2019年ローマ旅行 ~サン・ピエトロ大聖堂
ファ〜良く寝た……。今回の宿はマンションの中庭に面しているのでとても静かです。微かに聞こえる鉄道の音を聞きながら食べる朝食は美味い!
ヴァチカン市国へ
さて、ローマ 2日間のうち、1日目はヴァチカン周辺、2日目はコロッセオ周辺を周ります。今日はヴァチカンへ行きます。
まずはテルミニ駅。ローマは地下鉄がX字に通っており、ヴァチカンへは北西に伸びるA線で行きます。
ローマという大都市は大都市でありながら地下鉄が2本しか通っていません。これは地下に遺跡が多すぎるから、というのは有名な話です。
地下鉄はほどほどの混み具合。スリを警戒しつつ乗り込みます。それにしても車両が汚い……。
サン・ピエトロ広場
Ottaviano駅で降りて南に歩きます。観光客が多いので流れに乗せられて10分ほどフラフラ歩くと、突然広場に出ました。
!?
ス、スゲェ!!!広い、広すぎる。それにとにかく壮麗さが半端ではない。周囲を囲む大理石の巨大な柱、中央にそびえるオベリスク、そして奥に鎮座するサン・ピエトロ大聖堂。全てが大きく、綺麗……。
それによく見たら柱の上には彫像も乗っていますね……。この円柱の高さは18.3mで、全部で248本あります。本当に凄い。基礎だけで人の背丈以上ある柱がこれだけあるととにかく圧倒されます。古代ローマのフォルム(広場)はこういう雰囲気だったのでしょう。
中央にあるのはカリギュラのオベリスクです。サン・ピエトロ広場のど真ん中にまるで軸のように立っており、場を引き締めています。
このオベリスクはエジプト第12王朝のファラオが建てたものをカリギュラが輸送して設置した、と言われていますが実際にはよく分かっていないようです。というのもこのオベリスクにはヒエログリフの碑文が無いのです。実はローマ帝国時代に作られた模造品オベリスクも実は世界に何本かあります。これも模造品なのでは、という説もあったり。
サン・ピエトロ大聖堂
さて、サン・ピエトロ大聖堂に入ります。が、朝っぱらなのに大行列。流石はカトリックの総本山です。
30分ほど並んで大聖堂の前まで来ました。でかい……ですね……。この聖堂のファザードは巨大感を感じるものではないので遠目にはあんまり大きく感じなかったのですが、近くに来ると大きさがよく分かります。
上にはキリストと十二使徒の像(大きさ5.7m!)が並んでいます。このように彫像や装飾で建物を飾り立てるのはバロック様式の典型例です。柱の使い方も実に印象的です。端から角柱→半円→正円と徐々に迫り出すようにデザインされており、聖堂中央が迫り出すような雰囲気があります。
そもそもファザードの柱は地上から一番上の梁まで通して使うものでした(例:パルテノン神殿)。しかし、ここでは柱の上にもう一層付け加えられています。それに本来なら屋根である破風も単なる壁の装飾と化しています。こうした伝統の打破もバロック建築らしい所です。
柱と柱の間から中に入るとまずはポルティコ(玄関廊)に入ります。たかが玄関先なのにこの豪華さ。今回は「秘蹟の扉」から入ります。
さて、扉を潜って中へ。
おぉ……!広い……!!
流石カトリックの総本山です。巨大さ壮麗さ、どれを取っても私の人生史上最も感動的な建築だと思います。アヤソフィアでも感動しましたが、あちらは「1500年前から残っている」事実もあっての感動でした。しかし、こちらは純粋に建築物の偉大さで感動しています。
身廊を進んで奥に向かいます。さて、ここは紛れもなく聖地なのですが、別の意味での聖地でもあります。
身廊中央から中央を見つつ視線を傾かせると……
!!
SSR[神話と幻想の紡ぎ手]神崎蘭子とほぼ同じアングルで写真を撮れます。そうです、ここはデレマスの聖地であるのです。
それはともかく、中央のドーム下まで来ました。サンピエトロ大聖堂は入口からドームまでが長い、いわゆるラテン十字型をしています。実はミケランジェロの設計では十字の長さが同じギリシア十字構造でした。しかし、ミサを遂行する場所が無いなどの不都合が指摘されたため、入口に伸びる身廊だけが伸ばされました。
このような改造によりミケランジェロの設計とはかなり違った雰囲気です。それでも違和感を感じさせないのは当時の建築家の努力の賜物でしょう。
大ドーム下には聖ぺテロの墓と、それを覆うベルニーニの天蓋があります。
柱全体がこれでもかと捻れており、装飾性を重視したバロック美術を感じます。ちなみに上の写真右端には聖ロンギヌスの像があります。この他にも様々な聖人の像が配置されており、とにかく圧倒されます。
奥で光っているのは聖ペテロ司教座です。正面から見るとベルニーニの天蓋が額縁のようになっています。
巨大な扉から潜り、巨大な空間と左右に連なる聖人の像を見つつ奥に進み、柔らかな光が差し込む大ドームに着く。そこには聖人に見守られて聖ペテロの墓碑が存在している。さらに奥には神の光が煌めく元に聖ペテロの司教座が鎮座する。
全てはバロックの天才ベルニーニの設計です。人を感動させる事に特価しており、キリスト教芸術の一つの極地にある事は間違いありません。
司教座に近づこうとしたのですが、柵があって不可能でした。回れ右をして玄関に戻ります。身廊の東側には非常に有名な「ミケランジェロのピエタ」があります。
凄い人だかりで近づけません!!それに泣いている人までいます。
このミケランジェロのピエタはゴルゴダの丘で磔刑になったキリストの亡骸を抱く聖母マリアを題材にしています。
しかし、それにしては聖母マリアが若すぎる気がしませんか?この指摘に対してミケランジェロは「マリアは純潔だから若々しいのだ」と述べたそうです。それに、キリストよりも聖母マリアの方が明らかに体格が大きい!このように不自然な点も多い彫刻です。
が、正直言ってそんな事はどうでもいいのです。ここまで抑制と調和のとれた完璧な彫刻があったでしょうか。単なるリアリティを完全に超越しています。素晴らしすぎる。
ちなみにミケランジェロがピエタを製作したのは24歳だったそう。人類史に名前が残る天才はレベルが凄まじい……。
上の写真は望遠レンズで撮影。もっと近くで見たかったが、本当に人が多すぎたので断念。
ピエタは圧倒的ですが、この他にも超一級の彫像がいくつも飾られています。これはインノケンティウス12世の墓碑です。
この他、(名前がよく分からない)聖人たちの像。
こんな素晴らしい像が柱ごとに配置されている訳です。もうとんでもない事ですよこれは。像を一つ一つ見ていると眩暈しそうだったので外に出ました。
大聖堂の出口にはスイス衛兵が立っています。そして手に持っているのはハルバードですね。戦艦の名前ではない。
再びオベリスクの前から大聖堂を撮影。入場列はますます伸びていて広場を半周していました。
いつの間にか入場して2時間も経っていました。凡百の教会を全て超越する圧倒的なスケールと芸術性がとにかく素晴らしい。私なんかの写真ではその魅力の1%も伝わりません。ここは自分の目で見るべき場所だと思いました。
さて、若干休憩をして次はヴァチカン美術館へ行きます。こちらも世界レベルの美術が集まるとんでもない場所らしいので、心して向かいます。
つづく
harimayatokubei.hatenablog.com