転がる五円玉 ~旅と城と山~

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2019年2月イスタンブール旅行記:アヤ・ソフィアを巡る

金角湾を渡ってシルケジ付近で昼食を食べます。この辺りは観光客も少なめで飯屋もあまり高くない模様。

 

昼食を食べ終わって、トラムに沿って坂道をぐいぐい上がります。

丘の頂上には広場があり、その北側にアヤソフィアは鎮座しています。

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西暦537年完成。東ローマ帝国時代はコンスタンティノープル総主教座の大聖堂で、オスマン帝国時代には帝国内で最高の格式を持つモスクでした。現在は宗教から開放されて博物館となっています。

十字軍やコンスタンティノープルの陥落といった幾つもの危機を乗り越えた偉大な建築です。

Wikipediaにも

イスタンブールの辿ってきた歴史の変遷を考えれば、この教会堂が遺っていること自体、ほとんど奇跡であると言って良い。

とまで記されています。

個人的にはアサシンクリード・リベレーションズで何度も目にしているので思い出深い所です。

 

さて、13時くらいに着いたので入口はそこそこ並んでいます。とはいえ2月下旬のオフシーズンなので5分くらいで入場できました。
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中国人の団体が多い!引率のガイドに連れられている様子は一昔前の日本人のようです。

 

入口付近には歴史がありそうな石柱が幾つもあります。説明板が無いので何がなんだか分かりませんが……。
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広場からは見えない方(西側)から入場します。壁を支える控え壁(バットレス)が大きいため、アヤソフィア自体はあまり見えません。なんだか要塞っぽい感じです。
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中に入りましたが、大きい廊下にまずは出ます。とにかく大きい!天井が見上げるような高さにあります。
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廊下を横切って、高さ10mはあろうかという扉をくぐると、中央ドームに出ます。


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おーーーーーーう……おぉぉ………凄い……

とてつもなく広いです。外からは到底そうは思えないような巨大空間にひたすら驚きしかありません。

 

ライブの時にスタジアムやアリーナに入ると中が広くて感動するじゃないですか。アレに近い感覚です。

いや、もう、とにかく天井がひたすらに高い!

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築1500年以上とは思えません。さいたまスーパーアリーナより大きいんじゃないか……これ。あまりに凄すぎてため息しか出ません。これは相当凄い、凄すぎる。

や~ここでユスティニアヌスが「ソロモンよ!我は汝に勝てり!!」と叫んだかと思うと大変胸熱ですね。

 

上ばっかり見ていてはなんなので、下を見ます。

すると、謎の円がありました。これは東ローマ帝国の皇帝が戴冠していた場所です。20世紀にモスク時代の絨毯を剥がしたら出てきたようです。
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入口の反対側に行くと、メッカの方向を示すミフラーブと猫がいました。
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この猫はグリという名前でアヤソフィアの名物猫です。オバマ大統領がもふって一躍有名になったとかなんとか。

猫とミフラーブの遥か上には聖母マリアのモザイクがあります。イスラムを象徴する設備の上に聖母マリア……。アヤソフィアの複雑な歴史が垣間見えます。
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1階は見たので2階に行きます。スロープは初めの廊下の端っこにあります。
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長年に渡って沢山の人が登ったため敷石がツルツルになっています。

 

2階のテラスから中央を眺めます。大空間をより俯瞰的に体感できます。ライブのスタンド席ですね、ここは。

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1階から見たマリア様は遠くにいましたが、2階のモザイクは間近で見ることができます。

まずはこちら。「デイシス」
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キリストの顔が立体的に描かれています。中世の絵画はどちらかというと素朴で平面的な印象を持つものが多いのですが、これに関しては全く別次元の技術力で製作されたことが分かります。

 

奥に進むと他のモザイクがあるのですが、なんと修復工事中で間近で見れません!!くぁー……運が悪い。

手元にある200mm望遠でなんとか撮影します。

キリストと皇帝コンスタンティノス9世、皇后ゾエ
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聖母子と皇帝ヨハネス2世コムネノス、皇后エイレーネー

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これら2枚のモザイクは構図が非常に似ています。左の皇帝が金貨を差し出し、左の皇帝が巻物を差し出しています。これは教会に寄進した記念と言われています。

これらのモザイク画は金モザイクがキラキラと鈍く輝いており、えも知れぬ神々しさを演出しています。どうやらモザイクの角度を微妙に調節しているようです。

このような2次元の絵なのに3次元の工夫がある点が、モザイクの面白いところですね。

 

絵だけではなく、天井にも所々に幾何学模様のモザイクが残されています。こっちは素朴な雰囲気を感じます。
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2階の端っこにはやけに傾いた柱があります。アヤソフィアは何度も大地震に見舞われているので、その際に傾いたのでしょうか・・・・・・??

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テラスの壁には明らかに十字架が削り取られたレリーフがあります。これはキリスト教の大聖堂からイスラム教のモスクに改修された時のものだと思われます。
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 しかし雑に削ったせいで逆に十字架が浮かび上がってますね。

 

2階は大体見たので1階へ戻ります。さっきのスロープではなく、反対側にある階段を降ります。この辺りではそのままの壁が見られますが、レンガに対するモルタル?の厚さに驚きです。半分以上じゃないか……。
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1階も2階も一通り見終わりましたので、初めの廊下の南側にある扉から退場します。太陽が見えてきたあたりで振り返ると、最後のモザイクが見えます。

「聖母子、ユスティニアヌス1世とコンスタンティンス1世」
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 これは右が「コンスタンチノープルを捧げるコンスタンティヌス」左が「アヤソフィアを捧げるユスティニアヌス」です。中世ギリシア語ですが、なんとなく文字も読めます。

 

という訳で、アヤソフィアを堪能しました。

ピラミッドやコロッセオのようなアヤソフィアよりも古くて立派な建築はいくつか存在します。しかし、それらは「忘れ去られた建築」であり、本来の機能役割は推測するしかありません。

それに対して、アヤソフィアは完成から今日に渡って、常に人々の崇敬の対象になってきました。そのため大きい戦いに何度か巻き込まれましたが、今なおイスタンブールの地に存在しています。

積み重ねてきた歴史の厚みがとてつもなく重い場所でした・・・・・・。

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まぁそんな風にとっても良かったアヤソフィアですが、中の大ドームが工事中だったのが心残りです。なんかアヤソフィアをモスクに戻す話もあるとかなんとか。

勉強し直して、近い時期にもう一回行かないといけませんね、これは。

 

つづく

harimayatokubei.hatenablog.com