転がる五円玉 ~旅と城と山~

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西南周遊フリーきっぷ使用で高知・愛媛旅行 Part4:大洲城と下灘駅

宇和島駅を出てか40分後、列車は大洲市を流れる肱川を渡ります。橋からはこれから行く大洲城天守もバッチリ見えます。

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どちらかというとずんぐりとしたシルエットですね。下見板張りの黒い壁も相まって武骨な雰囲気です。

 

川を渡るとすぐに伊予大洲駅に着きました。城下町のご他聞に漏れず駅は城下町から少し離れています。2kmあるので歩くのにはちょっと辛い距離感。

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駅から200mほど離れた場所にある自転車屋「二宮自転車店」でレンタサイクルを借りました。自治体のレンタサイクルではなくて自転車屋なので、整備もかなりしっかりしていました。

 

肱川を渡って大洲城へ行きます。大洲城は川沿いに面している平山城です。例によって平地にあった三の丸の遺構は殆ど隠滅しています。

最初に見えてきたのは二ノ丸櫓下御門の跡です。ごく普通の枡形門ですね。
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この門を通ると下台所と天守が見えます。台所は櫓とかではないのですが、真っ白な総漆喰で化粧されておりものすごい迫力があります。
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このあたりには二ノ丸奥御殿の石垣も民家の裏に残っています。民家が建っているあたりは内堀跡ですね。
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スロープを登ると井戸丸の石垣が見えてきます。おそらく大洲城で最も立派な石垣でしょう。
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ちなみに左の斜めになっている石垣も当時のままのようです。

本丸の入口である暗がり門跡です。枡形でもないので、防御はやや薄い印象です。
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本丸からは大洲城天守が見えます。

……一階がやけに大きいですね。天守特有の重厚感をあまり感じません。それに、何故か下見板張が一層目にはないためか反対側から見た時より白い印象です。
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天守は再建ですが、連結されている左右の櫓は現存の重要文化財です。

 

天守内に入ります。いきなり置いてあるのは雛形です。実に精巧です。
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復元天守であるためか内部はピカピカです。あと30年もすれば風格も出てくるのでしょう。
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天守4階からは本丸と城下町が一望できます。本丸はガランとしている印象ですが、往時は多聞櫓が立ち並んでいたようです。
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天守最上階は層塔型天守らしく開放感皆無です。復元に際して安易に高欄を追加しなかったのは素晴らしい判断だと思います。
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天守内には復元に関する資料が展示してあります。
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付属の台所櫓も見てから外に出ました。

それにしても破風が多い城ですね。天守には各層に必ず破風がありますし、手前の高欄櫓には外側の2辺に小さい唐破風があります(本丸側に破風は何故か無い)。

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肘川の方へ降りました。天守はこのアングルの方が立派に見えますね。

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ところで1層目に千鳥破風2つ、2層目に千鳥破風1つ、3層目に唐破風という配置は名古屋城天守と同じです。建造時期もおおよそ同じですし、破風を盛るのが流行した時代だったんですかね?

 

一旦城を出てから川沿いへ降ります。本丸の東には現存櫓である苧綿櫓があります。この「苧」という漢字は“からむし”と読みます。”芋”ではない。読めねぇ……。

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苧綿櫓とその石垣は堤防の一部を構成しているため往時よりも3mほどカサ増しされています。石垣の色で分かりますね。それにしても、石落しだけ下見板張りになっているのな何故でしょうか?珍しいですね。

堤防上には塀が長々と設置してあります。おそらくは近年のものですが、見事です。

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最後に行くのは三の丸南隅櫓です。大洲城の三の丸全体が市街化していく中で、奇跡的に残りました。地味に大洲城最古の建築物です。

特に固有の名前がある訳でもない地味で小さな櫓です。下手したらうちの土蔵より小さいですね。

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公園内にあるためか内部も入れます。どうやら、この櫓が建てられた時は藩が財政難で、柱を細くしたりと様々なコストカットが実施されたようです。

内部の壁は土のままです。普通は上の写真のように漆喰になってるものですがねぇ。

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微妙な埃っぽさも相まって民家の倉庫のようです。

現存櫓は普通は巨大なものが多いのですが、この櫓のような小さい現存櫓はごく少ないと思います。非常に地味ですが、小藩の典型的な櫓の1つとしての価値は非常に高いと思います。天守からちょっと離れてますが是非とも訪れて欲しいですね。タダだし。

 

2時間くらいで大洲城を見て駅に戻ります。

15時35分発の松山行きに乗車して下灘駅に行きます。

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伊予大洲からしばらくは普通の農村を走りますが、伊予長浜を出たら海が目に前に広がります。

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五能線も海から近いですが、こっちは高台を走るため眺めがすこぶる良いです。開放感がある。

 

伊予大洲からちょうど45分で下灘駅に着きました。

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評判どおりに眺めが良いですねぇ……。

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ホームの屋根がなんとも言えない雰囲気を醸し出しています。

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 この下灘駅は夕陽が美しいことで有名なのですが、駅自体は北西を向いているため、冬は沈む夕陽を見ることができません!!

日没15分くらい前に「アレ?これ夕陽みれなくね?」と思ったら案の定でした……。下灘駅で夕陽を見たい人は夏場に来ましょう。

 

なお、駅前には駐車場があり、常に観光客の車が止まっていました。写真からは除いていますが、常に20人くらいは車で来た観光客がたむろしていました。写真撮影も譲りあっています。

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まぁ……車で来るのも結構なことですが、ここはなんだし鉄道で訪れるべきであると私は思いますがね。

 

日もすっかり沈んだ黄昏時に伊予灘ものがたりが到着しました。乗客がゾロゾロ降りてきて駅は一瞬だけど大いに賑わいます。

実を言うと海沿いで風が強いので結構寒いのです。できればこれに乗りたかったが、全席指定なので見送りました。
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微かな残照に照らされるホームがノスタルジックで良い感じです。
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車で来た観光客の多くは日没後に帰ってしまいましたが、実に勿体ない。夕暮れは陽が落ちてからが最も美しいのに……。

 

とっくに黄昏時も終わって真っ暗になった17時51分に松山行き普通が来ました。鉄道利用の観光客20人程度が乗り込み車内は満席に。
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40分後に定刻で松山に到着しました。

高知を出てから3日間、高知西部と愛媛南部は交通の便が悪いせいか、全体的にのんびりとした所でした。派手な観光地は全く無いものの、城はたくさんあるし景色は良いしで3連休を利用した旅行なんかにはぴったりなのではないでしょうか。

 

ちなみにホテルからは松山城が見えましたが、今回の旅行で行くことはありません。

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 なぜなら次の日の朝には名古屋へ飛んで、ライブに参加するためです。その件については別記事にて。

 

おわり