転がる五円玉 ~旅と城と山~

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真冬の青ヶ島旅行 Part2:暴風の三宝トンネルと丸山・ふれあいサウナ

ビュー

ゴォー

ヒューー……

夜半からそこそこの強風に見舞われましたが、そこそこ寝られました。雨が降っているのでしばらくテントでゴロゴロします。

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 ちなみに、この日のあおがしま丸は高波で欠航になりました。

この時の天気図がこちらです。関東南海にガッツリ前線が乗っかっており、南風が吹き荒れています。こうなると船はまず出ません。

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出典:気象庁HP「過去の天気図」

 

9時頃に雨が止んだので外に出ました。いやしかし、改めて見ると崖の存在感がすごい。
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写真では伝わりませんが360度を崖で囲まれており、海の気配を一切感じません。安全ではありますが、閉じ込められた感が非常に強いです。

非常に不思議な空間です。島は開放感あふれる雰囲気の場所が多いのですが、ここは山間の村のような閉塞感を感じます。

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集落の方は昨日大体巡ったので、今日はカルデラ内(池の沢地区)を周ります。まずは昨日使った三宝港まで行ってみる事にしました。
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カルデラ内の湿度と森の密度がとにかくすごい。笹ばっかりの集落とは植生が全く違いますね……殆ど別の島です。

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都道沿線には五洋建設の作業所があります。流石はマリコン界の雄。三宝港の工事を遂行できる会社はここくらいなのではないでしょうか。
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丸山の斜面だけではなく、この辺りからも水蒸気が地面から吹き出ています。
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よ〜く見たら噴気孔付近に生育している苔から蒸気が出ています。触ってみるとぶにょっとした触感でした。恐ろしく気持ち悪い。

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三宝港に至る青宝トンネルの入口に着きました。外輪山を貫通する長いトンネルです。

それにしても風が強い!!前に進めないような暴風が港の方から吹いています。港はどうなっているんだ一体……?
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こうなっていました。思いっきり高波が打ち付けています。実はこれトンネルの出口付近から撮った写真です。風が強すぎて前に進めなくなったため、港へ行くのは断念しました。
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まだ港から吹いているので立つことができますが、トンネルから出たら冗談ではなく吹き飛ばされていたかもしれません。誰もいないし結構怖い。

トンネル内が暴風になっている理由も地形を考えれば納得です。

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外の暴風が逃げ場を失ってトンネルに吹き込んでいるようです。

とにかく穏やかなカルデラ内とのギャップに驚きます。外との交流を遮断している外輪山ですが、太平洋の激しい自然からカルデラ内を守っている事を痛感しました。

 

ほうほうの体でキャンプ場まで戻ってきました。カルデラ内は港と違って風は穏やかに吹いています。

さて、お次は青ヶ島名物「地熱釜」で昼食を作ります。この「地熱釜」は先程のような地面からの蒸気を利用して料理を蒸すことができる施設です。

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昨日のうちに商店で買っておいたジャガイモと玉ねぎ、ソーセージを釜に入れます。

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蓋を閉めてから下のバルブを上にして蒸気解放!!ブシューという音がして釜の中に蒸気が流入した事が分かります。この蒸気は思ったよりも相当熱くおそらく100℃近いのでバルブ解放後は蓋を開けないようにしましょう。私はバカなので様子見しようとして手首を火傷しました。

昨日の商店の方曰く「30分でも大丈夫だろうけど、1時間程度は待った方がいい」との事なので1時間待ちます。

 

待ち時間の間に内側のカルデラである丸山を巡る遊歩道を歩きます。いきなり入口から訳わからん感じに藪っています。島にありがちな感じ。

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藪い場所は入口だけで、中は普通に歩けます。ちなみに山靴ではなく普通のスニーカーです。
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こちらが丸山のカルデラです。うおお……思ったよりも深い……。昨日に大凸部から見たときは小さそうだったのですが、いざこの場に立つと結構な大きさがある事が分かります。
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これに限らず青ヶ島は地図では分かりにくい上下方向の落差に驚かされます。

遊歩道もジャングルのような様相を呈してきました。そこらに生えているオオタニワタリが絶妙な南国感を醸し出しています。

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ちなみに、オオタニワタリ絶滅危惧種ⅠBに指定されている貴重な植物なのですが、青ヶ島ではそこら中で見る事ができます。渡航が難しいせいで乱獲されていないからでしょうか。

こちらは道中にある富士様という神社です。
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江戸時代の大噴火で避難する際に置き去りにした妊婦や老人の霊を慰めるものです。

※江戸時代の大噴火と島への帰還の一部始終は「環住」と呼ばれています。wikipediaの記事を読むべし。

丸山を1時間程度かけてのんびりと一周したので、蒸気釜の方に戻ります。

 

バルブを閉めてから蓋を開けます。
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 ほぉ……結構蒸されているっぽいですね。

ビニールの端を摘んで外に出します。熱々の玉ねぎを指で押すと柔らかくなっており、これはいけると判断。芋の皮剥き若干苦戦しつつも、なんとか本日の昼飯を用意しました。
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ソーセージ5本とじゃがいも2個、玉ねぎ1個の素朴な献立です。味については言う事はないでしょう。最高です。

アウトドアでは焼く、煮るが多いので、蒸す料理を食べる事は非常に新鮮で楽しい。島でも大抵の野菜は手に入りますが、冒険心がある人は本土から食材を持ってきてもいいのではないでしょうか。

 

蒸気釜近くの東屋で昼食を食べている間に突然大雨が降ってきました。
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と、思ったら晴れました。
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すっかり忘れていましたが、ここは島でした。天気が変わりやすいのも当然。

 

青ヶ島からの脱出は船が出次第だと考えていたのですが、八丈島までのヘリコプターの予約状況をネットで見たら明日の便に空きを発見しました。船より1万円高いのでちょっと悩んだものの、明日も船は出なさそうなので予約しました。これで東京に確実に帰れる。

また、キャンプ場からヘリポートまでは徒歩1時間以上かけて登らなければなりません。流石にしんどいので、ヘリポート付近の宿を予約して迎えに来てもらうことにしました。

結果的にあおがしま丸とヘリコプター、キャンプと民宿の全てを経験する事になりました。

 

朝から曇っていましたが、この大雨を境に晴れてきたのでカルデラ内を適当に散歩します。これはハウス内で飼われている鶏。
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これは道端の石垣。昔は人が住んでいたような痕跡です。
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カルデラ内は一見するとジャングルですが、時々畑が存在しています。
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雲が吹き飛ばされ快晴になってきました。

これは産業廃棄物置き場と外輪山です。人口160人の島には似つかわしくない量が積まれており、この島の建築業が如何に盛んか思い知らされます。
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こちらはブランコがある謎の広場です。春には桜が綺麗らしい。
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麦畑……でしょうか?機械を使わないようなプリミティブな耕作が実施されています。
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この日は気温が18℃もあり、結構汗をかいたのでサウナに入ろうと思います。蒸気釜の近くには地熱を利用した「ふれあいサウナ」があります。
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利用時間と料金はこの通り。平日は16時からなのでちょっと不便。
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サウナとシャワーだけ!みたいな簡素な施設をイメージしていたのですが、待合室も設置されており意外とちゃんとしています。
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シャワー室です。奥の扉の向こうにサウナがあるのですが、地熱によって建物全体が熱されており既に猛烈に蒸し暑くなっています。
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肝心のサウナも本格的で申し分ないです。大地の力であったまる感じは中々いいですね!サウナと水シャワーを繰り返して結局1時間くらい入っていました。

 

サウナでへろへろになって宿の迎えを待ちます。

青ヶ島の宿は基本的にどこにいても迎えに来てくれます。まぁ普通の観光客はレンタカーを使っているので迎えを頼むのは最初だけですが。

ちなみにこの辺りには地熱であったまる猫がいます。
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本日の宿「杉の沢」の主人が軽バンで迎えに来てくれましたので、集落まで戻ります。

チェックインしたらちょうど日没の時間になりました。まだ晴れているので今夜は星が綺麗に見えるかもしれません。
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日没を眺めていたらヘリポートの方からバババという爆音が聞こえたので行ってみました。八丈島へのヘリとは時間が違うような、と思ったら東京消防庁のヘリでした。どうやら発着訓練のようです。
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ノコノコ近づいていったのですが、風圧が凄い!1cmくらいの小石もバシバシ飛んできます!!思わず少しあとずさりするほどです。

ほどなくヘリは東京方面へ飛び去っていきました。

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駐在さんによると普段のヘリよりも馬力が強いせいか風圧もすごかったとのこと。こういう訓練は年に3回くらいなので居合わせたのは運が良かったようです。

 

6時30分になったので夕食を食べます。私以外の宿泊客は全員仕事で来ている人でした。やはり2月は観光客が少ないらしいですね。f:id:harimayatokubei:20190208092318j:image

 

晴れているので宿の前で星空を撮ってみましたが、風が強すぎる上に雲も出ていてかなり微妙な結果に……。翌日の早朝に再チャレンジします。

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つづく

 

harimayatokubei.hatenablog.com