転がる五円玉 ~旅と城と山~

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2019年2月イスタンブール旅行記:オスマンのシェフザーデ・モスクとビザンツのカレンデルハネ・モスク

ラーレリ・モスクで20分ほど佇んでいたら雨が上がったので、北へ歩き出します。この辺りはイスタンブール大学があるため若者が多いですね。

 

シェフザーデ・モスク

大通りの向こう側に多くのドームを持つモスクが見えてきました。

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これはシェフザーデ・モスクと言います。オスマン至上最高の建築家であるミマール・シナンが初めて手がけた大規模モスクで、1548年に完成しました。

このモスクはやはり内部空間の統一性が特筆されます。アヤソフィアでは大ドームに付随する半ドームは前後の2方向ですが、このモスクでは4方向に存在します。そして、その半ドームの下には更に2つの半ドームが付随します。
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これによって、頂点の大ドームから一番下の半ドームまでリズミカルに連続した空間を形成しています。デザインが極めて対象的であるため、どこが入口かすらはっきり分かりません。

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大ドームは4つの巨大な柱によって支えられていますが、背景のドームと同じデザインであるため、モスク内の空間に溶け込んでいます。

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キリスト教の教会とは違って柱が全く主張していません。柱の上部には細長い筋のような掘り込みがあり、垂直性が更に強調されています。

 

また、その色彩も魅力的です。パキッとした色合いのアーチに対して、ドームは緻密な装飾に彩られています。窓が小さめなので柔らかい光が堂内を包んでいます。
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このモスクはスレイマン大帝が天然痘で死んだ息子を悼んで建設されました。皇子らしい豪快さと霊廟のような落ち着きを両立している素晴らしいモスクです。このモスクはミマール・シナン曰く「練習台」だったとのこと。ここまで完成度が高いのに練習台とは・・・・・・。天才とは恐ろしい。

ちなみに、シナンが設計した名宰相リュステム・パシャの霊廟もあったようなのですが完全に見忘れました。残念すぎる。

 

カレンデルハネ・モスク

シェフザーデ・モスクから東に徒歩3分ほどの距離にレンガ造りの建物があります。これは、カレンデルハネ・モスクといいビザンツ帝国時代はクリスト・アカタプレトス修道院の付属教会という名でした。

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とにかく壁が大きい印象を受けます。先ほどのシェフザーデ・モスクと違ってひたすらにゴツい感じです。

屋根の雰囲気が御茶ノ水にあるニコライ堂とそっくりです。

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こういう所で文化の連続性が分かるのは面白いですね。

 

建てられた10世紀前後はビザンツ帝国が東地中海の大国として君臨していた時期です。

しかし、アヤソフィアと比較すると小さく地味なイメージがします。これは国家の公共工事ではなく、貴族や皇帝の私的な工事として建設されたためです。日本も古代は巨大な寺院や大仏を作っていましたが、中世は金閣のような有力者の私的な建物ばっかりになってましたし、そういうものなのでしょう。

西側に入口があります。ビザンツの教会は東側が奥で、西側が入口のことが多いですね。

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入口付近は漆喰で塗り込められていますが、ところどころで古代の装飾やモザイクが顔を出しています。

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中に入ってみるとビックリ。外見からは想像もつかないほど天井が高いです。
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今まで訪れた元教会のモスクは綺麗に漆喰で塗装されていたのですが、ここはレンガが剥き出しになっています。それにしても壁のアーチが非常に分厚い。ドームよりもこのアーチの方が印象深いですね。

壁面の窓は真ん中のものだけが細長くなっています。とにかく上へ上へと視線が誘導される建物です。その薄暗さも相まって、海の底から上を眺めているような感じすらあります。

 

古代ローマの邸宅にあるララリウム(神棚っぽいもの)が壁にありました。
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ちなみにカレンデルハネ・モスクの近くにはヴァレンス水道橋が通っています。大通りを跨ぐ姿が有名ですが、こういう住宅街の中にも続いていたんですね。
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次はミマール・シナンの傑作であるスレイマン・モスクに向かいます。
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イスタンブール記事恒例の野良猫。やけに毛並みがいいな・・・・・・本当に野良か?

 

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つづく

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