転がる五円玉 ~旅と城と山~

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2022年9月 キナバル山登山 1日目 登山口~ラバンラタ小屋

2022年の9月にマレーシア最高峰であるキナバル山に行ってきました!標高4095mと私にとっては初の4000m峰となります。渡航規制や標高など不安な点は色々ありましたが無事に登頂できましたので、一部始終をこの記事に書きました。是非ご覧ください。。

 

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9月20日夜、コタキナバルから移動して登山口近くの宿にいる我々は止まない雨音を聞きながら、小さなコテージで唸っていた。

天気が悪い……!f:id:harimayatokubei:20221113103200j:image

例年9月はまだ乾季なのだが、今年はちょっとおかしくて既に雨季っぽいらしい。今日は夕方から雨降りっぱなしなのです。いわゆるスコールという感じではない。

普段の登山なら「週末は雨か。なら止めよう。」とできるのですが、今回はそうはいかない。どれほどの雨が降ろうが登らねばなりません。じゃないと航空券代(4万円)と登山費用(6万円)がパーだ!

10万円パーは嫌だ……と思いながら運を天に任せて眠りについたのでした……。

 

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朝6時。気温は20℃くらいで熱帯とは思えないほど涼しい。f:id:harimayatokubei:20221023234017j:image

肝心の天気は……晴れ!!f:id:harimayatokubei:20221023234038j:image

おお、よかった。やっぱり雨の中登るのは辛いし嫌だからね。

7時前に宿を出て徒歩5分くらいの所にあるキナバル公園の入口に到着。

一人15MYRの公園入場料を支払って入場。

門の中からはキナバル山がドーン!!これはテンション上がるぜ!

山容は妙義山っぽいのですが、山頂が遠いこと遠いこと。雲をまとった姿が神々しく期待が高まります。

それはさておき登山の手続きをします。入口の中には公園事務所(左)と山小屋運営会社の事務所(右)があるので、まずは公園事務所へ。

抗原検査の結果を見せたり、登山許可証代やらガイド代やらを現金で支払います。

 

次に山小屋の事務所に行って昼食の受け取り。気になる中身は……?

リンゴと卵。いやいや潰れるでしょ。というか既に割れてるし。まぁ、ゆでたまごだろうし多少潰れても大丈夫か。

なお、水は500ml貰えます。既に4L持っているので、これで4.5Lになりました。ちょっと多いけど多い分にはよかろう。

 

昼食を受け取ってから今回の我々のガイドとご対面。おお?おじいちゃんじゃないか!まさか、と思ったのですが本当にガイドらしい。

(上の写真はこの後の登山口で撮ったものです)

話を聞くと御年72歳で50年ガイドしているとのこと。しかも昨日もキナバル山に登頂しているらしい。並みの老人ではなさそう。

いや~~~でも、俺らは剱岳早月尾根をCT7割で登れるんですよ?ついてこれるかなあ、、、まぁ急ぐ登山でもないし大丈夫か。と、この時は無駄に心配していました。本当に無駄な心配だったのはこのあと分かります笑

 

ガイドと対面したので、いよいよ登山口に向かいます。公園事務所から車で15分ほど移動。

標高1800mのTIMPOHON門(ティンポホン)に着きました。標高を上げたためかガスの中に突入しています。

フェンスに留まっていた鳥。名前はわからぬ。

 

門の前でガイドさんからこの先の行程の説明を受ける。

「キョウハ、ラバンラタ小屋マデ、イク」

「ふむふむ」

「6ジカン、クライ。ユックリ、ユックリネ」

「ほうほう」

「チュウショクハ、ラヤンラヤンで、タベル」

流石はベテランガイド。日本語も喋れます。韓国語とかも喋れそう。

 

昼飯のラヤンラヤン小屋までは標高差900m、ラバンラタ小屋までは更に600mくらい。6時間もかからず普段通りだったら4時間もあれば余裕かなー?との目算です。まぁ急いでもあんまり意味無いのでのんびり登りましょう。

↓下記より引用

www.nctravel.co.jp

 

トイレに行ってAM8時に出発。

5分ほどは緩やかな下りで、滝をすぎてから登りが始まります。

じめじめした静かな森を黙々と歩きます。

最初の5分くらいはガイドさんが先導していましたが、途中から私を先頭にしてくれました。

周囲の風景は日本とあまり変わらないですが、植物の濃度が高い気がします。

すごいフサフサの苔。触ると気持ち良い。

9時30分に最初の休憩所であるKandis小屋に到着。小屋とは言いつつただの東屋ですが、トイレ(紙付き)があるのが良い。万が一にも安心です。

初日は基本的には延々と続く樹林帯を淡々と歩くのみです。

ただ、一か所だけ視界が開ける痩せ尾根がありました。うおー、すごい迫力。でも先は長いなぁ。

3つ目だか4つ目だかの休憩所に到着。数人の登山者と抜きつ抜かれつ歩いていますが、出会うのは圧倒的にポーターが多いです。

この人たちは登山者のポーターではなく、山小屋の物資を運ぶポーターです。全部で30kgくらいは背負ってそう。ガイドさんは顔が広いらしくすれ違ったり追い抜いたりするたびに二言三言喋っていました。

 

ここでガイドさんがウツボカズラを発見。おおっ、植物に詳しくなくてもこれは知ってるぞ!

興奮して写真を撮っていると、ガイドさんが「イッパイ、ハエテル」とのこと。ははは、まさかそんなねぇ。

 

本当にそこら辺に生えてるー!!

wikipediaによるとボルネオ島では雑草的な植物らしいとのこと。これ以降はウツボカズラを見かけてもリアクションが徐々に小さくなっていったのでした……。

(でも、よく見ると1枚目と2枚目は違う種類っぽいですね。もっと詳しいとより感動できたんだろうなぁ。惜しいことをした。)

 

こういう事がありつつも淡々と歩いて、10時30分に昼食を食べるラヤンラヤン小屋に着きました。

気になっていたランチパックをオープン!

おっ、変なマレー料理でも入ってたらどうしようかと思ったのですが、割と普通の鶏肉です。普通に美味い。

昼食を食べているとリスが寄ってきました。かわいい^^

ガサッ!ガサガサッ!!

彡(゚)(゚)「おっ、なんや……?」

彡()(^)「あーっ、俺の昼飯!!」

そう、かわいい顔してこのリスは登山者の昼飯を狙う強奪者だったのです!

 

彡(゚)(゚)「これはやばい。おちおち飯を食べてる場合ではない!」

のんびり昼食のはずがリスの襲撃をおびえながらになってしまいました。ちなみにガイドさんは小屋の中で食べている模様です。

 

40分くらいたっぷり休憩して出発。ちなみに本日の登山道のほぼ全域で電波は入りますので、休憩中もネットし放題です。

 

相変わらずの樹林帯です。少しづつ植生が薄くなってきたかもしれない。

木々も5mくらいの低木が増えてきて、所々でキナバル山の山肌が見えてきました。

ほぼ標高3000mにあるVillosa小屋に到着。

流石に空気の薄さを若干感じます。気温もだいぶ落ちてきた感じ。植生はまだまだ旺盛で北アルプスの標高2000mくらいな感じです。

 

もうラバンラタ小屋は近いので休憩はそこそこにして出発。残り500mからラバンラタ小屋までは100mおきにこうした看板が立っていました。

が、山の100mは長い!全然看板が出てこなくてむしろウンザリてきた。。。

 

それでも黙々と歩いていると、遂に建物が出てきました。これはチェックポイントのようなもので、ガイドさんが手続きをしただけですが、、、

すぐにラバンラタ小屋があるPanalabanに到着。よっしゃー。12時45分なので、出発してから4時間45分ですね。

標高差1500m程度とはいえ、標高3300mまで上がるので結構疲れました~~。終始怪しい天気でしたが、なんとか雨に降られずに登れたのも良かったです。

 

ラバンラタ小屋の前でガイドさんから、明日は午前2時に出発する事を告げられて解散。どうやらガイド専用宿が近くにあるようです。

ネームプレートをスタッフに見せてチェックイン。まだ宿には全然人がいません。奥でスタッフが数人くつろいでいるだけです。

 

宿内部は普通のしゃれてるゲストハウスという感じですね。流石は高級リゾートが運営しているだけある。

部屋はこちらの4人部屋です。この部屋で1人45000円。世界一高い相部屋で間違いない。まぁベッドは快適だし意外にも寒くない点はGOODです。ただ、電気は夜と朝しか無いらしい。

部屋着に着替えてだらだらタイム。ベッドでのんびりツイッターでも見ていたら外ではザーッと雨が降り始めました。早めに歩いておいてよかった。

雨音を聞きながらついウトウトしがちなのですが、これはまずい。高山で昼寝はご法度なのです。息が浅くなって酸素吸入が足りなくなり高山病になります。漫画を読みつつ眠気に耐えます。ちなみにシャワーもあるのですが、ただの冷水だったので断念しました……。眠気覚ましには良かったかも。

 

2時間ほど経ったら雨が上がったので外に出てみます。

やっぱり改めて見ても岩の迫力がすごい。涸沢から眺める北アルプスを優に超えるような壮大さを感じます。

水が山肌を流れて滝みたいになってる。

陽に照らされてぬめっと輝く岩肌が良い。一体どれほどの高さの斜面なのだろうか……。

2時間くらいの間、晴れたり曇ったりしていましたが徐々に雲が多くなり、キナバル山は再びガスの中に隠れてしまいました。

 

16時頃に同室のタイ人の青年が到着。雨がすごくて大変だったとのこと。結局は4人部屋に3人になりました。

16時30分から夕食の時間です。宿泊客が全員出てきて大混雑!!ウッヒョ~、コロナなんて関係ないぜ!!(全員抗原検査で陰性です)(よそうのはスタッフです)

10種類くらいあってどれも美味しい。日本人の私が美味しいというのだから相当美味しいはずです。焼きそば?みたいなのも良いし、オムレツ、マッシュポテト、ローストチキンどれもガツガツ食べれるクオリティでした。

食後の紅茶とデザート。これは多分タロイモゼリーです。マンゴーゼリーもあったけど早々に無くなってました。残念。まぁこっちも美味い。

紅茶を5杯ほど飲みまくります。水分を沢山摂ることは高山病予防の第一歩。神々の山嶺で習った。

 

夕食を食べ終えると外は既に暗くなっており、ザーザーと雨が降り続くばかりとなっていました。ベッドでアニメを見つつ休んで、19時過ぎには就寝。

明日はいよいよキナバル山アタック。午前1時起きです。雨が止みますように……。

 

つづき

harimayatokubei.hatenablog.com

スーパーカブ110で行く 6月の北海道一周ツーリング その2 羽幌ー稚内ー利尻島

6月17日 羽幌~稚内~利尻(鴛泊) 走行距離:140㎞

 

9時間睡眠して起床。さて今日の天気は?

おおっ、晴れ。素晴らしい。

7時くらいに朝食を食べます。

めっちゃ美味い。特に焼鮭がやたらジューシーで美味しいのは流石北海道です。

今日は130㎞先の稚内まで走り、14時30分発のフェリーで利尻山に登ります。休憩含めて5時間もあれば余裕で行ける距離感。

 

朝8時に宿を出発。

羽幌を出て淡々をオロロンルートを北上します。緩やかなアップダウンが続く非常に走りやすい道です。

個人的にはこのルートは自動車も含めると7度目ですが、毎回すがすがしい気持ちで走れています。日本でも有数の快走路と言って間違いない。

 

沿道から畑が消え、牧場が多くなってくる頃合いに天塩に到着。ところが、雲行きがどうにも怪しい。これは雨具の出番か……?と思ったのですが、あの雲が一向に陸に来ない。というか、陸に来ると消えてる?

どうやら濃い海霧になっており海の上と海から50mくらいだけを覆っているようです。

天塩川河口大橋の手前から眺めると、海に面した橋の向こうに濃い霧があるのがよくわかります。

ここまでのオロロンルートは日本海から500mほどの所を走っているので概ね晴れていましたが、天塩から先は海に接近するのでご覧の有様です。

さっきまでの晴れはどこへ……。有名な風力発電所群も足元しか見えん。

このまま北上しようかと思ったのですが、あまりにもつまらない。なので、内陸に行って色々寄り道してみようと思います。

まず訪れたのは幌別展望台。ビジターセンター併設の展望台ですが、無料で登れます。

5階建てビルくらいの高さがあるので結構怖いのですが、展望は抜群の一言。

広大なサロベツ原野が広がる日本離れした光景。普段は水平線が見えるのですが、今日は猛烈な海霧が横一線に広がってますね。

その霧の向こうには薄っすらと利尻山が見えます。

やっぱり良い山だなぁ・・・( ^ω^)明日の天気もたぶん、晴れ。

これはもう明日は山に登るしかない!急遽ですが利尻山登山決定です。

 

展望台を降りて次の観光地へ。この辺りは何もないように見えて観光地がポツポツと点在しており、ツーリングすると結構楽しいエリアなのです。

15分ほどでトナカイ観光牧場に到着。日本では珍しいトナカイを見れる所です。



なんか人影が少ないなぁ?でも6月の平日だしそれはそうか……と思って入口に行くと

臨 時 休 館



オーマイガッ!コロナ許すまじ。

仕方が無いので周辺の道路を適当に北上します。天気が良いのが幸いだぜ……。

当然ながら牛もいます。周辺の看板によると、町が管理している大規模草地とのこと。

それにしてもいい天気だ。ここ辺を走るときはだいたい海沿いですが、内陸も素晴らしいんですねぇ。サロベツリフレッシュロード、おすすめです。

草地の道をズンドコ進んでいると展望台があったので寄り道してみます。

おっ、中々良い景色。利尻山が真正面に見えており美しいですね。海霧もちょっと薄くなっている気がする。

しかし、展望台を出てから海沿いに向うとご覧の通り。こういう曇天の中を原付で走っていると、もやもやした不安感に襲われるので曇りは嫌いです。

折角なので近くにある抜海駅に寄ってみました。南稚内の一つ南の駅で、日本最北の木造駅舎として一部で有名です。

外側から見ると普通の家っぽいですが、ホーム側から見ると実に渋い。

濃い海霧と誰もいないホームから漂う最果て感。

本当は列車で来るべきなのですが、中々都合がつかないのが残念。

 

抜海駅を出て15分も走ると、稚内市街地に入ります。市内で昼食でも食べようとしましたが、時間がないので先にフェリーターミナルに行きます。

原付積み込みの受付をしたら20分ほど余ったのでターミナルで昼食。カツラーメンなる謎の食べ物ですが、意外と美味い。

時間になったので原付を積み込んで船内へ。車両積み込みすると徒歩勢よりも先に船内行けるので優越感があって良い。船内は登山者っぽい人が多かったです。

出航後も濃い海霧の中をひた走ります。景色は無いので昼寝タイム。

1時間40分後、利尻島に到着しました。車両甲板にある原付ですが、倒れないようにロープでガッチリ固定されます。運賃は車より安いのに手間は多くてなんだか申し訳ない。

利尻の鴛泊港です。実は3年連続3回目の上陸なので特に新鮮みはない。

今日は港近くのうみねこゲストハウスに泊まります。1泊3800円とリーズナブルで助かる。こういう離島は宿の値段が高くなりがちなのでね。

部屋からは利尻山が見えるはずですが、まぁご覧の通りです。北の果てにしては生暖かい海霧が全てを覆ってます。

ところが、「宿の方に霧やばいっすね~」みたいに話しかけたら島の北の方は晴れてるとのこと。マジで??まぁ原付もあるしちょっと行ってみるか……。

 

マジだった。ド快晴なんですが……。

どうやら、北海道と利尻山の間だけに海霧が溜まっていたようです。

利尻空港付近の道でしばし写真撮影。

大変素晴らしい。テンション上がったので別の利尻山がよく見えるスポットにも行ってみます。

 

向かったのは鴛泊港から原付で10分ほどの所にある姫沼園地

ここからは姫沼に姿を映す利尻山が望めます。

非常に美しい。深緑の木々もとにかく見事で、北欧のような上品な景色になっています。

大変満足しました。そろそろ宿に戻って明日の利尻山登山の準備でもします。

 

夕方18時半ころ、海霧が多少引いて宿からも利尻山が見えてきました。

これはこれで幻想的で良い。やっぱり利尻はいい所です。

夕飯と明日の行動食の買い出しのためにセイコーマートへ。

おにぎりでも買おうと思ったのですが、なんと全て売り切れ!パン類は残っていたので、明日の登山は菓子パンで食いつなぐことになってしまいました。こういうのは離島の辛いところですね……。

 

宿に戻って夕食を食べていると他の宿泊客が来ましたが、特に話すことも無く食べ終わって部屋に戻っていきました。なんだか全てが静かな夜です。でもこれはこれで一人旅らしくていい。

 

明朝は4時起床。天気予報は晴れ。期待十分。ワクワクして眠れんかと思ったのですが、意外と疲れていたのかすぐに眠りました。

 

つづく