の装飾から屋根の規則的な窪みに至るまで全てが点対称に配置されています。ちなみに、床からドーム頂点までは43.2mあり、ドームの直径と全く同じです。とにかく建築としての安定感が抜群で、人間の偉大さというよりも地球や神といった超自然的な存在をも想起させられます。
そもそもドームとは幾つものアーチが頂点で支持されて成り立つ構造です。頂点を空洞にするには非常に優れた構造・技術を要する事が容易に分かります。
いや~、ミケランジェロが「天使の設計」と読んだのも納得です。中心から天井を見上げるとあまりの規則正しさに言葉を失います。
1900年前なのにあまりにもハイセンスすぎる。パンテオンはハドリアヌス帝の設計と言われていますが、皇帝の深い教養と知性を感じます。
10分ほど滞在して外へ。パンテオンは外から見ると円筒形の地味な建物です。おそらくは大理石に覆われていたのですが、長年の風雨や人災により剥ぎ取られたのでしょう。
パンテオン前広場は大混雑ですが、左右は人が少ないです。確かに左から眺めてもなんの変哲もないレンガの建物でしかありません。パンテオンは正面と中から見る建物ですね。
いくつかのオベリスク
パンテオンを存分に堪能したので再び宿に向かって歩き始めます。
徒歩で1分ほどの距離の小さな広場にはミネルバ・オベリスクがあります。これはウアフイブラー時代の正真正銘のオベリスクです。
下の象はベルニーニ作です。全体的に小さいのでなんだか可愛らしい雰囲気。
3分ほど北へ歩くとイタリア下院議事堂のモンテチトーリオ宮殿前広場に着きました。ここに立っているのはモンテチトーリオのオベリスクです。
非常に立派で堂々としたオベリスクです。プサメテク2世の時代のもので、アウグストゥス帝がローマへ持ってきました。2列になって深々と彫られたヒエログリフから盛期エジプトの文化を感じます。
マルクスアウレリアヌスの円柱
そこから東へ徒歩1分ほど歩くと、ありました。マルクスアウレリアヌスの円柱です。高さは29.6m直径は3.7mで、柱自体にダキア戦争を描いたレリーフが彫られています。
柱としては比較的重厚です。望遠レンズで拡大すると戦争の様子がよく分かります。
中央には敵?と握手する台座に乗った皇帝が写っていますね。
本当は双眼鏡片手にぐるぐる回って全部のレリーフを見たかったのですが、思ったより長いのと変な黒人に絡まれたので5周程度で退散しました。ホゲー
ちなみに内部には螺旋階段があります。時々ある黒い穴は採光のためですね。皇帝によって円柱が立てられる風習はトラヤヌスから始まり、マルクスアウレリアヌスのような歴代の偉大な皇帝が柱を立てました。イスタンブールで見たコンスタンティヌスの円柱もその例です。
さて、いよいよ日も暮れてきたのでちょっと足早に宿に向かいます。
つづく
harimayatokubei.hatenablog.com
オベリスクに関しては下記サイトが非常に網羅的かつ詳細なので必見
本日訪れた場所