2022年9月 キナバル山登山 2日目 山頂アタック~下山まで
午前1時15分に起床。ぐっすり寝れ・・・なかった。11時くらいに目が覚めてからはボーッとツイッターを見てました。でも5時間くらいは寝れたので気分は悪くない。
外からはまだザーザー音が聞こえるが、雨ではなく昨日の雨でできた滝の音らしい。ただ星は全く見えない。曇りで、しかも雲が厚そう。うむむ。
まぁ天気はさておき準備準備。1時30分くらいに食堂へ行くと既に盛況で朝食を食べ終えてる人もいる。
メニューは焼きそば・焼きそば・ソーセージ・スクランブルエッグ。
朝食をモリモリ食べて、紅茶をゴクゴク飲んで2時ちょうどになりました。周りの大半はもう出発している模様。
やってきたガイドさんを見てびっくり。昨日は近所を散歩みたいな恰好だったのに、ガチ装備になってる!
山頂はそれほど厳しい環境ということか……なんだか怖くなってきたぞ。
外を見ると、雨はギリ降って無さそうな状況です。
気温は8℃くらいかと。シャツに薄いウィンブレで十分暖かいです。
よっしゃ出発!という時になってガイドさんが一言
「キョウハ、テンキ、ヨクナイ」
はぁ〜〜〜〜??(半ギレ)
個人的な経験だと夜半に曇っている時は、日の出で晴れ上がるか、逆に雨が降るかの2パターン。昨日の夜は結構降っていたので今日は日の出で晴れると思うのだが、、、こればかりは分からない。不安だ。
不安だが、とにかく出発します。
見ての通りの大渋滞でチンタラ歩きます。しびれを切らしたガイドさんの先導で徐々に人を抜かしていく。
30分ほどでテラスがある休憩ポイントに到着。
顔面には雨とも霧ともつかぬ水滴が時々当たっておりめっちゃ不安である。ただ、雲行きが悪くなっている様子でもない。頼む、、、山頂で晴れてくれ!(こっちは10万円近く払ってるんだ!)
階段ゾーンを越えたら今度は花崗岩の急登。ロープのあるプチ岩場も1か所登りますが、余裕で通過。
4時ちょうど、最終チェックポイントでもあるサヤッサヤッ小屋に到着しました。
標高3520mでとっくに森林限界は超えています。風はまだあまりない。天気も安定してきて、これは山頂まで行けるぞ、という雰囲気です。
5分ほど休憩して出発。
いよいよ山頂に向けて最後の急登が始まります。
途中で明らかに日本人向けの看板を発見しました。
ヴィアフェラータというアトラクションの集合地点らしい。私たちは興味がないのでパスしました。
そして!なんとこの辺から雲間に星が見え始めたのです!この見え方は間違いなく晴れる!!ここで勝利を確信。
一歩たりとも止まらずに岩の上をじわじわ高度上げていって、赤い光が輝く山頂に向けて歩きます。心配していた高山病も全く症状がありません。上向いたらちょっとクラッとくるくらい。
5時25分、キナバル山山頂・ローズピークに到着しました。
よかった……無事に山頂を踏めた……。普段は眺望を目当てに登っているので山頂を踏めるかは割とどうでもいいのですが、今回ばかりは登頂の安堵の気持ちが勝りました。いや~よかった。
下を眺めると暁の空の下に登山者の光が点々と続いています。あんな所歩いていたんだなぁ。
反対側にはコタキナバルの明かりと南シナ海も見えます。
頂上から日の出を見るためにしばらく待機。ガイドさんは他のガイドと話しているようなので、日本人2人でじっと待ちます。気温1℃で風もあるので結構寒い。ダウン持って来て良かった。
雲の切れ間が明るくなってきました。
6時前、日の出です。
日に照らされて急に体が熱を帯びるとともに、周囲の景色が浮かび上がります。
うおっ、、、目の前の大渓谷がすごい。キナバル山といえば岩盤が有名ですが、こっちの迫力も凄まじい。
振り返れば重厚なセントジョーンズ・ピークに尖ったサウス・ピーク。そして広大なボルネオ島の展望。
西には見事な影キナバル山も浮かんでいます。標高4000mの圧倒的な景観です。
しばらく日の出を眺めてから、再度山頂へ。先ほどは暗くてわからなかったのですが、山頂からは東シナ海が一望できます。富士山や鳥海山に近い感じ。
山頂付近からもう一度周囲を眺めてみます。
アグリーシスターズ・ピークと遠くの山々。遠望は日本っぽいのですが、手前の山の異様さは非常に独特。
しかしとにかく南の真正面に見えるセントジョーンズ・ピークの迫力が圧巻です。標高は4090mと最高峰より5m低いのみ。北アルプスのジャンダルムのようなシンボリックな重厚感です。
西には東シナ海と別のピーク。斜めに伸びている岩は現地語で「親指」と呼ばれているようです。とても奇妙ですがおそらく比高100mは超えています。
360°どっちに向いても絶景。脳みそが麻痺しそうな感動。これが海外登山か……。
日の出から30分ほど経過して景色も堪能したので我々も下山します。
岩盤の上を淡々と下っていきます。
岩間にわずかに映えている植物と地衣類。ちなみに日本の高山にあるハイマツは全く見られません。
ルート脇の水たまりから逆さセントジョーンズピークを撮影。うーむ、美しい。
じきにネットでよく見るキナバル山の光景になってきました。
行く前までは上の写真に写っているサウスピークが頂上かと思ったのですが、全然そんなことは無かった。それにサウスピークは標高も低いし痩せた山容で、山頂から見ると思ったより存在感が薄い。
それに対して、振り返って見えるセントジョーンズピーク(左)の重厚さがすごい。最高峰であるロウズピーク(右)よりもカリスマ性があります。
最高峰の方が見かけの格が劣る山はちょいちょいありますよね。くじゅう連山とか。
しかしまぁこの辺は下界も見えてきてとにかく視界が壮大です。写真撮ってばっかりで全然歩みが進まない~~。写真撮りすぎてガイドさんが若干イライラし始めた。すまん!
斜度20°くらいのやや急な斜面です。ドライなので問題ありませんが、濡れているところはちょっと滑る。
歩いて歩いて7時15分にサヤッサヤッ小屋に到着。
ここのトイレってこんなに絶景だったのか……。
トイレだけしてすぐに出発。この辺から下のラバンラタ小屋が見えてきます。
急斜面をトラバースしつつ徐々に高度を下げていきます。所々で斜度40°近い急斜面が表れます。
行きは闇夜を無我夢中で登ったのですが、下りはちょっと危ない。でもロープを掴めば余裕です。
最後の方は無限の階段です。登山経験ある人は分かると思うけど、こういう濡れてる階段は怖い。
他の下山者をスイスイ追い抜きつつ8時ちょっとすぎにラバンラタ小屋に到着しました。
これからラバンラタ小屋にて朝食バイキングです。9時集合と約束して一旦ガイドさんとは解散。
誰もいない朝食会場。いつの間にか一番乗りになっていたようです。
朝食(またもや結構美味い)を食べていると、急激に眠気と疲労が襲ってきました。うう~ん、こののんびりした雰囲気は普段だと下山だから、体が勘違いしているのかも……。
若干朦朧としながら窓の外を眺める。ここってこんなに景色良かったんだな……昨日は下界方面は終始ガスだったので全然分からなかった。
10時前に食べ終えてガイドさんと合流してから再度出発。
麓のクンダサンの街並みが見えています。結構遠いはずだけどこれだけハッキリ見えるとは、余程空気が綺麗なんだろうな。
灌木の間を抜けてサクサク下山。
9時30分ごろ、後ろを振り返ると早くもガスが湧いてきました。
今日のキナバル山が晴れていたのはわずか4時間程度という事になるのか。朝のうちだけ晴れて、すぐに雲間に隠れてしまう。これは現地で神の山と呼ばれるのも納得。
この先はガスで展望も望めず樹林帯のひたすら下山です。
じきにポーター、そして普通の登山客とどんどんすれ違い始めました。「コングラチュレーション!!」「お~、センキューセンキュー」なんて声を掛け合いながら下ります。
ラバンラタ小屋を出て3時間後、12時前に最初の滝に到着しました。
ここまでくれば後少し。
12時ちょうどに登山口であるティンポホンゲートに到着しました。
サラッと書いているけど4095mの山頂から1800mの登山口まで2300m下っているのでまぁまぁ疲れています。いや、結構疲れたな……。
でも大きなトラブルもなく下山できてよかった。早めに下山できたおかげか雨にも降られず雨具は一切使いませんでした。
登山口からはバンで公園事務所近くのレストランに移動してガイドさんとは解散。最後に挨拶を、と思ったけど私たちを降ろしてそのまま去って行ってしまいました……プロだな。
ここでの食事はラバンラタ小屋の宿泊料に含まれているのでタダです。
スプライトで乾杯!!!!!これは美味い!登山後のまともな食事はどこでも本当に美味いっすよね~。
達成感と疲労感を感じつつのんびりと食事を堪能。美味しかった。
レストランから事務所までは徒歩10分くらいあるので道を歩いていると……なんとここで大雨!!
登山中は降られなかったのに~~!!初の雨具使用です。なお、濡れネズミのまま歩いていると、公園の車が通りがかってピックアップしてくれました。助かった。
1日ぶりの公園事務所に到着。下山報告をしてから登頂証明書を貰ってキナバル山の登山は全て終了です。
・・・が、我々はこれからコタキナバルまで戻らなければなりません。スタッフに話を聞くと「タクシーか、表の通りでバスを捕まえるかね。でもバスはいつ通るか分からないわよ」とのこと。
値段差は約10倍。汗でドロドロだし早く帰りたいのもやまやまですが、まだ午後2時すぎですしバス待ち作戦にしてみます。
ちなみにこの頃になるとキナバル山は完全にガスの中でした。本当に神秘的な山だった。
結局、表の通りで手を上げてバスを待っていると15分くらいでタクシーが掴まりました。話を聞くと50MYRでコタキナバルまで行ってくれるとのこと。行きは200MYRだったので安すぎないか??と思いましたが、再確認しても50でいい!とのことなので乗りました。
助手席には既に女性が乗っていて夫婦か?と思ったら乗客だった。
このタクシーがまぁぶっ飛ばすのなんの。マレーシアの山道を攻めまくりです。
その甲斐もあってか、バスなら3時間かかる所を2時間でコタキナバルに到着しました。しかも普通に50MYR払ってもめることなく解散。普通に良いタクシーだったわ。
16時すぎに疲労と寝不足でフラフラになりながらもホテルにチェックイン。ホテル近所のコインランドリーで洗濯をして、食堂で食事をして、20時には眠りにつきました。それこそ泥のように睡眠。めっちゃ疲れたけど満足度の高い一日だった。
感想
まぁ私がわざわざ多くを語る必要がないくらい、噂にたがわない凄さです。「4000m峰」という格もありますが、山頂付近の景色は独特で日本ではまず見られない。大金はたいた甲斐はありました。
日本からも比較的近いしすぐに行けると思います。晴れたらすぐ北アルプスに行ってる登山勢なら余裕でしょう?とにかく今すぐ行くんだ!GO!!
おわり
利尻山・6月下旬・鴛泊コース日帰り ~人生最大の雲海に遭遇~
利尻山は個人的にかなり思い出深い山です。
2019年、海の日にチャレンジするもガスガス。
2020年、シルバーウイークに再チャレンジするもガスガス。
諦めきれず翌日も登ると、ほんの少しだけ晴れたが、景色は殆ど望めず。
そして2021年。最北の百名山に3年連続で来ることになるとは思ってもいませんでしたが、なんの巡りあわせか再び利尻島に来ている。
またガスガスは嫌だ!絶対に、絶対に晴れの利尻山を見るしかない!
こうした、もはや執念深いともいえる決意で登り始めました。
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札幌から原付で移動すること3日目。利尻島鴛泊港の宿で目覚めました。
3時起床ながら、昨晩は9時に寝たので登山前とは思えないほど頭がスッキリしています。
パンをもそもそ食べていると徐々に明るくなったきた外を見てみると…
曇りだと……。今日は気象庁では晴れ予報、ヤマテンでも晴れ予報なので、山頂の晴れはまず間違いないと思うのですが、ちょっと不安ではあります。
4時20分に宿出発。4時30分に3合目の北麓野営場着。夏至近いので日の出も早く既に十分明るいです。
準備して登山開始。まずはウッドチップを敷いた快適な道から利尻山は始まります(なぜかピンボケ)。
5分ほどで甘露泉水に到着。唯一の水場ですが、水は十分持っているのでスルー。
序盤は緩やかな樹林帯です。5時ちょうど4合目「野鳥の森」に到着。
空も晴れてきました。どうやら昨日と同じような海霧が標高300m以下くらいで発生しているようです。
地味な道をじわじわと標高を上げていきます。ここは辛抱が必要な区間。
5時30分、5合目「雷鳥の道標」に到着。特に展望は無いし、なんなら利尻山に雷鳥はいないという微妙なガッカリスポットだったりします。
更に15分ほど歩くと、6合目「第一見晴らし台」到着です。ここからいよいよ展望が広がる楽しい区間です。
なんと今日は大雲海。海霧が覆っているのは想像ついたのですが、ここまでぎっしりと雲が詰まっているとは!飛行機で雲の上を飛んでいる様です。
風も穏やかでまさに最高。
山頂まではまだ標高差1000mあります。利尻山山頂はガスりやすいので、はやる気持ちを抑えずに登りを再開します。
6時10分、七合目「胸突き八丁」に到着。
ここからは急登ですが、足場もしっかりしており余裕です。
6時45分、8合目の長官山(1,218m)に到着。目の前に凛々しい利尻山が表れて一気にテンションが上がる場所です。
見て下さいこの姿。緩すぎない見事な勾配で山としての重厚な存在感はありつつも、谷筋に残る残雪で涼しげですらあります。
アルプスのような迫力はありませんが、長官山から眺める利尻山は日本の山岳風景でも屈指の美しさだと思います。とにかくおすすめです。
長官山からは利尻山避難小屋まで下ります。
いかにも避難小屋という雰囲気。中はボチボチ綺麗です。鞍部にあるので電波が入らないのが残念。なお、宿泊を前提とした登山は禁止されています。
残雪が出現したものの、余裕。チェーンスパイクすら必要なかったです。
沓掛稜を眺めながらひたすら登る。
7時30分、9合目到着です。頂上まではあと標高差300m。ここが正念場です。
植生もかなり後退して、日差しを浴びながらの尾根歩き。
途中、かなりガレている箇所があります。あと何年もつだろうか。
20分ほど登ると沓形コースと合流します。実質的に9.5合目ですね。
ここから先が崩落が最も激しく、必死の工事が何年も続いています。なんか要塞みたいになってきたな。
この辺の要塞エリアを超えると、いよいよ見えた!あれが山頂だ!!
8時ちょうどに利尻山登頂しました。
標高差1500m以上でしたが、景色は良いし涼しいしで全く辛くなかった。
それより凄いのがこの大雲海。
どっち向いても地平線のかなたまで雲海です。
見えるものといえば、北側にポツンと浮かんでいる礼文島のみ。
利尻山意外全て雲の下に沈んでしまったような、島全体が浮かんでいるような圧倒的な浮遊感です。風も穏やかだし気温も半袖でちょうどいいし、景色に現実味がない……。
島の東側は穏やかな稜線ですが、西側には高度差1000m近い崖を望む豪快な景色が広がっています。こっちからも登ってみたいけど、バリエーションルートなんだよなあ。
大雲海を眺めながら30分ほどだらだらしていると、下から続々と他の登山客が登ってきました。
みんなして「この景色は凄い!」と感動しきり。いや、実際これは凄いっすよ。
山頂は電波が入るのでツイッターしたり昼寝したりしていると、10時30分になっていました。山頂に2時間半もいたのか笑。
素晴らしい景色ですが、今日中に稚内まで戻るので下山します。
しかしまぁ下山も良いな。
とにかく空を歩いているようなとてつもない浮遊感です。こんな体験は他の山では得られない。
9合目で小休止。
どんどん下って長官山への登り返しまでやってきました。快適な尾根歩きに見えますが、虫がちょっと厄介。
11時15分、長官山到着。利尻山に別れを告げて更に下山します。
ここから下は利尻山こそ見えないものの、基本的には雲海を眺めながらの絶景路です。下っていて全く飽きない。
11時30分、第二展望台着。ここからは樹林帯なので、雲海ともお別れです。
普通の森を淡々と歩くゾーン。でも気分が高揚していて全く苦ではない。
13時ちょうどに北麓野営場まで戻ってきました。
標高差1500mもあるのでそこそこ疲れましたが、大満足。
4回目の利尻山登山を無事に完遂できました。一部の友人から執念とまで言われて執着し続けた結果の感動。とにかく最高でした。
感想
非常に素晴らしい山です。素晴らしすぎるので、箇条書きで利尻山すばらしポイントを列挙してみます。
- 山容が見事な円錐形で非常に美しい
- 空気が常に綺麗で、晴れれば大展望になる
- 晴れればサハリンまで見える特別感
- 登山道の7割以上で海が見える
- フェリーで向かうから旅情がかきたてられる
- 集落から登山口が近くて余裕がある
- 利尻島のウニが美味い
- 利尻島のラーメンも美味い
同じく離島の百名山としては屋久島が有名ですが、利尻島はあちらとは180°違う性格です。
鬱蒼とした大森林を歩くか、明るい稜線を登るか。
南国の湿気の多い空気か、北国らしい透明感ある空気か。
ピークが幾つも連なるか、独立峰がスッと立ち上がっているか。
百名山の1番目と100番目に両方登ると、日本の広さがよく分かります。
私が初めて利尻山に登りたいと思ったのは、大学2年の時に原付(50cc)で北海道ツーリングしていた時です。留萌を出て北上していく中、日本海の向こうに利尻山が聳える景色は絵画的で、非常に印象に残りました。
あれから9年。海外旅行にのめりこんだりして中々行けず、でもいつか行くと思い続けて遂に登り、そして念願の景色も見れた。これだけ長い間ずっと登りたいなぁと思っていた山は他にありません。そういう訳で個人的には割と思い入れのある山なのです。
まぁそういう理由がなくても良い山ですよ。是非登ってみてください。
おわり