転がる五円玉 ~旅と城と山~

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2019年2月イスタンブール旅行記:ストゥディオウス修道院とイエディクレ、そしてテオドシウスの城壁

小さなモスクを後にして、イムラホム・イリアスベイ通りを南西に進みます。北側と違って陽が差しこんでおり、賑やかな雰囲気です。

そんな大通りから10mほど路地に入るととある廃墟が見えてきました。

コンスタンティノープル 最古の教会

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これはストゥディオウス修道院(イムラホル・モスク)跡です。実はこの修道院は西暦460年ころに創立された、コンスタンティノープル最古の教会建築なのです。

この修道院は実に紆余曲折の歴史を経ています。8世紀に聖像破壊運動に反対して解散状態になるも、復活。しかし、ラテン帝国による占領で再度解散状態に。そして再び復活するもオスマン帝国による占領でモスクに改装されます。しかし、度重なる地震や火災で損害を負い、1920年についに放棄されてしまいました。

放棄されて100年経った今では大木が生えている有様です。最近はイスタンブールビザンツ遺跡を積極的に修復している政府もここには手を出していないようです。

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屋根は消え失せましたが、壁は残っています。非常に大きく、そこらの教会との格の違いを感じます。

裏側は小さい公園になっており、建物の奥側が良く見えます。ここから見ると非常に教会っぽいですね。
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残念ながら中に入ることはできません。覗き込もうとしたら犬が5匹程度いてめちゃくちゃ吠えられました。怖すぎる。

コンスタンティノープル最古なのですが、廃墟なので非常に地味な遺跡になっています。

 

メフメト2世の要塞 —イエディクレ―

引き続き大通を南西に進むと、再び大城壁が見えてきました。とうとう、大城壁の南端にあるイェディクレに到着です。

実は今歩いていたイムラホム・イリアスベイ通りはコンスタンティノープル時代もメセと呼ばれた大通りで、城壁の「黄金門」に繋がっていました。しかし、メフメト2世が黄金門を囲むように5角形の城壁と塔を建設して要塞化しました。この要塞がイェディクレです。

下の写真の城壁はメフメト2世が作ったものなので、特に崩壊はしていませんし、ビザンツ時代に作られた大城壁よりもスマートな印象です。
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門に着いたのですが、閉まっていました。どうやらここも整備中のようです。残念。
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油断大敵

どこかに別の入口は無いか……と思い要塞の南側まで歩いていきました。
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廃材置き場になっており、普通の観光客が来るような場所ではありません。遠くの方でデカい犬が吠えているので踵を返したしたその瞬間、背後から何かが走るような音がしました。

ん?と思い振り返ると、

犬が

こっちに

走ってきた!!!

うおおおおお!?これは、マジでヤバい!

全力疾走で逃げます。が、本気で襲ってくる犬を引き離せるわけありません。数歩もいかないうちに犬のタッタッタという足音がすぐ近くまで迫ってきました。

このままでは襲われると思ったので、犬を威嚇して追い払うことを決意。振り向きながら、たまたま手にしていたiPadを横に薙ぎ払います。なんとそれが犬の顔面にクリーンヒット!変な声を上げる犬を睨みながらじりじり後退すると犬は戻っていきました。

 

・・・・・・こ、怖かったぁ~~。本当に危ない場面だった……。旅行中はかなり用心深く行動する方だと思うのですが、遺跡を目の前にして自分が制御できなくなっていました。あまりにもうかつ。反省。

 

テオドシウスの城壁

10分ほど茫然としてから要塞の北側に回って城壁の外に出ました。下の写真の門はオスマン帝国時代に作られたようです。

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ここから横を見ると、大城壁の構造が非常によく分かります。2重の壁と2重の堀に守られており、槍や剣が主体の兵士が正攻法で破るのはまず不可能でしょう。
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う~む……マジですごいな。

黄金門を正面から見たい!と思い周辺をうろうろします。どうやら門の対岸は墓地になっているようです。なんとなく手を合わせながら墓地の端っこまで来て、撮影できました。
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左右の塔が威圧感を醸し出しています。昔は金色の扉あったそうです。柱も装飾が施されており、帝都コンスタンティノープルの正門としての威厳を備えています。
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メフメト2世はなぜこの門を要塞にして廃止したのでしょうか?正直言ってかなり謎です。海に近いこの門が弱点だと思ったから?

城壁の外は整備された道路が通っており、内側のような危険性はあまり感じません。それに、要塞をバックに国旗がはためいて実に絵になります。
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そして横を見ると大城壁が!!大変に素晴らしい眺めです。幾重にも重なる塔が良い!
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塔は殆どが半壊しておりウルバンの大砲の威力がいかに凄まじかったかよく分かります。
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メフメト2世が攻め寄せた1453年から殆ど変わっていない景観なのではないでしょうか。こういう遺跡が殆どそっくり残っていることこそが、イスタンブールという街の偉大さを良く示しています。

 

や~途中で死にかけたけど大満足です。この近くにはマルマライという鉄道が通っているので、これでシルケジ駅まで戻ります。

 

つづく

harimayatokubei.hatenablog.com

今回訪れたところ

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本当にデンジャラスだった……

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帰りに使用したマルマライの駅。4ドアロングシートで日本の鉄道に近い。

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