転がる五円玉 ~旅と城と山~

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倉吉線の跡地と国宝の投入堂に行こう 鳥取旅行Part2

国鉄倉吉線 -秦久寺駅周辺ー

大山は鳥取の西の端にあるので鳥取観光をするべく東へ向かいます。まず行ったのは国鉄倉吉線の廃線跡。秦久寺駅の周辺には線路が残されています。

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何の変哲も無い農村地帯の林に廃線跡はありました。1面1線で3両分しかないホームの雰囲気がいかにもローカル線です。
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そこそこ面白いなぁ、とか思いつつ歩いていると徐々にエモさ気付き始めました。
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これはすごい……。線路と林が見事に融和しています。線路が下草に埋もれていないからでしょう。地元の管理が行き届いている様子です。
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廃線跡自転車道になったり線路が剥がされたりする中、こういう場所はあまり無いように感じます。
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地味だけど大変良いスポットでした。

ただ、この雰囲気は人がいないから成立しているので、人気観光地にはならないで欲しいとも思ってしまいます。

 

大山よりキツい 国宝「三佛寺投入堂

次に行くのは三佛寺投入堂です。日本史の資料集でお馴染み、平安密教建築のビックネームですね。鳥取という田舎(失礼!)に平安時代の建物が残っている事自体が既に凄いと思います。

この投入堂は国宝である事もさることながら、拝観するまでの道中が大変危険である事でも有名です。鎖場が連発するらしいので。まぁそれでも登山に慣れている私たちなら余裕でしょう。

麓にある駐車場に車を停めて三佛寺に入ります。石垣があるせいか山城っぽい雰囲気です。
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本堂の奥からいよいよ入山します。投入堂までは距離900m、高低差200mなので地味に結構ある。

ちなみに寺は投入堂までの道のりを登山ではなく修行であるとしているので、「六根清浄」と書かれた袈裟を入山者に配布しています。
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また、入口では服装のチェックもありましたが大山帰りなので問題なく通過しました。

 

さて歩き始めます。最初は川沿いの平凡な道でしたが、急に修行が始まりました。
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右の斜面が道ってマジ?登山道でもあまりない斜度、いや、登山道なら回避する斜面を敢えてルートにしています。
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山と高原地図なら危マークが付くような斜面をよじ登っていきます。こ、これは大山より辛い……。
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10mとはあろうかという長い鎖場を通って文殊堂という建物まで登りました。尾根の崖上に作られており、文殊堂の下を潜らないと上には行けません。狭くて急な通路を通ってどうにか入口まで行きます。
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この文殊堂からの景色が良い。森の中を悪戦苦闘して登ってからの素晴らしい景色はカタルシスを感じます。
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ちなみに文殊堂の縁側に柵は無いですが、下まで20mはあるので落ちたら死にます。こえ〜。

文殊堂から先も難所はあるものの、だいぶマイルドになります。
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この辺なんかは「落ちても死なないカニのヨコバイ」っぽい。

岩穴にへばりつくような観音堂に着きました。ここまで来るともうすぐです。
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胎内くぐりと呼ばれる観音堂の脇を通って1分後、投入堂直下に着きました。入山から30分で着いたのでコースタイム5割でした。投入堂には入れないので、ここがゴールです。

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落ち着いてみると、見れば見るほどシンプルで精悍な趣の建築です。お堂を支える角材の細さの弱々しさと、長年の風雪を経た外観から荒業を終えて痩せ細った修行僧のような迫力を感じます。もはや崖と一体化しており、山の一部かのように自然とそこにあります。本当に美しい建物です。土門拳が日本一の名建築と称えただけのことはあります。

我々が眺める位置もいいですねぇ。一番長い角材が手前に来ているためすらっとした外観が一層強調されます。それに上品な屋根の反りも観察できます。やはり日本建築は斜め下から眺めるのが良いですね。

建物の美しさも凄いのですが、1000年以上前にどうやって建てたのか非常に興味深い。役行者が法力でお堂を小さくして、崖めがけて「えいやっ」と投げ入れたという伝説を信じたくなるほどアクロバティックな立地にあるためです。山上で測量し、平地で一度組み立ててから山の上で建設したと考えられていますが、それでも俄かに信じがたい。しかし、それを実現した人間の信仰心には恐れ入ります。

大変素晴らしい建物でした。鳥取まで来たら来る価値はあります。

 

その後は鳥取市内に行き宿泊しました。大山と投入堂のダブルパンチで足が結構しんどい事になっています。
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駅前に高い建物が無いせいか夕陽が良く見えました。明日は鳥取砂丘鳥取城へ行きます。

 

つづく

harimayatokubei.hatenablog.com

5月下旬の大山登山(と鳥取旅行) Part1

 「そろそろ中国地方の山も行ってみるかァ~」とふと思ったので鳥取の大山に行ってみました。山行なんて大抵こんな感じのテンションで始まる。

 

夕方に岡山空港に着いてからまずは湯原温泉に行きます。
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ここは露天風呂が非常に有名。上の写真の右に東屋があり、あれのすぐ横に露天風呂があります。屋根が一切無いので素晴らしい解放感でしたね。まさに「露天」風呂でした。壁に1mの隙間を開けて「ほら露天ですよ~」とかやってる銭湯は見習ってほしい。

 

風呂を出たら大山の麓まで行き、下山キャンプ場でテント泊をします。着いたのが夜9時だったので周囲は真っ暗でしたが、どうにか設営をして就寝。

 

・・・翌朝・・・

 

翌朝5時前に起床しました。駐車場は8割埋まっています。
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もそもそと朝食を食べてから行動開始。登山道っぽくない登山口である。
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大山は大峰山のように山岳信仰が盛んで、麓には数多くの寺がありました。明治の廃仏毀釈によって衰微してしまい、今ではいくつかの堂宇が残存するのみです。
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そのため、道端にはお地蔵さんや五輪塔といった仏教的なものがちょくちょくあります。登山道も初めは寺の参道のような階段になっています。

それも10分ほどで終わり、いよいよ登りが始まります。
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階段をえっちらおっちら登る。途中休憩した所からは米子市が良く見えます。
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登山道の整備が非常にしっかしており、ハイペースで登れます。上の写真に写っているブルーシートも補修用資材なのでしょう。
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登山口から70分程度で6合目避難小屋に着きました。コースタイム7割と快調です。

このあたりから高山っぽさが出てくると共に大山の主峰が見えてきました。所々が崩れており凄い迫力です。

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展望も良く、米子市や境港の方まで見えます。
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5分ほどの休憩で再出発。ここから先は常に大山の主峰が見えており、テンションが上がりっぱなしです。
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それにしても、とにかく整備状況の良い山です。歩いていてストレスが殆どありません。ハイマツの上を通る木道なんかは高速道路の趣すらあります。

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6合目避難小屋から40分で頂上避難小屋に到着!小屋泊の人たちが結構いたようです。狭苦しい個人的には苦手なのですがね、小屋泊は。
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この頂上小屋は文字通り頂上のすぐそばにあります。上の写真の左上に横長のモニュメントが小さく映っています。

あれが大山頂上です。
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なんかあんまり頂上っぽくありません。それもそのはず、大山の最高地点はまだまだ先なのです。しかし、崩落が凄まじく一般の登山者は立ち入れません。
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頂上から小屋方面を見る遠く中海まで望めます。高度感がすごい!!
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う~ん、この眺めは結構凄いものがあります。やはり海が見える山は特別感があって良いですね。

5月下旬なのでまだ涼しく気温は5℃前後です。10分もいたら冷えてきたので下山を開始しました。

木道を歩くと山頂以上の高度感を感じます。
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うおおおおお……これはすごい。木道の先が綺麗に落ちていて本当に空を歩いているようです。
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大山の山頂付近は「石室」を経由する周回路があります。下りはそっちの道を通ってみました。ちなみに「石室」とはこれのことです。
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池塘があったりして奥日光のような雰囲気になっています。
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そのまま下っていき、6合目避難小屋に到着。人がかなり増えてきました。こういう山は早朝から登るに限りますね。
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下りは行者谷を通って大山寺の方へ行くルートを使います。学生の団体がいないので、こちらのルートは空いており快適です。
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途中で横切る行者谷からは大山主峰の豪快な風景が望めます。ここはアルプスにも全く引けを取らないレベルですね……。本当にすごい。
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行者谷を過ぎてからは緩い下りをのんびり進み、登山口に到着。

登山口からすぐに大神山神社の奥宮があります。山に神社がある事は多いのですが、ここまで立派な社殿は中々見た事が無いです。

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鬱蒼とした森林の奥深くにあり昔の信仰を感じられます。今回とは逆に神社側から登り始めるのも雰囲気あって良いかもしれません。

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奥宮から駐車場までは参道を下ります。

大山寺の本堂まで降りました。実はさっきの大神山神社奥宮は、江戸時代まで大山寺の本堂でした。しかし、廃仏毀釈によって寺は廃止され本堂は神社の所有物になります。

大山寺は本尊を今の本堂に遷してなんとか存続しました。
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その昔はこのあたりに数十棟もの堂宇が立ち並んでいたようです。今では10棟程が残るのみで往時の賑わいは感じられません。

 

大山寺から10分ほど歩いて9時に帰還。かなりハイペースの登山となりました。

大山は予想以上の高度感、迫力のある山体、そして趣のある登山道がいずれも素晴らしくかなりレベルが高いと感じました。まさに中国一の名山。大勢の人が来るのも納得です。

 

つづく